第12話 彼女とお出かけ

俺たちは定期試験もやっと終わってた。


俺の試験の結果が上がったことで母ちゃんに喜ばれて、

「これも七海ちゃんの効果かね~七海ちゃんのおかげなんだから、七海ちゃんと、彼女となにか食べに行きな」


と母ちゃんから特別な小遣いをもらった。


毎月の小遣いはもらっているけど、特別な小遣いは始めてだ。


定期試験も終わって結果も良かったことで、前に予定していたプールか、海に行くことを考えた。


どちらも七海ちゃんの水着が見られるから、どちらでもいいんだけど、どっちにしようかな。


レジャープールは、バスで30分くらいの距離である。

海は、電車で1時くらいかな。


七海ちゃんに、選んでもらおうと思う。


学校の部活が、終わった後に帰りながら話すことにした。


「ねぇ、七海ちゃん」


「うん、なあに」


「この前、プールか海に行く話しをしていたと思うんだけど」


「もし、七海ちゃんさえよければ、今度の日曜日どう」


「あっ、私も今、言おうと思ったのに、先に言うんだもの」


「だって、ななみちゃんの水着姿を想像したら、鼻血が出て止まらなくなるよ」


「もう、本当に悠くんたらエッチなんだから」


「ななみちゃんは、どんな水着を着て行くの」


「では、秘密」

「えー、教えてくれないんだ」


「当日の1番の楽しみでしょ」

「まぁ、それはそうだけど」


「1番の楽しみは、当日に取っておきましょ」

「わかったよ、もう聞かない」


「でも、1つだけ」


「なぁに」

「ななみちゃんは、ビキニを着るのそれともワンピース」


「それも教えてあげない」七海ちゃんは意地悪そうな顔をしている。


「じゃあ、さぁ、色は」


「う〜ん、どうしようかなぁ」

「お頼み申します、お代官様」


「じゃぁ、悠くん、特別だよ」


「何色?」


「白だよ」


「へー、白い水着かぁ」


その言葉を聞いていたななみちゃんが、

「悠くん妄想は、だめだよ」

「えっ〜、それもダメなの」


「だめ、だめ」

「当日、悠くんに水着を見せてびっくりさせてあげるんだから」


「わかったよ、でも今から楽しみだなぁ、あっ、いっけね、よだれが出てきた」


俺は、口元を拭うことをした。

「もう、悠くんたら」


俺は、七海ちゃんが笑ってくれることが本当に嬉しい。

「じゃぁ、どっちに行こうか」


「あっ、そうだったわね、そうね、海がいいかな?」


「悠くんは海でいい?」


「うん、俺は、七海ちゃんと行くんだったらどこでもいい」


「そっか、悠くんは、私とだったらどこでもいいんだ」


「ホテルでもいいよ」


「もう、なんてこと言うのよ」


と七海ちゃんは顔を真っ赤にしながら叩いてきた。

「もう、七海ちゃんたら骨が折れるよ」


叩かれたところに、手を置いて痛そうにしながら、七海ちゃんは、

「そんなんで折れるわけないでしょ」


俺達は2人して笑いあった。


「もう、悠くんたら話しが、うまいね」


俺が真顔になって「七海ちゃんが笑ってくれるのが、俺は一番、嬉しいから」と言うと、七海ちゃんは、「私を守ってくれたり、楽しませてくれる悠くんが大好きだよ」


そして俺たちはななみちゃんの家に帰り着いたので、おばちゃんに「七海ちゃんをお届けに参りました」と冗談めかして言ったら、おばちゃんも「はっ、受け取ります」と敬礼しながら言ってくれた。


