第7話 彼女が危ない

七海ちゃんと初めてLINEで話した、次の朝、俺はいつも通りに目覚まし時計よりも早く目を覚ました。


今日も七海ちゃんに会いに行くために、制服に着替えて朝食を済ませ家を出る。


「最近、お兄ちゃん早くなったね」と出掛けに陽菜が言っていた。


「それだけ、七海ちゃんのことを思っているのかもね〜」


と俺がひいていないと思っているのか母親が言っている。


俺はしっかりと聞いていたから、顔が赤くなった。


早く歩いて15分ぐらいで七海ちゃんの家の前に到着したが、いつも通りまだ早いと思って七海ちゃんの家の前の公園のブランコに乗っている。


なんだかブランコに乗るのも久しぶり


小さい時は七海ちゃんとブランコで遊んで、競争したりした。


俺がブランコに乗っていると、2階の部屋からカーテンを開けて七海ちゃんがチラッと見たと思ったら、しばらくしたら出てきた。


「悠くん、おはよう」


「おはよう、七海ちゃん」


俺がブランコに乗っているのを見て、七海ちゃんも横のブランコに乗る。


「家の前にブランコがあったって、あんまり乗る機会がないもの…本当にブランコって久しぶり


家の前に公園があるのに、ブランコを置いてあっても、あまり乗ることもないのよね…結構ブランコに乗るって勇気がいるのよ」


公園があって、何気なくブランコが置いてあったって、大人になってしまえば乗ることもない


本当に子供から大人になることって、なんだろう?

子供らしさをなくしていく、ことへの怖さなんて誰も感じていない。


ただ時が流れて、いつの間にか大きくなっていくだけだ。


そしていつの間にか時代の流れとともに老いていく


俺はなんだか、大人になることが切なくなってくる。


しかし、いつまでも、このままじゃいられない


考えなくちゃいけないんだろう


その時にななみちゃんのお母さんが、「七海、急ぎなさい時間になるわよ」


「いけない…ちょっと待っててね」


「うん、わかった」


ななみちゃんが急いで家に戻っていった。


そして、すぐに学校に行く用意をして戻ってきた。


「ねぇ、悠くん、今度の休みの日に、どこかに行かない?」


「えっデート」


「あっ、そうか、出かけるってデートになるんだ」

少し七海ちゃんの顔が赤くなった。


「うん、そうだね」


「じゃぁ、付き合いだして初デートね」頭顔を赤くしながら七海ちゃんが言う


そして俺たちは時間がなくなったので学校に急いで登校した。


七海ちゃん、走ったら、スカートが短いし、やばくないかな。


でも七海ちゃんは、両手でスカートの裾を持って走っている。


なるほど…これで少しは安心だ。


何とか時間に間に合って、良かったと思った。


そして授業を受けた後、七海ちゃんに会えると楽しみにしていたら、今日は部活がない日だった。


俺は先生から、用事を頼まれて、少し遅くなるとLINEに連絡をしておいたんだけど、既読もないし返信がなかった。


あれ、おかしいな


どうしたんだろう?


俺は疑問に思って、七海ちゃんに電話してみた。


でない


俺は学校中を探し回った。


どこにいるんだ七海ちゃん


途中にななみちゃんの友達に会ったので聞いてみると、カバンを持ってもう帰ったと言った。


でもおかしいよな、LINEもいまだに既読もつかないし電話しても出ないなんて。


俺は、焦っている


帰ったと言うなら、学校の校門から走って出てきて家の方面に向かうことに。


大きな通りには七海ちゃんの姿はない。


スマホにななみちゃんの写真が入っているので、近くにいる生徒に見せたりしながら探すことにする。


そうすると1人の女生徒が、ななみちゃんのクラスメイトだと言って、見たと言ってくれた。


そうすると男の人と話していたと。


どのあたりで話していたのか聞いて、俺は急いで、その場所に行く。


もしかしたら、以前、俺を殴ったやつなのかな?

