第4話 高橋め

 九十九からもらった昼飯を食べ終え午後の授業を無事に終えることができた。ありがとう、イケメン。ちなみに高橋にはしっかり分けなかった。すまんな、高橋。

 帰りのホームルームも終わり、あとは帰るだけとなったため、いつも通り朝香と陽葵を誘いに行く。


 「朝香、陽葵、帰ろうぜ」


 「ごめん、今日クラスの子たちに帰りに寄り道してこっていう話になって」


 「あぁ、別に気にしなくてもいいぞ」


 まぁ、せっかくの新しい出会いだもんな。仲良くなることは悪いことじゃないだろう。せっかくだから俺も野郎と親睦を深めるのもいいかもしれない。そうなるとまずは高橋が必要だ。あいつはもうクラスの連中と仲良くなってたから親睦会なるものも実はもう予定しているのかもしれない。


 「高橋、俺たちは親睦会みたいなものやらないのか?」


 「あぁ、今からみんなで行くところだぞ」


 やはりか高橋。お前を信じてよかったぜ。


 「だったら俺も――」


 「貴様は許さん」


 「は?」


 「昼飯のこと、知らないと思っていたか?」


 な、んだと?


 「お前のせいで、俺は午後の授業が地獄に感じたんだぞ」


 「俺のせいではないと思うが」


 「とにかく、遊びに参加したければ対価を支払うんだな」


 こいつ、相当根に持ってやがるな。正直、高橋はどうでもいいが他のクラスの連中と仲良くなる機会を失うのはもったいない。高橋はどうでもいいが。


 「二千円までならおごってやろう」


 「よかろう。ついてくるがよい」


 くっ!俺の少ない小遣いで高橋に貢ぐことになるなんて!

 だが、これで俺はボッチルートを進むことはなくなったな。そう考えると安いものなのか?

 もしかしたら、おごる相手が高橋じゃなければこんなにモヤモヤすることはなかったのかもしれない。おのれ高橋。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る