第19話 彼女と婚約
七海ちゃんと俺は、高校生だから、仮と言う言葉がついてしまうが、婚約した。
ほんとうに、形式だけ。
あくまでも勉強ができない俺の解釈だけど、婚約と言う言葉が将来結婚することになる決まった人がいると言うことになる。
婚約しても、結婚に至らない場合もある。
だから、まぁ、あくまでも予定だが。
でも高校生の俺にとって、七海ちゃんと婚約したという言葉だけでも、気持ちを納得させることができる感じになっている。
七海ちゃんと婚約者かぁ~
たぶん、俺の今までの生活態度が、本当に180度変わってしまったので、両親が考えたことだと思うし、七海ちゃんのお母さんの考えもあると思うけど。
もちろん高校生なので、本当に形式だけのものになるが。
これで2人は将来結婚することを約束したと言う意味でもあると思うんだけど。
それだけでも、変な意味で言えば、「俺の女」と言う意味あいがある。
切っても離れない存在というのが婚約者と言う感じかなと思うが、今はまだ、切ったら離れてしまう。
仮だから。
七海ちゃんは、4月の23日に生まれているので、16歳になっているそうなので、16歳であれば結婚できる年齢だ。
しかし男は、実は俺も4月3日生まれなんだ、
だから七海ちゃんと同じ16歳だから男は法律で18歳しか結婚はできない。
俺たちは2階に上がってきた。
2人して俺の部屋にきたが、なんだか、ぽや~として、冷めてない感じ。
母親が、急に言い出すもんだから、何だか分からないうちに婚約してしまい、七海ちゃんとは、婚約者と言う感じになってしまった。
一番の理由は、たぶん、引っ越した時に七海ちゃんが精神的に落ち込んでしまう軽い不登校になったのが原因だと思う。
七海ちゃんを精神的に安定させるもの形式だけでもいいから、と言う意味もあると思う、
でも七海ちゃんを見ている限り、そうは見えないけど俺に心配させないように、振舞っているのかな?
「七海ちゃん、さっき俺の母親が言っていたことって聞いてい良い?
言いたくなければ聞かないけど」
「私ね、北海道に引っ越しするってことが、よくわかっていなかったの。
お母さんから、こんど引っ越すことになったからって聞いて、フーンそうなんだ~ってだけ、思っていたの。
そうしたら、知らない所に家族と言って、ここには悠くんがいないことに気が付いたの。
もう悠くんに会えないと思うと、それだけで涙がでてきてしまったの。それから学校にも行けなくなって、でもやっと学校に行けるようになったんだけど、毎日、悠くんと遊んだことを思い出していたの。
そうしたら小学校5年くらいだと思うんだけど、毎日、悠くんを考えていたら、これが好きってことなんだって初めて気が付いたの。
でも悠くんに手紙を出そうと思ったんだけど、もう彼女がいるかもと考えると、それを聞くのが怖くて……手紙を出すこともできなかったの。
こっちに帰ってきて、部室で悠くんらしき人が座っているから、本当にびっくりして、あー悠くんって変わっていないなと思って、私、勇気を出して声かけたんだよ……」
「そうなんだ…」
「じつは、俺、七海ちゃんに部室で会う前に、通学路であっていたんだよ」
「えっ」
「おれ、母さんが言うように、文句ばかり言う、どうしようもない男だったんだ。あのときも、学校いくのが嫌でダラダラ歩いてたら、角から七海ちゃんがさっそうと出てきたんだよ」
「えっそうなの?」
「うん、すごいスタイルが良くて、かわいい子がいたから数日は、あとをつけて、あの子、いいなって思っていたんだよ」
「そうだんだ…」
「あんな子が、俺に振り向くわけないと思っていたから、そして、もう彼氏がいるだろうなって、見ているだけで、いいやって思っていたんだ」
「でも、だんだんと思いが募ってきて、なんとか話すことができないかなって。
そんなとき、友達に誘われてた、部活に行ったんだ。そうしたら、そこに七海ちゃんが声をかけてきてくれて……」
「そうなんだ…」
「でも、七海ちゃん、可愛くなりすぎだよ」
「えっ」
「だって、昔の面影、全然なくて、綺麗だし、スタイルは良いし、足なんかのスラットしているし、身長も高いし。
むかし、遊んだいたときに、撮った写真があるんだけど、それを見てもわからなかったよ」
「その写真、見せてくれる?」
「うん、いいよ」
おれはアルバムを本棚から出して写真を1枚、取り出した。
「はい、この写真」といって七海ちゃんに差し出す。
七海ちゃんは写真を見ている
「うわーなつかしい、この写真」
「覚えてる?」
「うん、悠くんのお母さんが遊園地に連れてってくれた時の写真だよね」
「そうだよ」
「あのとき、楽しかったね」
「そうだね、あっ、七海ちゃん覚えている?」
「うん?なにを」
「七海ちゃん、ソフトクリームを食べようとして、落としたんだよね」
「あっ、それ、おぼえてる、私が泣いちゃって、そうしたら悠くんが、自分のをくれたんだよね」
「そうそう」
「わたし、悪いと思って一緒に食べようっていって2人で同じソフトクリーム食べたよね、おいしかったよね~」
「あっ、でも、それって間接キスだ」
「ほんとうだ、そんなときは、思わなかったね~」
「ほんとうに」
俺たちは笑いあう
そのときに俺の母親がコーヒーとお菓子をもってきてくれた。
「なんだか、たのしそうね」
「はい、むかしの写真をみせてもらっていたんです」
「どれどれ…」
「あ~これね、このとき悠人が、冷たいものを食べすぎてお腹壊しちゃって、大変なだったね」
「え~そうなことがあったんですか?」
「うん、この子が、冷たいものばかり欲しがるもんだから、お腹壊すよって注意したんだけど、遅かったよ」
七海ちゃんが、面白そうにクスクス笑う
おれは、赤っぱちをかかされて顔が赤くなる
母親が部屋を出ていきながら、「あんたたちは、ほんとうに昔から仲がよくて、お似合いだよ」といって出ていった。
「おばちゃん、お似合いだって」
「婚約者だからね」
「そうだね、婚約って、なんか響きが良いよね」
「あ~でも、今日は悠くんの家に来れて、よかったな~」
七海ちゃん、すごくうれしそう。
こんな七海ちゃんが不登校になったり、精神的に不安定になった言うことが信じられない。
しかも俺に会えなくなったからと言う理由だけじゃないかも知れないが…
おれ、そのあいだに、何していたんだよ、自分に腹がたってきた。
グータラグータラして親に文句ばかり言って、ほんとうに、腹がたつ。
もっとやることあっただろう。
七海ちゃんが苦しんでいるときに、ほんとうに俺って、どうしようもない!!
「ごめんね、七海ちゃん」
「えっなに?」
「おれ、七海ちゃんに出合うまえ、全然、努力してこなかった」
「うん……さっき聞いたよ」
「俺、七海ちゃんに似合うように、今からでも努力するよ」
「うん、がんばって、大好きな悠くん!」
「私も悠くんが、いつまでも好きでいてくれるように頑張る」
七海ちゃんは、こぶしを握ってガッツポーズをした。
「七海ちゃん、あんまり筋肉つけすぎないようにね」
「えっ、どうして?」
「おっぱいが、なくなるかも知れないから」
「もう…また悠くんのエッチが始まったよ…」
七海ちゃんは面白そうにクスクス笑った。
俺たちはもうしばらく、部屋にいて七海ちゃんを家まで送っていった。
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