俺は本当に焦って探した。


しかし見つからない


範囲を広げてみることにした。


家から七海の家までだけじゃなく周辺も探してみる。


危険な目に遭っていなければいいんだけど。


俺は大きな道だけじゃなく、小さい路地も探した。

急がなければ…


空き地や竹林の中も探してみると人影と声がした。

この竹林は竹が多すぎて周辺からは、見にくくなっているので痴漢の多い場所として有名だ。


声がした方に急いでいると学校の制服が見えた。


でも、学校の制服を着ている子は、明らかに女子生徒だけど、その女子生徒は、倒れた状態だ、その上に男が乗りかかっている。


倒れている女子生徒は、やめて、とか、いや〜、と言ってるところを見ると、やばい状況だとわかる。


俺は、今までこんな早く走れるなんて知らないくらい、すごい勢いで走った。


七海ちゃん、と大声で叫びながら走った。


おれが竹林をかき分けながら、進んでいくと、高校の制服が見えた。


そして、その上に男がいるのが見える。


俺が竹林をかき分けながら近づいていくと見たのは荒んな光景だった。


七海ちゃんの上に男が馬乗りに乗っている。


七海ちゃんと男の手を握り抵抗しているみたい。


男は、七海ちゃんが握る手を振りほどき、胸を触ようと、制服をめくっている。


また男の手が七海ちゃんに阻止される。


また男は、マッサージの手を頭の上で両手を固定して、制服をめくろうとしている。


七海は、制服は着ているが、ブラジャーが少し見えてる。


足をバタバタさせていたみたいで、白いショーツも見えてる。


おれは、「七海ちゃんっ」と叫んだ。


男が俺の声を聞いて顔を上げた。


俺は七海ちゃんの上に乗っている男に、とびかかった。

男と俺は、七海ちゃんから離れて転がっていく。


俺が上になったり、男が上になったりしながら、転がる。


転がりながら、木で背中を打って、やっと止まった。

男が上になっている


男が俺の顔を殴ってくる。


俺も男の顔を殴ようとしたけど、殴る事が出来なかった。


男の方が俺より、力が強い。


どうしようと思う時に、助けが来てくれた。


それは七海ちゃんのお父さんだった。


その時に男が、七海ちゃんのお父さんの方を振り返ったので、俺は顔を殴ってやった、でも下になっていたので、たいしてきいていない。


七海ちゃんのお父さんが男を羽交い絞めにして、止めてくれた。


二人して男を押さえつけた


そして七海ちゃんのお父さんが警察に電話して警官に来てもらった。


俺たちも事情聴取に警察署にいかなければいけなくなった。


七海ちゃんのお父さんは、俺がすごい顔をして走っているのを見つけて、来てくれたそうだ。


俺たちは、七海ちゃんのお父さんと一緒に警察署に連れてこられた。


お父さんからの連絡で状況を知っていた、お母さんが警察署の扉を開けて、七海ちゃんに、駆け寄ってきた。


七海ちゃんが大きく声を上げて泣き出した。


「こわかったよ~、お母さん」


七海ちゃんのお母さんが、抱きしめている。


しばらくは七海ちゃんの声が止まることはなく、部屋に響いていた。


こんな七海ちゃんを見ているだけで、俺も、悔しくて、怒りを感じる。


どれくらいの時間がたっただろうか、俺にもわからないくらいの時間が流れて、やっと落ち着きを取り戻した七海ちゃん。


本当にショックだろう


どれほど怖かっただろう


たぶん、言い表せないものがあったと思う。


俺も、今の七海ちゃんに声をかけることはできなかった。


七海ちゃんが落ち着いたので、家に帰ることになった。


警察で、手当をしてくれたけど、まだ痛みが残っている。


警官からは病院に行くことを勧められたが、殴られただけだからと言って帰ろうとしたが、七海ちゃんのお父さんから家に来るように言われた。


