第18話 どうしてこうなった?
「そーちゃんママ!これ美味しいね!!」
「総司のお母さん、お料理上手ですね。」
「あら!嬉しいこといってくれるわね二人とも!お母さん照れちゃう!」
「・・・」
どうしてこうなった?
今、俺の右隣にシオン、左隣に柚葉、正面に母さんと瑞希。
みんなで昼飯食ってるんだが・・・
「ちょっと・・・柚葉!あんた総司と近いわよ!」
「え?詩音ちゃんこそ近くないかな?私はほら!幼馴染みだから!」
「関係ないわよそんなの!だったらあたしもくっつく!良いわよね総司!」
「私の方がもっとくっつくもん!良いよねそーちゃん!」
「・・・いや、食い
「「良いよね!?」
「・・・あ、ああ。」
「あらあら。」
「・・・お兄ちゃん、いつの間にそんなモテるようになったの?陰キャやってるんじゃないの?」
「・・・その筈なんだがなぁ・・・」
すぐにシオンと柚葉が口論・・・とは行かないまでも、言い合いを始めるから困っている。
何故こうなったか、それは数十分前に遡る。
「・・・」
「・・・」
俺の部屋で睨み合ってるシオンと柚葉。
柚葉が来てからずっとこうだ。
この空気・・・耐えられん・・・
「・・・あのさ・・・」
意を決して口を開くも・・・
「総司は黙ってて。」
「そーちゃん、ちょっと静かにしててくれるかな。」
「・・・」
・・・どうすりゃ良いんだこんなん・・・
しかし、そんな沈黙も、10分程で動きがあった。
「・・・南谷さん・・・どうやら乗り越えて来たようね・・・認めてあげるわ、ライバルだってね・・・」
「・・・一応お礼を言っておくよ西條さん・・・おかげで仲直り出来たよ。でも・・・負けないよ?」
「それはこっちのセリフよ・・・あなた確か・・・名前は柚葉だったわね・・・これから柚葉って呼ばせて貰うわね。」
「良いよ。ライバルだもん。それなら私は詩音ちゃんって呼ばせて貰うよ。」
「好きに呼べば良いわ。でも、勝つのは・・・総司の心を掴むのはあたしよ。」
「違うね。私だよ。」
「「む〜っ!!」」
おでこを付き合わせて唸る二人。
・・・こいつら実は仲が良くないか?
というかどこの熱血スポ根だコレ?
「総司〜?ご飯できたわよ〜?みんなで降りて来なさ〜い?」
「「は〜い!」」
「・・・」
母さんの呼ぶ声に二人で返事をして、いそいそと下に降りていくシオンと柚葉。
息ぴったりじゃねーか・・・
そして、現在の状況となった。
「それにしても・・・二人とも総司のどこが良いの?」
「おい、母さん、それは酷くないか?」
「だって・・・なんか
「くっ・・・!?」
・・・中々痛い所を突いて来やがった!
でも、それには一応理由があんだよ!
・・・説明は出来ねぇが。
「そうですね・・・やっぱり優しい所でしょうか。それに強いし、結構イケメンだし。」
「ふ〜ん。詩音ちゃんは面食いなんだね〜?」
「・・・何よ。じゃあ、あんたは違うっての?」
「私は違うよ〜?私の理由はね〜?そーちゃんだから!」
「ズルいわよそんなの!あたしだって同じだわ!!総司だから良いの!!」
「あ〜!マネッ子は駄目なんだよ〜!!」
「うるさい!てゆーか、あんた、なんか一気に子供っぽくなってない!?大人びた落ち着きのある優しい女の子って評判はどこ行ったのよ!!」
「そんなの知らないもん!そーちゃんの前ではこんなもんだも〜ん!」
・・・そうだな。
柚葉は元々こんな感じだった。
疎遠になってから、そういう噂を聞いた時には驚いたもんだ。
てっきり大人になったんだと思ってたんだが・・・そうでも無かったみたいだな。
「ねぇお兄ちゃん。」
そんな二人の言い合いを見ていた瑞希が話しかけてきた。
「なんだ瑞希?」
「・・・学校でこれやったら、絶対に目立つと思うよ?もう、諦めたら?」
「・・・いや、俺は断固として陰キャを
「・・・時間の問題だと思うなぁ・・・」
俺は諦めん!
諦めんぞ!!
目立って良いことなど無い!
「ああ、そうそう、そういえば総司に言うの忘れてたわね。」
俺と瑞希がそんな事を話していると、母さんが何かを思い出したように言った。
「なんだ母さん?」
「あのね?昔、近所にいた子覚えてる?」
「・・・誰の事だ?」
「ほら、あの
「東儀・・・ああ、一つ下の子だったか。」
「そうそう、あの子、今年から戻って来てるの知ってる?」
「・・・初耳だな。」
「え!?翔子ちゃん戻ってきてるんですか!?」
「翔子ちゃん!?へ〜!懐かしいな〜!!」
東儀・・・東儀翔子。
一つ年下の女の子。
小学校の時に、親の都合で転校していった子。
俺や柚葉によく懐いていたな。
当然、瑞希も知っている。
そうか・・・戻ってきたのか。
「確か、あなたの学校に行ってる筈よ?」
「ふ〜ん・・・まぁ、俺には関係無いな。見かけた事無いし。もう、俺の事も忘れてるんじゃないのか?」
もし覚えてたら話しかけて来ただろうしな。
「翔子ちゃん・・・戻ってきてたんだ・・・危なかった・・・」
ん?柚葉の様子が・・・
「・・・なんか嫌な予感がするわね。柚葉、後でちょっと話があるわ。」
「・・・うん、わかってる。後でね。」
・・・俺は仲間はずれか。
いや・・・良いんだけどさ。
こうして、食事を終え、俺の部屋で遊び・・・という二人の口論モドキのじゃれ合いを見た後、二人は帰って行った。
・・・というか、帰らせた。
なんでか知らんが、突然シオンが泊まるとか言い出して、それに対抗した柚葉まで泊まると言い張ったから、強制的に帰らせたのだ。
・・・泊まらせる訳ないっての。
何されるか分かったもんじゃないからな。
・・・いや、普通逆じゃね?
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