第20話 彼女の冬服


七海ちゃんに出会ったのが6月後半の夏だったので、今は10月だ。


七海ちゃんと学校の部活で、久しぶりに再会して毎日、学校の送り迎えや海に行ったり、お互いの家であったりしていたが、4か月で俺たちは、婚約してしまった。


でも、なんだか、実感がぜんぜん、ない。


七海ちゃんとは、本当に昔のようなお転婆な女の子のイメージしかなくて、色黒で活発だったから、久しぶりに会った今の七海ちゃんとはかけ離れすぎている。


だから初めて通学路であったときにも、七海ちゃんとは気が付かなかった。


あの色黒で、髪は短く、活発だった女の子が、ま・さ・か、ここまでプロポーションが変わっているなんて。


あの色黒で、俺を泣かれてばかりいた七海ちゃんが!


ここまで美人になっているなんて


小さい時は、お風呂も入ったいたそうなんだけど、入ったと言う記憶はあるけど、七海ちゃんの裸を覚えていない。


まあ、その時は、胸もでていないしね。


でも、下を見た記憶でもあればと思うと残念でしかない……


まあ小さい頃に、その記憶があった方が、末恐ろしいけど。


ほんとうの変態だよね、今でも変わりないけど…


でも美人でスタイルも良くなっているから、数日間、七海ちゃんのことを、良いな、と思っていたけど、まったく気が付かなかったよ。


女の子の成長って、すごい、


俺はぜんぜん、変わっていないのに……。


だって七海ちゃんは、すぐに俺のことがわかったみたいだから。


七海ちゃんの制服も冬服で生地が分厚くなり、夏服と違って胸の大きさが強調されなくなってきた。


でも、大きさは、すごくわかるけど。


俺の学校の制服は冬服はブレザーになるし、寒くなると女の子はダッフルコートを着込む。


今は、そこまで冷えていないから、コートまでは来ていないけど。

残念な冬服になってしまった。


でも俺の高校は、チェックのスカートだから、人気があるらしい。


俺の妹の陽菜も、同じ高校を目指しているが、昔は、でもお兄ちゃんがいるしな、と言って嫌がっていた。



七海ちゃんは冬服になって肌寒くなってきたけど、相変わらずスカートの丈は変化なく、ミニスカートだけど、膝の上まであるニーソックスを履いている。


足が細くて長い七海ちゃんがニーソックスを履くのもいいもんだよ、本当は良いなんてもんじゃなく最高なんだけど。


生足の夏も良いし、冬のミニスカートから出た足にニーソックスを履くのもいいもんだね。


七海ちゃんが家に来るようになって妹の陽菜とは、関係が少し良くなってきたように感じる。


俺、昔はほんとうに、どうしようもない奴だったから、昔は毛嫌いされていたからな。


でも、妹にとっては、もう一人のお姉ちゃんみたいな七海ちゃんと付き合いだして、妹は変化してきている。


昔みたいに、奇異の目で見られることが少なくなってきたような感じがする。


昔は、俺が話しかけても、フンっ、て言われて何も話すことなく通り過ぎていたんだけど、最近は、それが少なくなってきた。


今日も七海ちゃんの家に迎えに行って、手をつないで登校しているところ。


もう少し歩くと人が多くなってくるので、手を離さなけらば、いけなくなる。

でも七海ちゃん、人通りが増えてきても、俺の手を離さない。


いつもは七海ちゃんの方から俺の手を放すんだけど。


今日は、人通りが増えても、俺の手を握ったまま。


「あの、七海ちゃん、手、いいの?」


「もう人に見られても良いから、このまま手を握っていても、いい?」

と七海ちゃんから言われた。


俺は「うん、俺は良いけど、冷やかす奴が……」


「そんな人が言ってきても、私は大丈夫だもん」


「悠くんは、イヤ?」


「いや、俺は大丈夫」


「そう、よかった、わたしね、嫌な女なんだけど、他の人に悠くんを取られないようにしたいの」


「そうなの?」


「うん、悠くんって、女の子たちの人気が上がっているんだよ」


「そうなの?、俺って、そんなにもてないよ」


「悠くんって、運動も勉強も最近、頑張っているから注目度が上がってきているんだよ」


「そうなの?」


「クラスでも、女の子たちの話が耳に入るんだけど、時々、悠くんの話をしているのよ」


