第85話 海(4)
「さて・・・罰を与えるわね。」
忘れてなかったか・・・
俺は、今、風呂を終え、部屋に戻った所を、シオン達に確保された。
目の前には、同じ様に確保され・・・三津浦にしがみつかれている光彦。
「それじゃあ、罰を発表しま〜す!」
柚葉の笑顔が輝いている。
怖い・・・何を言い出すんだ・・・
「二人に与える罰、それは・・・」
翔子がボソリと呟く。
ごくりという音が聞こえる。
俺の喉からと・・・光彦の喉からだ。
「吉岡、お前は今日、莉愛と一緒の布団で寝てもらおう。勿論、莉愛も了承済みだ。」
「な・・・そ、それは・・・」
「光彦くん?あたし、寝る時いつも下着だけだから。」
「はぁ!?いや、それはまずいだろう。北上!他のに・・・」
「あ”?」
「・・・いえ、なんでもありません。」
おい、黒絵よ。
どっから声出した?
光彦めっちゃびびってんじゃねーか・・・
「次は総司ね。総司は・・・」
俺は・・・なんだ?
何をさせる気だ?
「今日は押入れで寝てもらうわ。」
・・・何?
「そ、それで良いのか?マジで?」
「マジよ。」
「そ、そうか〜それは寂しいな〜ははは!」
「・・・嬉しそうだな、ソウ。」
「い、いや、そんな事は無い。そんな事は無いぞ!」
「そーちゃん?でも、条件があるよ?」
「一人で押し入れだろ?なんでも聞くぞ?」
思ったよりメチャクチャじゃなかったからな。
「では・・・総司先輩は、そこで寝て下さい。但し!裸で、です。」
「は、裸?なんで?」
なんだそりゃ?
「そりゃ、罰だからに決まってるじゃないの。恥ずかしいでしょ?」
「そりゃあまあ恥ずかしいが・・・そんなんで良いのか・・・い、いや、それは恥ずかしい!恥ずかしすぎる!!これは厳しい罰だな!」
「・・・そうだな。さて、それでは、私達は、向こうの部屋に戻ろうでは無いか。ああ、ソウ、押入れでは下で寝るんだよ?上の段で寝て、万が一棚が壊れてもいけないからね。」
「それもそうだな。そうするよ。じゃあ、光彦、三津浦、また明日な。お休み。」
光彦・・・悪いな!
俺の罰は大した事無かったよ!
ははは。
side光彦
俺達の部屋から総司達が出ていった。
「なぁ、莉愛。」
「なんですか光彦くん?」
「この罰、お前らが考えたのか?」
「そうですよ?あ、でも、暮内先輩の方は、最初から決まってたみたいです。」
「最初から?海に来る前からか?」
「はい。」
「・・・そうか。そういう事か・・・獲物を逃げられないようにして・・・」
「そういう事です。あの人達半端無いですね・・・尊敬しますよホント。」
「総司・・・哀れな・・・」
俺は総司の行末を思って憐れむ。
しかし、そんな俺の浴衣をくいくいと引っ張る莉愛。
「ん?なんだ莉愛?」
「光彦くん・・・可哀想な目で見てますけど・・・今から耐えられるんです?」
「・・・」
そうだった。
俺も耐える夜になるんだった。
総司・・・お互い頑張ろうな・・・
「じゃ、寝ましょ♡」
「・・・せめて、脱ぐのは電気を消して、布団に入ってからにしてくれ。」
「いやでーす♡」
「・・・」
総司・・・マジで頑張ろうな!!
side総司
いや〜確かに裸で寝るのは恥ずかしいが、押し入れの中なら見られる事は無いからな!
明日の朝だけ気をつければ良い!
悪いな〜光彦!
お前には我慢の一夜だが、俺には天国の一夜だ!
ここなら、あいつらの寝息なんかも気にする必要も無いからなぁ!!
