第94話 女性陣の思惑(1) side柚葉

 今日はそーちゃんの家にお泊りに来たんだぁ。

 これは、それぞれのお母さんにお話しして、集まってもらうように、お願いしたんだよ?


 そう、今日、お母さん達に、私達が考えている事・・・そーちゃんとみんなで付き合いたいって事を言うんだぁ。

 ・・・正直、怖い気もするんだよね。

 だって、普通じゃないのはわかってるもん。


 でもね?

 もう、これ以上そーちゃんを傷付けたくないし、悩ませたくないんだぁ。

 それに・・・詩音ちゃんも翔子ちゃんも黒絵ちゃんもみんな良い子だし、私大好きなんだ!

 だから、みんなで一緒だったらもっと幸せになれるかなって思うの。


 お母さん達には、話があるとしか言ってない。

 だから、なんて言われるのか、今からドキドキしてる。

 

 ・・・怒られるかなぁ。

 でも、良いの。

 私が・・・私達が怒られるなら別に良い。

 そーちゃんが苦しむよりずっと良い!


 一応、詩音ちゃんのお母さん・・・琴音さんが来たら、パーティをして、その後、そーちゃんにお風呂に行って貰って、その間に話をするつもり。

 うまくそーちゃんに長風呂して貰わないとね。

 その辺りは、黒絵ちゃんや詩音ちゃんがなんとかするつもりだって。


 ・・・二人とも頭良いからなぁ。

 翔子ちゃんも頭良いんだよねぇ。


 ・・・うう。

 私だけおバカさんみたいで嫌だなぁ。

 

 でも、そーちゃんは私のこういう所?が好きなんだって!

 だから、私はこういうところは、このままでも良いって思ってるんだ。


 今は、みんなでそーちゃんの部屋で勉強中。

 一応、名目はそれだからね。

 みんな、真面目にやってるよ?

 そーちゃんもちょっと驚いてる。


「・・・こんなに真面目に勉強するとは思わなかった。もっと何かするのかと・・・」


 だってさ。

 まぁ・・・本当は勉強よりもそーちゃんにくっついてたいんだけどねぇ。


 でも、実際、そーちゃんや詩音ちゃん、黒絵ちゃんの進路希望先である国立大学は、今の私では少し厳しいの。

 だから、一生懸命勉強しないとね!


 黒絵ちゃんの教え方は上手で、凄くよくわかる。

 助かるなぁ〜!


 ピンポーン!!


 午後七時頃、そーちゃんの家のチャイムが鳴った。

 

「ん?琴音さんが来たのかな?さて、そろそろ一度休憩するか?おそらく・・・」

「みんなー?琴音先輩も来たし、パーティ始めるわよー?」

「やっぱりな。」


 そーちゃんママの声で、一度休憩になった。

 私達の今日の本番はこれからなの。

 頑張らないと!

 

 なんとか納得して貰わないとなぁ・・・




「先日ぶりね?こんばんわ。」


 琴音さんがそう挨拶をしたよ。

 勿論、私達も挨拶をする。


「は〜・・・疲れたわね〜。遅くなってごめんなさいね。」

「いいえ、先輩。お仕事お疲れ様でした。それじゃ、みんなグラスを持ったかしら?琴音先輩、社長就任、そして、最低男からの縁切り、おめでとうございま〜す!!」


 うひぁあ!?

 そ、そーちゃんママ凄い事言っちゃってる!?

 そーちゃんも、黒絵ちゃんも、翔子ちゃんも唖然としてるよ!


 でも、肝心の琴音さんは、


「ありがとー!!かんぱーい!!いえーい!!」


 めちゃくちゃいい笑顔だ!!