「それは俺と七海ちゃんが、よく一緒にいるからじゃないの?」


「まぁ、それも少しあるけど…」


「七海ちゃんが俺のことを考えているから、その噂話が耳に届くんじゃないの?」


「あっそれもあるかも…なるほど……」


「私が、いつも悠くんのことばかり考えているからか~」


「ぜったい、そうだよ」


「俺なんか、もてるわけないよ」


「そうかなー?」


納得が、いかない七海ちゃん、1本の指を立ててアゴに当てて考え込んでいる。


なんだか、そのしぐさが、かわいい…いつまでも見ていたい、しぐさ、だ。


そんなことを話していると、学校の門をくぐった。


そうすると後ろから七海ちゃんの友達が話しかけてきた。


七海ちゃんの友達の吉田真理と言う名前だったかな?


「ななみ、あんたたちいつも一緒だね」


「うん、幼馴染みだから」


「それだけじゃないでしょ、ななみ」


「前は人前では手なんてつないでいなかったでしょ、どうしたのよ、学校にきてまで、手をつないでいるし、幼馴染みって言うんだったら手なんかつながないわよ」


俺たちは手を離した。


それを見ていた真理は「人に言われたからって、手を離さないで良いわよ」


「もう、二人が付き合って恋人の仲だっていうことは、学園中の噂になっているわよ、だからちょっとやきもち焼いちゃって、言っただけだから、そんなに気にしないで、ななみ」


「ごめんね、真理、やきもちやかせて」


「おっ、ななみ、言うようになったわね、ちょっと前だったら、顔を赤くして下を向いていた七海が言い返すなんて、どういう心境の変化?」


「わかってないわよ」


「ほんとう、七海、もう経験したんじゃないでしょうね」


「何をいうのよ、真理」


七海ちゃん、顔を赤くしている。



「おっ七海が顔を赤くした、という事は……」


「違うわよ、真理」


「えーと悠くんだっけ?、七海と経験した?」


「してないよ」


「ほんとうなの?」


「うん、ほんとうだよ」


「七海ちゃん、誘導尋問に引っ掛かりすぎ」

「えっ…」


「あっ、おしい、ばれたかぁ、もう少しだったのに、七海は純粋だから、引っ掛かりやすいと思ったのに、残念…」


「もう、真理ったら」と言いながら、真理の背中をポカポカたたいている、七海ちゃん。


もう下駄箱の前に来たので、俺は2人と別れた。



教室に俺が入ると、友達のタカシまで聞いてくる。


「おい、悠人、今日、朝、見たぞ」


「何を見たんだよ」


「おまえ、七海ちゃんと一緒に手をつないで歩いていたな、このやろ、あんな可愛い子と」


「いま、七海ちゃんと付き合っているんだ」


「まじか」

「ああ」


「へーそうなんだ、まっ、友達として嬉しいよ、やっとお前に春が訪れたか~」

「そういうお前は、どうなんだよ、タカシ」


「おれか、俺は理沙ちゃん一筋だから」


「進展してんのか?」


「まぁ、そのなんだ…」

「進展していないのか?」

「いや、このまえ、彼女の家まで行ったよ」


「そうか、そして…」


「その彼女の部屋でキスした」


「へ~、それから……、早く言えよ」


「キスして胸を揉んだ」


「ほんとうか? やったな! 胸揉んだのは服の上からか、それとも…」


「直に揉んだ」


「うおーすげえな、お前、それから、その先は……」


「胸揉んだあと、パンツの上からアソコ触った、温かくて柔らかかったぞ」


「お前、すげえな」


「そして、そして、早く話せよ」


「そうしたら、彼女の母ちゃんがきてよ、怒られた」


「えっ」


「うちの子に二度と近づくなって言われた……」タケシはショックを受けて顔を暗くしてうつむいた。


タケシは今日の授業は落ち込んだまま、部活休むと言って帰っていった。


「理沙って天文部の…」


「うんそう…、タケシ、理沙ちゃんが昔から好きだから」


その話を七海ちゃんに期待を込めて言うと、七海ちゃんは、「へ~そんなことがあったんだ」としか言わなかった。


七海ちゃんに何かを期待していたけど、………



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