「じゃあ、総司?今日は疲れたからもう寝ましょ?」
「ああ、そうだな!」
「そーちゃん、それじゃ押入れに入ってね。」
「おう!」
俺は、押し入れの下の段に布団を敷き詰める。
うん、ここの押入れ結構広いな。
快適そうだ!
「総司先輩、じゃあ、押入れの
「え?この中で脱ぐのは良いが・・・押し入れの中に服を置いておいちゃ駄目なのか?」
「それでは、ズルをするかもしれないではないか。」
「・・・そう、か・・・まぁ、良い。」
ゴソゴソと脱いで、素っ裸になる。
そして、少しだけ開けた襖から、外に出す。
「オッケー。それじゃ電気消すから。」
「おう、おやすみ!」
「うん・・・そーちゃん、おやすみボソッ(できると良いね。)」
「総司先輩、おやすみなさいボソっ(寝られないと思いますが。)」
「ソウ、お休み。良い夢をなボソッ(お前にとっては悪夢かもしれんがな。)」
「総司、お休み〜!ボソッ(さて、みんな、良いわね?)」
パチンと電気を消すと、真っ暗になる。
押し入れも閉まってるので、完全な暗闇だ。
これはぐっすり寝られるな!
お休み。
がらっ
ん?今、襖が・・・
「お邪魔しま〜す。」
「入るね〜?」
「うふふ・・・総司先輩・・・?」
「ソウ、お前は何度も同じ様な手に引っかかるなぁ・・・」
「は・・・?」
え?え?
なんでこいつら入ってきて・・・ひっ!?
なんかすべすべした感触が!?
それに柔らかい・・・暖かい・・・これまさか!?
「お、お、お、お前ら・・・まさか・・・」
「うん♡は・だ・か♡」
「ちょ、ちょっと待てー!!!!なんで入って来てるんだ!?一人で寝るって・・・」
「もう、そーちゃんうるさいよ?迷惑になっちゃうから静かにして!それに、"一人で"なんて一言も言ってなかったし。」
何!?
まさか・・・また!?
「柚ちゃんの言う通りですよ?・・・それにしても・・・はぁ、総司先輩の身体・・・ごつごつして・・・こんなに密着してたら、色々触っちゃっても仕方がありませんね♡」
「翔子!?お前どこ触るつも・・・もがっ!?」
口を押さえられた!?
この力は・・・黒絵か!!
「おっと・・・ソウ、いかんなぁ・・・大声は。さて、みんな、取り決め通りに、最後までは無しだ。ソウに襲われん限りはな。ソウ?どうしても我慢できなくなったら、押し入れから出てするからな?但し、そのときには、将来の伴侶を決めて貰うからな。それと、寝る場所はちょいちょい変わるから動くぞ?まぁ・・・いくら大きめの押入れだとしても、狭いからなぁ・・・身体が重なるのも仕方がないな・・・なぁソウ?」
「もがもが!もがががが!!!(お前ら!何考えてんだ!!!)」
真っ暗なので、まったく見えない・・・見えないが!
黒絵!
お前、絶対悪い顔してるだろ!!
「総司・・・総司がいけないのよ?まさか逆ナンされてくっつかれてるなんて・・・だからこれは罰よ、罰。総司・・・頑張って♡」
「そーちゃん・・・大きくなっちゃっても大丈夫だからね〜♡」
「むしろ・・・大きくしてあげましょうか?なんだったら・・・色々お手伝いしますね♡」
「もが!もががもががが!!もががが〜!!(誰か!誰か助けてくれ!!光彦〜!!)」
無茶苦茶だ!
また騙された!!
「あ、そうそう、総司?これ考えたの、総司のお母さんだからね?」
「もがっ(何)!?」
またか!!
あの人は〜!!
というか、これ、罰って名目なだけで最初から・・・
「というわけで・・・」
「「「「おやすみなさい♡」」」」
「もががが〜(寝れるか〜)!!!!!」
追伸
なんとか、貞操は守りました。
しかし・・・色々弄ばれました。
もう、お婿に行けない・・・
ぐすん・・・
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