 そして、


「カンパーイ!お母さんおめでとー!!」

「詩音ありがとー!貴方も、最低な男から開放されておめでとー!!」

「ありがとー!!」


 ・・・詩音ちゃんもだ。

 すっごく嬉しそう。


 お母さんや、翼さん、葵さんは苦笑してるね。

 ま、いっか。

 本人達が喜んでるなら。


 ご飯の準備なんかは、お母さん達がやってくれた。

 ちょっと申し訳ないなぁって思ってたんだけど、


「貴方達は勉強があるんでしょ?気にしないでね。」


 っていう、そーちゃんママやお母さん達の言葉に甘える事にしたんだぁ。

 

 今は、お母さん達がすっごく楽しそうに話をしてるよ。

 お酒もグビグビ飲んでる。

 ・・・大丈夫かなぁ。


「総司!琴音先輩にお酌して!早く!!」

「・・・まぁ、良いけど。」


 そーちゃんママの言葉で、そーちゃんがワインを持って琴音さんと翼さんの隣に行って・・・あ!?


「うわっ!?な、なんですか!?」

「お母さん!?」


 そーちゃんが琴音さんに捕獲されてる!?


「あらあら・・・総司くんがわざわざお酌してくれるなんて嬉しいわぁ・・・いっぱい飲み過ぎちゃいそう・・・そんなに酔わせてどうするつもり?責任・・・とってくれる?」


 あわわわわ!?

 すっごく色気が溢れてるよ!?

 そーちゃんが顎に手を沿わされて、真っ赤になってドギマギしてる!!

 ダメェ!!

 そーちゃんが食べられちゃう!!


「お母さん何やって・・・!!」


 詩音ちゃんが琴音さんに注意しようと立ち上がった。

 詩音ちゃん止めて!琴音さんを止めてぇ!!


 でも、そのタイミングで・・・


「あら・・・琴音さんズルいですよ?総司くん?私にもお酌、してくれないかしら?それとも・・・おしゃく、してあげようかな?」


 翼さんまで、そーちゃんの首に腕を回してるよ!?


「い、いや俺は未成年なのでお酌は・・・」

「・・・うふふ♡総司くんったら・・・うぶなんだから・・・この場合のおしゃくってのはね?ごにょごにょ・・・」


 翼さんが何かそーちゃんに耳打ちして・・・


「!?な、何言ってるんですか!?」

「うふふ♡」


 何!?

 何なのかな!?

 私もわかんないんだけど・・・でも、あのそーちゃんの反応を見ると・・・エッチな事だね!!


「こらー!翼!何言ってるのあんた!!」

「そうよ!翼!総司くんを離しなさい!!おしゃくするなら黒絵がやります!!」

「母上!?」


 顔を真赤にしている黒絵ちゃん。

 黒絵ちゃん、お酌が何か知ってるんだね!

 後で教えてね!!


「違うわよ葵!おしゃくよりもそーちゃんはきっと違うのが好きよ!だから柚葉にやらせます!具体的にはパイズ・・・」

「清音!!言わせないわよ!!それにあなたも変わらないじゃないの!!」


 お母さん!?

 パイズって何!?

 私、わかんないよ!?

 何すれば良いの!?

 それ、そーちゃん喜ぶの!?

 だったら頑張るよ!


「もう・・・今日は私のお祝いなんだから、私に総司くんを頂戴よ。詩音もおいで〜?二人で総司くんを大人にするわよ〜?」

「ちょ、ちょっとお母さん!本当に何言ってるのよ!!」

「そうです!総司先輩を大人にするのは私とお母さんです!!そうですよね!?お母さん?」

「ううう・・・翔子・・・立派になって・・・そうね!一緒に総司くんを大人にしましょう!そして、あなたと私は女になるの!彼の女にね!!」

「はい!」

「「翼〜!!」」

「「あはははははは!」」


 ・・・な、なんだか大変な事になってるよ!?

 詩音ちゃんは琴音さんに詰め寄って、そーちゃんを助け出そうとしてるし、翔子ちゃんは翼さんとそーちゃんに詰め寄ろうとしてるし、お母さんは、葵さんと一緒に、そんな翼さん達を止めようとしてるし、黒絵ちゃんは、真っ赤になってくねくねしてるし、そーちゃんママとみーちゃんはこの状況を見て大笑いしてる。

 みーちゃんはスマホで写真まで撮ってるし。


 だ、ダイジョブかな・・・これ、今日、ちゃんとお話出来るのかな?

 なんか心配になってきちゃった・・・


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