七海ちゃんは、まだ泣いているけど落ち着いてきた。


七海ちゃんを抱きしめていた七海ちゃんのお母さんが、俺の顔をみて、まぁ大変と言って、家に来なさい、と言ってくれた。


父さんからは名誉の負傷だな、と言われた。


俺たちは七海ちゃんのお母さんが乗ってきた車で帰る事になった。


車の運転は七海ちゃんのお父さんがしている。


俺が助手席に座って、七海ちゃんとお母さんは後部座席に座っている。


七海ちゃんのお母さんは、七海ちゃんの肩を抱いて手を握っている。


七海ちゃんが、やっと落ち着いてきた。


車は、七海ちゃんの家に到着した。


俺は、七海ちゃん家に上がらせてもらった。


おれはこのまま帰ろうかと思ったんだけど、上がって顔を冷やしていきなさいと、七海ちゃんのお父さんから言われて、リビングで冷やしている。


俺の制服を七海ちゃんのお母さんが見て泥だらけになっているので、お風呂に入っていって、と言われたが、七海ちゃんの制服も、かなり泥が付いているので、七海ちゃんから、どうぞ、と言った。


しばらくして俺が顔を冷やしていると七海ちゃんが、お風呂から上がってきたので、お風呂に入る前に家に電話して、遅くなると伝え、次に俺が入ることにした。


七海ちゃんの泥で汚れた制服と靴下と下着が置いてあったが、もちろん触らなかった。


こんな状況で、できる事じゃない。


男物の服がないので、七海ちゃんのお父さんの服を借りた。制服は、七海ちゃんのお母さんが洗ってくれるみたい。


七海ちゃんは、お風呂から上がったあと部屋に引きこもった。


俺もお風呂に入ったので、顔はまだ、冷やしながら、おじちゃんとおばちゃんに事件のことを聞かれたので、説明した。


俺と七海ちゃんが一緒に帰る約束をしていたのに、七海ちゃんがいなかったこと。


そして、いつもはラインでメッセージを送ると、すぐに既読にならなくて、電話も通じなかったこと。


ここで普通じゃないと感じたこと。


校門からでて、通学路を探し回ったこと。


たまたま遠くから七海ちゃんの声が聞こえたこと

七海ちゃんを見つけたら、男が七海ちゃんに乗りかかっていたこと、などを話した。


これは警察でも聞かれたことと同じことを話した、何も知らない、七海ちゃんのお母さんがいるから。


「そんなことが……」


「「俺も、途中で悠人君が、すごい勢いで走っているのを見つけだんだ、そしたら悠人君が七海の名前を叫んだから、七海になにか、あったのかと思って急いだんだけど、悠人君が男と取っ組み合いをしていたんだよ。それに近くに七海がいたから、すぐに分かったんだけど……」


「でも、七海ちゃんのお父さんが来てくれて助かりました」


「俺一人じゃ、殴られているばかりだったから……ほんとうにすいません」


「何を言うんだよ、悠人君」


「そうよ、立派に七海を守ってくれたじゃない」


おれは何も返すことができなかった、涙が出てきたから……


袖で出てきた涙を拭きながら、俺は、しばらく、七海ちゃんと話をさせてもらえませんか、と言った。


「うん、君になら、任せられるよ、悠人君、七海を頼むよ」と


おじさんとおばさんに了解を取って、七海ちゃんの部屋の前にきた。


七海ちゃんは、かなりのショックを受けているだろう。


今、そばにいてやれるのは、俺だけだと思う。


俺は、全てを知っているから、何があったか話す必要もないし。


七海ちゃんの部屋のドアの前で、しばらく立ち尽くしている。七海ちゃんに会ってなにを言えばいいんだ?


でも、一番、ショックを受けているのは、七海ちゃんだ。


一人でいるよりも誰かといた方がいいと俺は、思う。


でも、なんて言えばいいんだ?


とにかく部屋に引きこもっている、七海ちゃんに会ってみなければ。

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