第8話 彼女を元気にしたい

俺は、七海ちゃんの部屋の前で迷っている、何を言ったら良いんだろう。


彼女が怖い思いをしたのは、当然だと思う。


そんな彼女に俺が、なにを言ってあげる事ができるのか。


ええぃ、考えるよりも行動だ。


会ってから、考えれろ、といって自分を奮起させたけど…


俺も勇気をふりしぼりなければ…


幼なじみが大変なことになっているんだから


俺は、七海ちゃんの部屋のドアをノックする。

なにも返事がない。


もう一度、ノックする


そうすると今度は、「今、会いたくないから入ってこないで…」と


「ごめん、俺だけど、七海ちゃんのことが心配だから…会えないかな」


しばらくしたら、ドアが開いた。


七海ちゃんは、ドアを少し開けてくれたけど顔は、下を俯いてるいる。


俺は無性に彼女の笑顔が見たくなった。


「ごめん、七海ちゃん、部屋の中に入れてくれない?」


しばらくは、無言の時間が流れたけど、やっとドアから下がってくれた。


「いいの?」


七海ちゃんは、うなずいてくれる。


七海ちゃんの顔を、まだ、まともに見ることは、できないけど目の周りが赤いみたい。


七海ちゃんは、ベットの上に座ったので、俺も勇気を出して七海ちゃんの横に腰を下ろした。


体を触れ合わせるくらいに七海ちゃんの横に座っている。


七海ちゃんの体の温かさが感じられる。


七海ちゃんの体の温かさを感じる時間だけがすぎていく。


七海ちゃんの横にいても、言葉が見つからない


部屋の時計の音がイヤに大きく感じる。


秒針以外の音しかない時間が流れていく、1秒、1秒の時間が長く感じる。


俺は、横に座っている七海ちゃんを抱きしめたい気分に襲われる。


七海ちゃんを抱きしめたい


七海ちゃんはベットの上に座って、身動きしないで座っている。


俺が、来るまで泣いていたことは、明らかなのに、今は、涙は、流していない。


…………………


しばらく七海ちゃんの横に座っていると

「ごめんね」


俺は、びっくりした。


「えっ、どうして七海ちゃんが謝るの?」


「だって悠くん、殴られて‥」


「だいじょぶだよ、こんなの、へっちゃらさ」


俺は、殴られたあとを触ったけど、まだ痛い。


「青くなっているよ」


「えっほんと?」


「うん……ごめんね私のために」


「大好きな七海ちゃんを守るためなら俺、頑張れるよ」


「悠くん、ありがと」


ななみちゃんが涙を流し始めたので、俺は、自然と七海ちゃんに寄り添い七海ちゃんを抱きしめていた。


また、どれほどの時間が経っただろうか


時計を見るのも、もどかしいほどの時間だった。


しばらくすると七海ちゃんが、ゆっくりと話し始めた。


「私、林の中に連れ込まれて、胸をじかに触られたの、必死で抵抗したんだけど、ダメだったの」


俺は、その言葉を聞いて、少しショックだった。


ショックだったのは七海ちゃんの体を守ることができなかった自分にだ。


しかし彼女の方が、俺よりも、ショックが強いことはわかる。


今、俺がなすべき事は、彼女の横にいることだ。


そして心の支えになってあげること、そして忘れるくらい楽しくさせてあげること


もう起きたことは無視できない、七海ちゃんの心の傷が早く癒えるように願うだけ。


俺は何も経験がないけど、なんとなく七海ちゃんは、そうして、もらいたいような気がする。


時間を見ていないので夜中だけど、時間なんか関係ない。


七海ちゃんの心が癒えるまで、何時間でも俺は、そばにいたい。



どれぐらいの時間が経っただろう!


俺はベットから立ち上がって突然、跪いて「相澤七海さん、俺と正式に恋人になっていただけませんか?」と変なことを口走ってしまった。


今までも、なんとなく、そんな感じが出ていたと思うんだけど、自分の口から正式に言わなければいけないと思ってしまった。


七海ちゃんは顔を伏せたまま目だけ一瞬、上を見て、「幼なじみや友達からじゃないんだよね…」


「もちろんさ」


「私、あの男に胸を見られて、触られたんだけど、いいの」


「そんなことで七海ちゃんのすばらしさは変わらないよ、裸なら俺の方が、先に見ているから」


「それは子供の時でしょ、もう」 七海ちゃんが少し明るくなってきた


まさか、こんな俺が女性に対して冗談を言うとは思わなかった、自分でもびっくりしている。


いままで家族にもうるさいとしか言わなかった俺が……


「子供の時に、七海ちゃんの真っ裸を見ているから」


クスクス笑いだした、


「うふふっ」


蒸し返すのは良くないと思うけど、「見られたのと、触られたのは胸だけでしょ、俺なんか、この前、七海ちゃんのパンツ見たんだから。」


「あー、やっぱり、あの時、見たんだ」


「うん、バッチリ、白いのが…」


本当は、そこまで、バッチリ見ていなかったんだが、見たことを告白するんだったら、もう少し、しっかりと見ておくんだった。


「もう本当に悠くんたらエッチね」


よし、だいぶん声が戻ってきた。


「ねぇ、七海ちゃん、俺も、あの場に、いたんだから秘密にしておく必要もないし隠す必要もないから、七海ちゃんが胸を見られたり触られた事はショックだけど、俺が守ってあげたいと思うのは、七海ちゃんだけだから、俺に隠す必要もないし、七海ちゃんの頼りないけどナイトになりたいんだ」


