第22話 足音と足跡
季節はもう冬になり
街行く人々の服装もすっかり
暖かい格好へと変わっていた
寒くなると手を繋ぐ恋人たちが増える
手を取りポケットに入れ
仲睦まじい様子で微笑みあう人達を見ているとこちらまで頬が上がるような気がする
ザクッザクッ
後ろからやけにリズムのいい音が聞こえる
振り返ると、霜柱を潰しながら
こちらへ向かってくる君の姿があった
頬と耳を真っ赤にしながら
楽しそうにわざと霜柱ができているところを潰して楽しんでいる
大人になってから
子供の時に好きだったこと
好きだったもの
それを思い出させてくれる君がいる
子供心を忘れずに持ち続けている君を見ていると
君にはどんな景色と音が聞こえるのか
僕とは違うものが見えているのだろうか
そう不思議に思う
時には羨ましくも思う
君といればいつか君の世界を見られるだろう
その時僕は言葉なんて必要ないほどに
この世界が好きになれる気がする
そんな予感がするのだ
寒い
そう言いながら近寄ってくる君
当たり前だよと笑いながら
君の手を僕のポケットに入れ
霜柱を踏みながら帰る
君と僕の足跡は
大きさは違うけれど
隣を歩きながら
季節を踏みしめる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます