10話 それでもキールはユリヤが好き

数日後


「ユリヤ! 会いに来たぞ」

「こんにちは。キール王子」

「つれないな。なんだか言葉にとげがあるぞ」「それはすみません」

「まあいいか。ところで最近忙しくて会えていないから寂しかっただろう?」

「いえ別に」

「相変わらず冷たいな」

「それで今日は何用ですか?」

「特にない」

「そうですか」

「しかし会いに来てやったのだ。もっと喜んでもいいと思うのだがな」

「ありがとうございます。それではこれで失礼しますね」

「待て待て。まだ話したいことがある」

「なんでしょうか?」

「実はな……お前に婚約を申し込みたいと思っているんだが」

「申し訳ありませんがお断りさせていただきます」

「即答だな。理由を聞いても構わないだろうか」

「今は誰とも婚約する気はありません。それだけです」「今はまだ無理かもしれないが将来は婚約してくれるのか?」

「わかりません」

「それならば考えておいてくれないか? 返事はいつでも良い」

「はい」

「それじゃあまた来る。さらばだ」

「さようなら」

こうしてキールは帰っていった。

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