第18話 君の苗字が貴方ならば

僕は今、緊張している。

ここまで緊張したことがあっただろうか


心音が僕の鼓膜を塞ぐ


彼女と付き合って、気がつけば3年という月日が流れていた。

沢山の場所に行き、色んなことを話した


心から愛していると

そう思える人は後にも先にも君だけだろう


映画を見て、日が落ち始めた頃

ドライブに彼女を誘う


色々計画も考えていた気はするが

当日になってみたら

全て真っ白になってしまった。


海沿いを車で走る


沈黙が流れる

とても長い時間が過ぎたように感じる


目的地に着き車を停める。


正直今日一日のことはほとんど覚えてない

緊張でそれどころではなかったのだ


隣で綺麗と呟く彼女を見て

僕は現実に引き戻された


考える必要なんてなかった

君とこれからも過ごしていきたいと

そのまま伝えよう。


そう思うと言葉はスッと出てきた


僕と結婚してください


飾らなくていい、君に真っ直ぐ伝える


私こそよろしくお願いしますと

返事が返ってくる。


彼女が涙を流しながらこちらを見つめる

そんな彼女が愛おしくて

君に出会えたことが嬉しくて幸せで


そう思ったら涙が流れてきた。


不器用だけど、君のこれからに

僕のこれからを重ねていきたい


君の左手の薬指に僕の気持ちを通す


君との時間は穏やかで


優しく愛に包まれている


誰よりも幸せにしますと誓いをたてる

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