6話 突然の告白
聞き間違いではなかったようだ。
「ちょっと待ってください。それはどういう意味で?」
「そのままの意味ですが」
「それは家族としてという意味?」
「いいえ。異性としての好きです」
「……」
頭が混乱してきた。
これはどう返事をすればいいのだろうか。
「ユリヤ様?」
「あ、ああ。すみません。少し考え事をしていました」
「そうですか」
「それでなぜ私を好きだと思ったのでしょうか?」
「それは……一目惚れです」
「一目ぼれ? 一目惚れって子供の頃から一緒だったのに?」
「はい。昔からずっとユリヤ様のことが好きでした。小さい頃はよく一緒に遊んでいましたよね」
「確かに」
「でも段々と成長するにつれてどんどん綺麗になって。そんなユリヤ様にいつしか恋心を抱くようになったのです」
「なるほど」
「そして今回婚約破棄されたことを聞いてチャンスだと思いました」
「チャンス?」
「はい。もうすぐ私たちは結婚することになります。それなら今の内に自分の気持ちを伝えようと思いました」
「な、なんというか行動力のある方ですね」
「褒め言葉と受け取っておきます」
「え、ええ」
「それでいかがでしょう。もしよろしかったら私とお付き合いしてくれませんか?」
「お断りします」
「そうですか。わかりまし――え?」
「お断わりします」
「え、あの。理由をお伺いしてもいいですか?」
「そうねぇ。まずはあなたと付き合う気はないということ」
「……はい」
「それともう一つ。仮に私が好きだったとしても、お父様やお母様が許さないと思います」
「っ!!」
「それだけではありません。私たちはまだ学生です。これから色々な出会いがあるはずです。なので今は誰かと付き合おうとは思いません」
「つまり……私のことは恋愛対象には見れないということですか?」
「そういうことです」
「そう……ですよね。いきなりこんなこと言われて困りますよね」
「そんなことはないわ。思いを伝えてくれたことは感謝してるわ。私を好きでいてくれてありがとう」
「ユリヤ様……」
「でもさっき言ったように、まだ誰かと付き合うつもりはありません」
「はい」
「でも友達になるくらいは構わないと思うわ」
「え?」
「だからまた話しかけてね」
「は、はいっ!」
こうしてユリヤは婚約者に振られ、新たに友達ができた。
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