7話 キール再び

 そして翌日の朝、ユリヤが学校へと歩いていると再びキールと出会う。


「おはよう、ユリヤ嬢」

「あら、殿下。ごきげんよう」

「先日は災難だったな。だが改めてお前と付き合いたいと思ってな。だから今日はこうしてお前のところに来た」

「申し訳ないけど、それはできません」

「理由は?」

「昨日の件でわかったでしょ?私はあなたのことに興味がないんです」

「ふむ。では興味を持たせることができれば問題ないということだな?」

「ええ、まぁ」

「ならば、俺の恋人になれ」

「お断りします」

「即答だな。その理由は?」

「簡単な話です。私は恋人を作る気がないので」

「そうか。俺は諦めんぞ」

「そうですか。頑張ってください」

「うむ。ところで話は変わるが、今日の放課後暇か?」

「いえ、予定があるので無理です」

「そうか。ちなみに何の用事なんだ?」

「秘密です」

「ほう。ということは男に会うのか?」

「違います」

「じゃあ女か?」

「秘密と言ったでしょう」

「まさか……デートなのか!?」

「違います」

「誰とするんだ?」

「しつこい男は嫌われますよ」

「ぐっ……」

「それともあれですか? 私に構ってほしいのですか?」

「ち、違う! 俺はただ純粋に知りたかっただけだ!」

「はいはい。わかりましたから、私はこれから学校があるので失礼しますね」

「あっおい待て!」


こうしてキールはユリヤを追いかけるも逃げられる。


「はあ、また変なのに気にいられたかも」


ユリヤは思わず教室で溜息をつく。


しかしこの後もキールからつき纏われることになる。

その度にユリヤは逃げるのだが、ついに捕まって交際を迫られることになる。


「いい加減にしてください」

「なぜ断る?」

「何度も言っていますが、あなたと付き合う気はないのです」

「では、他に好きな奴がいるのか?」

「はい」

「そいつはどんなやつだ?」

「あなたよりずっと素敵な方です」

「そんなわけあるか」

「あります」

「嘘をつけ」

「本当です」

「なら今度連れてくるといい」

「嫌です」

「なぜだ?」

「恥ずかしいじゃないですか」

「何を言っている。俺は別に恥ずべきことなどしていない」

「そうですね。でも私がダメなんです」

「まったくわからんな」

「とにかく、私は他の人と付き合いますので」

「それは俺よりも魅力的なやつか?」

「はい。絶対に負けません」

「そうか。ならば仕方ない。今回は引くとしよう」

「ありがとうございます」

「だが次会った時は覚悟しろ」

「はい?」

「必ず振り向かせてみせる」

「あの……」

「さらばだ!」

「行っちゃった……」


こうしてキールは去っていった。

しかしキールは諦めたわけではなく、後日また現れる。

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