§ 2―2 白いローブの女 ①殺される出会い



 2日前にさかのぼる……。



「チュートリアルはここまでよ」


 白服はそうつぶやき、涼しい口元をしながら、せめぎ合いで押してくる力は尋常ではない。なぜ、ただの木の棒が刃で斬れないんだ? 不思議に思いながら全身全霊を込めて押し合う中、木の棒がうっすらと青みがかっていることに気づく。


 白服の力が抜けた瞬間、脇腹に痛みを覚える。思いっきり蹴られ、そのまま3mは吹き飛ばされた。


 そこに護の矢が射られるが、防ごうとした白服の左腕に当たると「キィィン」と金属音をたてはじかれる。


「え! 」


 と驚く護に一気に飛び込み、腹を右手で殴り、護はその場にうずくまる。だが、そこに後ろから愛菜が駆け寄り、槍で突く。が、体をひねり、半身の姿勢のままその槍を右手で、素手で、容易たやすつかむ。


「えっ! 」


「瞬時に体勢を整えて、攻撃に移るなんて、なかなかいい動きね」


 そうささやくと、愛菜はそのまま木の棒で腹部を殴打され、吹き飛ばされる。


 蓮は2人が倒れている姿が目に入ると、蹴られた痛みも、サイクロプス戦で痛めた左肩の痛みも忘れる。2人を守らなければ……。一点に意識が集中し、刀が蒼い光をまとう。


「うおぉぉぉ! 」


 叫びながら、一瞬で間合いを詰め、袈裟けさに刀を振るう。が、その蒼い斬撃すらも、木の棒で受け止められる。


「へぇ~。霊具も使っていないのに、これだけの力が出せるなんて」


「クッ……。なんとしても守るんだ! 」


 ただ怒りに任せ、力の限り刀で押す。


「ふふ。じゃぁ、少しだけ」


 そう言うと、受け止めていた状態から蓮を力で押し飛ばし、後ろに退しりぞかせる。


 白服が木の棒に右手をえる。木の棒の蒼い輝きが増し、横に振りかぶって突進する。


 蓮は必死に初撃を刀で受けるもはじかれる。そこに手首を返し、2撃目が振られ、鳩尾みぞおちを殴打する。そして、身体が折れたところに、縦に振られた3撃目が頭部を直撃し、そこで意識が絶たれた。


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