§ 1-8 生まれ変わるための儀式
神殿から伸びる唯一の道は、大雑把に
しばらく歩き続け、一本道が辿りついた先には1つの扉があった。扉は古びた
「まずは、これを読んでみて」
「あぁ」
【 命の価値を示したいなら、この扉を開き苦難に立ち向かえ 】
どうやら、ここから出るには、この扉の先に進むしかないようだ。
どうやらここが目的地のようなので、彼女に尋ねてみる。
「そろそろ、いろいろ聞きたいんだど、いいかな?」
「えぇ。でも私が知ってることも、そんなに多くないけどね」
石碑の傍の岩場に腰を掛けて話し始める。
「……まずはここはどこなんだ? 最初の石碑には『地獄にようこそ』なんて書いてあったけど」
「どこかはわからない……。でも、地獄と言われても、もう疑わないわ」
「……さっきの化け物たちは?」
「あの
「毎日!? それに殺され続けるって……」
「そう、毎日。まぁ、私がここに来たのは7日前なんだけど。奴らに殺されると、夜になって、なぜか無傷で生き返るの」
「きみは7回も、あの恐怖と痛みを……」
「そう……。いくら抵抗しても、奴らには勝てない……。何度殺されても、あの痛みには慣れない……」
彼女は淡々と語るが、足は微かに震えている。
「なんで、他の者は何も抵抗しないんだ?」
「……すべてを
「諦めてる?」
「そう……。あなたも自殺したんでしょ?」
「! …………あなた『も』ってことは、きみも、なのか?」
「そうよ。ここにいる全員、自殺者みたい。書いてあったでしょ? 『自ら命を絶った者』って。ここにいるのは、おそらく全員、自殺した人。もっと言うと、みんな学生……」
確かにおれが見かけたのは、みんな小・中・高校生だった。
「なんで学生だけなんだ?」
「さぁ。それは私にも解からない。けど、自殺する学生が、あんな化け物に抵抗しようと思う? 何もできないで、ただただ
正直驚くが、
「……そのまま何度も殺され続けると、人じゃない生き物に生まれ変わる、ということか……」
「おそらくね。私が来てから7日の間でも、何人か居なくなった……。いつも同じところに座り込んでた男の子が、気づいたら居なくなってた……」
石碑にあった『何も感じない生き物』。それが、魚だろうが、虫だろうが、植物だろうが、それでもいいのではないかとも思う。それを望んで、ビルの屋上から飛び降りたのだから……。
「感情を無くさせてから、生まれ変わらせるのでしょうね……。まるで儀式ね。でも、あなたは違う」
「……どういうこと? 同じだよ……」
「あの化け物に立ち向かったのなんて、あなたが初めてよ。角まで折っちゃうだから」
そう言われると確かにそうだ。なんで俺は、あのとき戦ったのだろう……。倒れてた女子を見て、昔のことを思い出し、気がついたら怒りのままに刀を振るっていた。
「その力を見込んで、お願いがあるの!」
「……あれはたまたまだよ。期待されても困る」
「たまたまでもなんでも、あなたの力があれば、先に進めるかもしれない。あの村の先に……」
「村?」
「そう。この扉の先よ。私はどうしても先に進みたいの!」
彼女が指し示した鉄格子の扉の先は洞窟になっており、薄暗い空間が侵入者を拒絶するような、はたまた、無知な蛮勇を
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