閑話 女性陣の談合そして、母親同士の会話
今回は大半が会話です。
読みにくかったら申し訳ありません。
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「みんな、分かってるわよね?」
「うん!そーちゃんには内緒!だよね?」
「はい。もし、事前に知っちゃうと、色々理由をつけて逃げるかもしれないから、ですよね?」
「まったく・・・ソウめ!喧嘩の時には勇猛果敢な癖に・・・こういう所は情けない奴だ・・・まぁ、ソウのお母様はこちらの味方だからな。事前に根回しや、こういう機会を頂けるとは・・・ありがたい限りだね。」
これは、総司が旅行の件を知る少し前。
厳密には、母親達が家に訪れた翌日である。
柚葉達3人はそれぞれの母親から、シオンは、こっそり交換してあった瑞希の携帯を使用した、総司の母の双葉から、ゴールデンウィークに旅行に行く旨を聞いていたのだ。
これについては、母親達で既に話し合われていた。
そして、その際に、前述の通り、対総司シフトについて説明がなされていたのだった。
「にしても・・・よくあんた達の母親は了承したわね?男がいる旅行の許可なんてさ?」
「私は元々家族ぐるみの付き合いだったからね。問題ないと思うよ?」
「私も柚ちゃんと同じです。不思議なのは・・・」
「ああ、母上だろうな・・・帰りの車内でも、かなりご機嫌だった。あのような母上を見たのは初めてかもしれない。今回も、別荘を提供しているしな・・・どうも引っかかるが・・・教えてくれなくてね。」
黒絵は首を傾げる。
この3人は、自分の母親と双葉の関係を知らない。
「そういう詩音は大丈夫なのかな?親御さんの了承無しで旅行などというのは?」
「うちは干渉しない事になってるからね。何か言ってきても聞く気は無いし。」
あっけらかんというシオン。
三人は眉を顰める。
「・・・本当に仲が良くないんだね・・・詩音ちゃん大丈夫?」
「そうです。何か困ったことがあったら言って下さいね?」
「ああ、いつでも頼ってくれていい。力になろう。」
真剣にそう言う三人に、シオンは笑顔になった。
「ありがとう。もし、何か困ったらちゃんと言うから。・・・友だちだもんね。」
「うん!」「はい」「ああ。」
同じ様に笑顔で返す三人。
これについては、後日・・・具体的には、旅行の前日に急展開を迎え、激的に改善される事になるのだが・・・この段階では、知るよしも無い。
しかし、この4人の仲は更に深まるのだった。
「絶対に総司にバレないようにするわよ!良いわね!!」
「「「おー!!」」」
「でも、総司は譲らないからね?」
「「「勿論!!こっちも(だよ)(だ)(です)!!」」」
果たして真相を知った総司がどんな反応を見せるのか。
その答えは間もなくとなる。
「総司!先にお風呂入っちゃいなさい!」
「わかった!」
Prrrrrrrrrrrrr!!
「あら?電話・・・もしもし?暮内です。」
旅行前日の夜。
一本の電話が総司の自宅に入る。
『私は西條詩音の母親です。詩音がお世話になっております。』
「あら!?これはどうも。私は暮内総司の母親です。ウチの息子がお世話になっております。」
『いえ、こちらこそ。今回、息子さんの総司くんのおかげで、娘との関係を良好なものにすることが出来ましたので、お礼を申し上げたくて、ご連絡差し上げました。どうもありがとうございました。』
「いえいえ、息子からも聞いておりますよ?それに・・・娘さんを旅行に連れて行く件で、私も連絡差し上げたかったので、ちょうど良かったです。娘さんからはお聞きでしょうか?」
『は・・・い・・・クスクス。』
「あ、あの?」
『うふふ・・・もう良いかしら。双葉さん?私が誰か分かるかしら?』
その言葉に、双葉は少し固まり、すぐに心当たりを口にする。
「・・・琴音先輩・・・ですよね?」
『覚えててくれたのね。良かったわ。』
「やっぱり・・・この間思い出して、似てるって思ってたんです。お元気そうで良かった。お久しぶりですね。」
それは、双葉達の、先代生徒会長であり、夫の亮司を取り合った最後の一人である琴音であった。
『懐かしいわね・・・何年ぶりかしら・・・私が卒業の時に、亮司くんに振られてからだから・・・』
「そうですね・・・本当に懐かしい・・・」
『・・・総司くんから聞いたわ。亮司くんは亡くなったんですってね。』
「・・・はい。庄司に殺されたんです・・・」
『!?・・・庄司・・・ああ、あのゲス・・・あんな・・・あんなクズのせいで亮司くんが・・・?許せないわね・・・』
「・・・ええ、私もそう思います。ですが、あいつは亮司を殺した後、すぐに自殺したんです。私は・・・私が殺したかったのに・・・」
憤怒の表情の双葉。
未だに傷は、怒りは消えていない。