3人で笑いあった。


幼なじみだった昔の時間に戻っていくようだ。



今日は日曜日なので、七海ちゃんと2人で海に行くことになっているので、なんだかウキウキしているのと同時に、すごい緊張している。


夏でもあるけど、手に汗が出てくる。


俺は黒色のポロシャツを着て、下はジーパンを着てスニーカーを履いている。


七海ちゃんが、どんな格好で来るのか期待もしている。


そういえば、学校以外で、2人で、どこかに行くと言う事は今までなかった。


今、俺がいるのは、七海の家の前の公園だ。


以前、海に行く話しをした時に、待ち合わせはどこにするって聞いたら、小さい声で一人じゃ怖い、と言っていたので。


まだ七海は、まだ一人で家から出るのは怖いらしい。


だから待ち合わせは公園じゃないんだけど、待ち合わせ前なので時間調整で公園にいる。


本当の待ち合わせ場所は、七海ちゃんの家。


本当は、待ち合わせの場所は、駅とか、何かの前が普通だが思うけど、俺も七海の家で待ち合わせの方が安心する。


ななみにとっては、海に行くことも人混みに行くことも怖いかもわからない。


生きていくためには、どこかで吹っ切るしかない。

最近、俺も、腕立て伏せとか腹筋とかジョギングとか考えられる事はやっている。


異世界に行ってチート能力がつけばいいけど、現世ではそんな事はありはしない。


誰かを好きになると言う事は、誰かのために何かをしてあげなければいけないと言うことだ。


俺が協力しなければ、誰がするんだ。


俺しかいないだろ、と言う言葉を俺はいつも考えるようにして頑張っている。



俺も待たされるのは慣れている。母ちゃんと姉ちゃんとお出かけすると、待たされるから。


まだ時間の前なので、待っているわけでは無いけど、俺が早く来すぎただけ。


もう少ししたら家に行くことになっている。


それまで公園のブランコに乗っている。


ブランコに乗りながら周辺を何気なく見ている。


公園といっても、そんなに大きな公園ではない。


公園の中の遊具はブランコしかないから。


木が数本あって、街灯の方が多いくらいだ。


だから多分、夜は明るいと思う。


七海が出て来る前に周辺を確認しているが異常はないみたい。


周辺を見ていたら2階の七海の部屋のカーテンが揺れたので、もうすぐ出て来ると思う。


これは七海には内緒だけど最近は俺の家から、この公園までジョギングしながら走ってきている。


近くの自販機で冷たいコーヒーを買ってブランコに座りながら時間が来るのを待っている。


でも、家族と違って、彼女を待つと言う事は本当に新鮮で、ワクワク、ドキドキする。


彼女って言う響きがなんだか、高揚させてくれる。


今から1時間くらい電車に乗って海に行くわけだけど、日曜だから、どれぐらい人が多いかわからないけど安心して移動ができればいいなと考えている。


でも、七海にとっては、電車に乗って移動する1時間が苦痛かもわからない。


そして、あとは海だ。


約束の時間になったので冷たいコーヒーが、普通の温度になる頃には飲み終わって、ゴミ捨て場に捨てた。


俺はゆっくりとブランコから立ち上がってななみの家のほうに歩き始める。


家の前に来た


玄関の横の呼び鈴を押しすと、七海のお母さんが出てきた。


「あっ、悠くん、もうちょっと待ってもらえる、七海、今、メイクしているから、もう、七海ったら今日、大変だったのよ」


「ええっ、どうしたんですか?」


「それは、もう、わかっているでしょ、悠くんと初デートだもの」


「あははは、そうですよね、初デートなんだ」


そこに階段の上から七海が降りてきた。


「お母さん、悠くんに変なこと言ってないでしょうね」


「ええ、言ってないわよ、ね、悠くん」と片目をつぶってウィンクしながら行った。


「ほんとう?」と七海


「うん、何も聞いてないよ」


七海が玄関に来て靴をはこうとしていたので、俺は扉を開けて待つ。


そして靴を履いたななみは、お母さん、行ってきますと言って、いってらっしゃいと言われて出てきた。


今日のななみちゃんの洋服は、お気に入りの白いワンピースだ。


お気に入りと言うだけあって、白いワンピースがよく似合っている。


「コホン」俺はわざとらしく咳払いをして、

「ななみちゃん、白いワンピースがよく似合っているよ」と俺らしくない言葉を口にした。

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