§ 2―5 闇に咲く、蒼き火花
またこの暗闇か……。目覚めてすぐ、横にある
この空洞では、戦い、殺され、目覚めてはまた戦う、が繰り返される。心が折れようとも逃げることはできない。目覚めて10秒もすれば、鉄仮面が襲ってくるからである。
あの鉄仮面を倒すしか、このループされる死から逃れるすべはない。そのためには、あの女が言った
ふらふらと立ち上がり、一瞬、これまでの戦いのトライ&エラーを
5度ほど受けることから始めたが、何もできずに斬られただけだった。こっちから攻めなければ。その思いから、自然と走り出す。
互いに走り近づく。間合いに入る
鉄仮面はなんなくこれを刃で受け止める。そして、即座に切り返し、刃を振るってくる。
蓮も受けられることは想定しており、次の行動に切り替え、鉄仮面の返す刀に、刀を合わせる。この攻防が何度も続く。
相手の攻撃に反応が遅れれば意識が遅れ、足にも刀にも
刃と刃の衝突が、蒼い火花を生み出す。意識が無意識になり、刹那のせめぎ合いの中、自問をする。
(あぁ……おれは、なんで戦っているんだ? 何のために? 誰のために……?)
(そうだ。約束したからだ。どんな約束だっけ?)
(……守るため……)
(愛菜を守る……そうだった。約束じゃない。決意だ)
(……何があっても愛菜を守り通すって自分で決めたんだ!)
蓮の目に光りが戻る。
鉄仮面の返す刀に、一歩踏み込み、蒼く輝く左腕のガントレットで斬撃を受ける。
即座にブーツの
「うおぉぉ」
勢いそのままに突きを繰り出すが、鉄仮面は身体を
「ここだ!」
繰り出した突きの手首を返し、一瞬早く逆袈裟を振るう。
鉄仮面の刃は蓮の肩の手前で止まる。
逆に、鉄の胸当ては斜めに切れ、血が噴き出し、糸の切れた人形のように後ろに倒れた。
「はぁ……はぁ……はぁ……勝ったのか?」
終わりのない戦いの終わりに、信じられない気持ちで鉄仮面を見下ろす。突然のことに、薄暗い空洞の静寂に、わずかな寂しさが胸に
突如、祠の近くの壁が開いた。
鉄仮面に背を向け、開いた出口に近づくと、先には上り階段が続いている。
空洞を出る蓮は、最後に振り向き、小さく呟く。
「……ありがとう」
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