『・・・双葉さん。気持ちは分かるけれど・・・本当に良くわかるけど、それ以上はいけないわ。あなたには残された・・・総司くんと、総司くんの妹さんがいるんでしょ?私もこれからはあなたを支えるから、そんな面を子供に見せないであげて?』
「・・・琴音・・・先輩・・・」
琴音は、双葉にとって憧れの先輩だった。
今の黒絵のように、凄まじく優秀な生徒会長であった琴音は、自身も生徒会役員として、琴音の下についていた双葉にとっても頼れる先輩だったのだ。
もっとも・・・亮司が絡む事を除いては、だが。
「・・・ふ〜。落ち着きました。すみません先輩。みっともない所を見せて。」
『・・・ふふ。あなたは昔から亮司くんが絡むと直情的になるわね。変わって無くて安心したわ。』
「・・・それ、先輩が言います?あの頃、一つ上とは言え、先輩として大人の余裕を見せつけられて、私がどれだけヤキモキしたか・・・」
『あはは!良いじゃない!最終的にあなたが持っていったのだからさ?あ、そうそう、私、詩音の相手は総司くんが良いと思うの。協力してくれないかしら?』
「・・・ふふふ。先輩?それは出来ないんですよ。聞いていませんか?詩音さんから。」
ニヤニヤしながら言う双葉。
電話越しに、琴音の困惑した感じが伝わってくる。
『ええ、仲直りした後に聞いたけれど・・・たしか・・・他に三人位が総司くんを狙ってるのよね?それも凄く可愛かったり綺麗だったり・・・でも、控えめに言っても、うちの詩音はかなり綺麗だと思うけれど・・・』
「琴音先輩?その子たちが、清見と翼と葵の子供で、母親に瓜二つだと言っても、同じこと言えます?」
『清見・・・翼・・・葵・・・・・・っ!?そ、それってあの一年だった小娘達!?嘘!?』
「それが本当なんですよ。別に申し合わせて無かったんですけどね?偶然って怖いですね〜?」
『・・・他人事のように言うわね・・・そう・・・あの子たちの娘・・・それもよく似ている・・・それは強敵ね。それに負けられないわ!!』
「あはは!頑張って下さいね〜?」
『く〜っ!!余裕ぶっちゃって!!あの頃は必死だったくせに!!』
「実際、今回は高みの見物ですし〜?あ、そうそう、あの子たちも来ますよ?今回の旅行。先輩もどうです?一人ぐらいならなんとかなりますよ?」
双葉がそういうと、琴音は凄く・・・凄く残念そうに口を開いた。
『そうしたいのはやまやまだけど・・・ちょっと今、会社の事で忙しくてね・・・でも・・・詩音にも援護が必要か・・・負けてるとは思わないけど、あの小娘達が入れ知恵してると、分が悪いかもだし・・・日程は明日からの、4、5、6で、場所は・・・一日位なら泊まりで行けなくは無いわね・・・うん!決めたわ。5日から一泊だけさせて貰うわ。良いかしら?』
「はい!喜んで!あ〜!楽しくなりそう!!人の恋バナはご飯が美味しくなりますね!!」
電話口でもわかるくらい、ご機嫌な双葉に、琴音は苦笑する。
この辺りは、しっかりと瑞希の母たる
『・・・本当に変わらないわね、あなたは。まったくもう・・でも、こっちは気合を入れないとね!!・・・そうだわ、双葉さん。あの子達には、私が詩音の母親ってのは内緒にしといてくれるかしら?それくらいは良いでしょう?せいぜい顔を見せて驚かせてやるわ!!』
「あ!それ良いですね!うふふ・・・楽しみだわ・・・あ、詩音さんは、行きは私の車で連れていきますね?帰りは・・・そちらで大丈夫ですよね?」
『ええ、それで良いわ。よろしくね?・・・あなたに会うのも楽しみにしてるわ。それと・・・今度お邪魔させて貰える?焼香くらいあげさせて?』
「ええ、勿論ですよ。お待ちしています。」
『それでは旅行の時に。』
「はい、先輩。また。」
電話を切る双葉。
そこに、風呂から出た総司が通りかかる。
「ん?母さん、なんだかご機嫌だな?それに珍しく長電話だったみたいだな。」
「ええ、ちょっとね。さあ総司?風邪引かないようにね?・・・明日から、旅行楽しみましょう?しっかりと、ね?」
「ああ、そうだな。しっかりと息抜きさせて貰おうかな。久しぶりの家族水入らず・・・しがらみを忘れさせて貰うよ。」
「ええ、そうね・・・ボソッ(そんな事ができるなら、ね。)」
「ん?なんか言った?」
「いいえ?それじゃ私は明日に備えて、お父さんに挨拶してから寝るわ。お休み。」
「ああ、お休み、母さん。」
双葉はそのまま仏壇に向かう。
そして、
「あなた・・・面白い事になってきたわ。やっぱり総司はあなたの子よ。あの頃は当事者だったから大変だったけど・・・今回は傍観者。うふふ・・・楽しみだわぁ・・・貴方も見守ってあげてね?」
こうして、旅行の日を迎える。
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これで、第5章も終了です。
第6章はカオスの旅行編となります。
シリアスは一切排除する予定です。
お楽しみに!
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