七海ちゃんの顔が明るくなってきた。


「うん、ありがとう、悠くん…」


「わたしも、悠くんと付き合いたいなって前から、思っていたからうれしい、‥‥‥悠くん、こちらこそ、お願いします、わたしと付き合って下さい」


「もちろん、七海ちゃん」


俺たちは付き合うことになった。


今日から幼馴染み、友達じゃなく、恋人どうしになった。おれは、すごくうれしい。



「七海ちゃん、俺は現場にいたから、すべて知っているからね、嘘や黙っていることなんてないんだからね、 そして七海ちゃんが、どれだけ、おっぱいが大きいか知っているんだから」


七海ちゃんは顔を赤くする


「もう、ほんとに悠くんたらエッチなんだから、そんな悠くんに、お礼…」


と七海ちゃんは言って、俺に近づいてきて下を向いたまま、‥‥‥しばらく、そのままでいたが、俺は何をするんだろう?と思っていたが、七海ちゃんは、顔を上げて目を閉じて顔を近づけてキスをしてきた。


俺は、びっくりした。


俺のファーストキスだっから、というよりも、七海ちゃんの唇の柔らかさがたまらない。


七海ちゃんもキスするの、初めてなのかな?

……だったらいいな。


七海ちゃんと会ってから、まだ数週間しか経っていないのに、こんな俺が好きな女の子とキスできるなんて。


「あんな男のことなんか、忘れさせて」


七海ちゃんは、そう言って、俺の手をとって七海ちゃんの胸に置いた。


彼女は真っ赤になっていたが、嫌な事は忘れたいんだろうと思って、俺は手を動かすことなく七海ちゃんの胸の上に手を置いたままにした。


しばらく七海ちゃんの胸の上に手を置いたままにしておいたら、「もう悠くんたら、いつまで触ってんの」と言われて、胸の上に置いていた手を降ろされたけど、その手を握ってくれた。


「本当にごめんね、一緒に帰るとこだったのに、先生に用事を言われて、LINEも送ったんだけど、電話もしたんだけど連絡がつかなくて、本当に必死で探したんだよ」


「ごめんね、校門で悠くんを待っていたら、あいつが来て、強引に手を引っ張っていったの、本当に逆らえなくて怖かったわ、多分、悠くんがLINEをしたのは、着信の音がしたから、その時だと思うの…… 本当にごめんなさい」


「いい、七海ちゃん、今日からは、ななみちゃんは俺の恋人だからね」


「…はい これからも守ってね」


「恋人を守るのは、当たり前だよ、七海ちゃんも、頼りない俺だけど、僕を頼ってくれると嬉しいな」


「実はね、引っ越した後もずっと悠くんのことが好きだったの、だからまた悠くんがいる街に戻ることができて本当は、すごく嬉しかったの、でも、なかなか悠くんに会えないんだもの。そうしたら部室に昔の悠くんを大きくしたような人が座っているんだもの。思わず私から声をかけちゃった」


「へーそうなんだ」


「だから、好きになったのは私からだからね、これからも、よろしくお願いします」言って七海ちゃんは頭を下げた。


そうして、俺たちは自然とお互いが近寄って、もう一度、キスをした。


キスをしたのは初めてなのに、自然にキスすることができた。


そして彼女は、もう一度、俺の両手をとって、両方の胸に当てて、「少しでいいから忘れさせて」と彼女は言ったので、俺は少しだけ彼女の豊満な胸を揉んだ。


しばらく彼女の胸を揉んだ後、彼女は落ち着いたように見えたので、おじさんとおばさんが心配すると思ったので下に降りていった。


やはり、おじさんとおばさんは起きていた。


その時に初めて時計を見たら、夜の3時を過ぎていた。


下に降りてきた彼女の顔を見たおじさんとおばさんは、泣き出した。


そして彼女が2人に近づいていき両親を抱きしめた。


「もう、大丈夫だよ、心配かけて、ごめんなさい」と七海ちゃんは2人に話した。


「悠くんのおかげで、元気になることができました」


なぜか、七海ちゃんが、こちらをチラッと見て、

「お父さん、お母さん、悠くんから交際宣言があったので、私たちは付き合いたいと思います」と七海ちゃんが爆弾宣言をした。


「あら、そうなの」


「悠人くんなら任せられるな、よろしく頼むよ、息子よ」


おじいさんが悪乗りしている。


恥ずかしいけど、仕方がなかったので

「七海さんとお付き合いさせてください」


「よし認めよう」


「いいわよ」と2人とも言ってくれた。



本当に大変なことがあったけど、これで俺たちは晴れて公認の中になった。


「そういえば、悠人君、もうこんな時間だけど、これからどうする、昔みたいに七海の部屋に泊まってっていてもいいぞ」とおじさんまでワルノリ状態で行ってきた。


「いえ、そこまでは…」俺は、急に言われてあわてた。

そんな俺を見ながら、3人は笑っている。


「もう夜遅いと言うよりも朝ですけど、今から帰ります」


「明日また、よかったら迎えに行きたいんだけど」と七海ちゃんに告げると、


「本当は、学校なんて顔を合わせたくないから、しばらく休もうかと思ったけど、何かあったと勘ぐられると嫌だし、悠くんがいるから、また明日から、よろしくお願いします」と言って七海ちゃんは頭を下げた。


じゃぁ、また明日と言って、俺は七海ちゃんの家から出てきたら、少しだけ明るくなり始めていた。


俺んちの家族には、おじさんが話をしてくれるけど、今は朝早い、7時ごろに電話して説明してくれることになった。

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