第8章 夏休み

第80話 惰眠を貪り・・・たいのに出来ませんでした

 ZCT騒動が終わり、夏休みに突入した。

 今日は初日だ。

 昨日、色々あって疲れている。


 とはいえ、母さんの弁当を作ったり、みんなの朝食を作らなければいけないから、惰眠を貪ってはいられない。


「総司、瑞希、行ってくるわね。」

「ああ、母さん、いってらっしゃい。」

「お母さん、いってらっしゃーい!頑張ってね〜!」


 母さんを送り出し、掃除や洗濯をする。

 瑞希もやると言ったが、今年は受験だ。

 だから、勉強するように言って、家事は俺がやっている。


 色々やる事をやり、瑞希と昼食を食べ、ようやく時間が出来た。

 俺のやる事は一つ!

 

 そう!昼寝だ!!


 夏休みといったら惰眠!

 これしかない!


 そう思い、俺は自分の部屋に行き、ベッドに横になった。

 そして・・・意識を落としていく・・・






 ・・・ん?

 今何時だ?

 そこそこ寝れた・・・のか?

 あんまり眠気が取れて無いような・・・


 それに、なんかいい匂いがするような・・・

 暖かいし・・・柔らかい?

 なんだこれ?


 俺は、眠い頭で隣にある何か柔らかいモノを触る。


「やん♡」


 ・・・ん?

 なんか可愛らしい声が・・・

 もう少し触ってみる。


「ん♡・・・はぁ・・・あん・・・」


 !?

 なんだ!?

 俺はガバっと起き上がる。

 

 すると・・・


「・・・総司先輩、もう良いんですか?」

「しょ、翔子!?なんでここに!?」


 何故翔子がいる!?

 俺は確かに一人で寝た筈だ・・・


「ああ、総司先輩に連絡したのに、繋がらなかったから、直接来たんです。そしたら、瑞希ちゃんが出て、総司先輩は寝てるって言うから、家に上げさせて貰ったんです。」

「待て待て待て!普通そこは起こして貰うだろう!?なんで上がり込んで一緒に横になってるんだ!?」

「え?」

「なんで疑問形!?」

「先輩・・・暑さでやられちゃったんですか?」

「おかしいのお前だからな!?」

「だって、総司先輩、疲れてそうだったし、休ませてあげようと思って・・・それで、何かあった時の為に、すぐ近くにいようと思って。」

「いやいやいや、休ませてあげようと思うなら、上がらないだろう!すぐ近くにいるのに、一緒に横になる必要ないよな!?」

「・・・先輩が何言ってるのかわかりません。」


 はぁ・・・まったく・・・


「・・・怒りました?」


 翔子がしょんぼりしてそう言う。

 やれやれ・・・


「・・・怒ってない。まぁ良いさ。んで?何か用事だったか?」

「いいえ?ただ遊びに来ただけですよ。ご迷惑でした?」

「いや、そうでもない。やる事無くて昼寝してただけだからな。」

「そうですか。それは良かった。じゃあ、私のやる事に付き合って貰えますか?」

「ん?別に良いぞ?」

「わかりました。」


 そう言うと、翔子は服を脱ぎはじめ・・・ておい!?


「おい!何やってんだ!?」

「え?だって私のやる事に付き合ってくれるんじゃ・・・」

「何するつもりだ!?」

「・・・そこに寝ててくれたらわかりますよ?」

「・・・やっぱりやめる。」

「え〜?」


 ・・・怖っ!

 ちょっと隙を見せただけで、どこまでする気だったんだ?

 本当に油断ならねぇ。


「で、ホントは何しに来たんだ?」

「あ、本当に特に決めて無かったんです。ただ、総司先輩の顔を見たかっただけです。」

「むぐっ!?そ、そうか・・・」


 ・・・ストレートな奴だなまったく。

 

 ピンポーン!


 ん?

 来客か?


「ちょっと待っててくれ。応対してくる。」

「はい。」


 誰だ?

 何か注文したっけ?

 母さんか?


「はい?」


 俺は、玄関ドアを開ける。

 すると、そこには・・・


「こんにちはそーちゃん!遊びに来たよ〜!」


 柚葉だった。


「・・・おう。どうした?って遊びに来たんだっけか。連絡くらい先にしてくれよ。」

「え?したよ?でも、そーちゃん出なかったから。」

「・・・あ、見てなかった。というか寝てたんだ。今起きた・・・というか起こされた。」

「起こされた?」

「翔子が来てるんだよ。」

「・・・流石だね翔子ちゃん。じゃあ、私も良いよね〜?おっじゃまっしま〜す!!」


 ドタドタと階段を登っていく柚葉。


 やれやれ・・・なかなか休めないなぁ・・・


 こうして、今日は柚葉と翔子と部屋でのんびりする事になった。






 ちなみに、部屋に戻った後、携帯を見ると、シオンと黒絵からも連絡が来ていた。

 シオンは、連絡に応えなかったから、来なかったようだ。

 黒絵は、勉強の息抜きだったらしい。


 事情を説明し、今、翔子と柚葉が来ている事を説明したら、こんこんと文句を言われ、明日遊びに来ると言われた。

 勿論、シオンと黒絵双方からだ。

 

 ・・・シオンはともかく、黒絵は受験は良いのか?


 ・・・こりゃ、今年の夏休みは忙しくなりそうだなぁ。

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