合コンに数合わせで呼ばれた結果、相手が「姉、妹、幼馴染」でした
ゆるん
第1話
「すまん、遅れた」
店に入って開口一番は席に座っている友人に向けての謝罪から入った。
「気にすんな」
「これから始めるところだったから大丈夫だ」
その声に反応した工藤良治(くどうりょうじ)と鈴木琢磨(さとうたくま)は俺の数少ない大学の友人だ。
個人的に合コンへの参加は乗り気ではなかったが、
数合わせでいいからと頼み込まれ、レポートを手伝うことを条件に参加することにした。
もちろん今日の支払いは全て工藤と鈴木持ちだ。
ここは譲れないポイントの一つだ。
一つ言わせてもらうと、何が嬉しくて行きたくもないのに参加してお金を払わないといけないんだと思ってしまう、それならソシャゲのガチャを回したほうが10倍いや100倍有意義だと思うぐらいには俺はオタクだ。
「遅いよー」
「おつかれー」
「お疲れ様」
「え?」
参加している女性陣から声がかかり、その姿を見た俺は驚きのあまり言葉に詰まっていた。
そんな俺を見て、肩を組みにやけた顔で小声で話しかけてくる工藤と鈴木。
「今日は当たりだぞ、よかったな!」
「マジで当たり!奥に座ってるお姉さんっぽい人が俺は好みだわ」
「いいよなー、でも俺は第一印象的には真ん中の元気っぽい感じの子かな」
「手前の清楚な子もいいよな」
「なぁ、帰っていいか?」
「「何言ってんだよ!」」
「ははは」
俺の提案は虚しくも却下され、乾いた笑いしか出せずにいた、
だってそこに座ってる彼女たちは、、、
「そうだ、飲み物は既に頼み終わってるからお前も頼むといいぞ、何飲むよ」
「あ、私が先に頼んでおいたよー、梅酒のソーダ割」
そう言って工藤がメニューを見せてきたが、
奥に座っているお姉さんから既に注文は済ませてあるという声がかかった。
どうして俺が好きな飲み物が分かったかは置いておいてここは素直にお礼を言っておこう。
「ありがとうございます」
「いいえー」
そう言って彼女のほうを見てお礼を言ったら、
満面の笑みで返答が返ってきた、実はこの笑顔は少しトラウマがあったりするが、
話がそれるので割愛するとしてここはこちらも笑顔で返しておこう、
少し引きつった笑顔になっているかもしれないが、そうしないと危険だと俺の中の何かかが危険信号を出している。
程なくして注文していた飲み物が全員の手元に届き、
待ちに待ってない地獄のスタートである。
「皆さん飲み物持ちましたか?それじゃあ行きますよー」
「「「「「「かんぱーい!」」」」」」
飲み物を一口含み周りを伺うと女性陣は一様にしてチラチラとこちらの様子をうかがっている。
いやいや、こっち気にしてないで楽しめよ!
いや、待てよ。合コンだぞ、彼女たちが参加しているということは少なくともそういうことというわけだ、
それなら工藤と鈴木をフォローして良い雰囲気にすれば、俺は自由になれるのではないか?
よくよく考えたらこんなチャンスはめったにないはずだ。
よし、こうなったら頑張れ俺!平和な未来のために!!
「改めてだけど自己紹介しとこうかな、まずは俺から工藤良治って言います。高塚大学3年です。今日は思いっきり楽しみましょう!」
「次は俺!鈴木琢磨って言います。同じく高塚大学3年です。こんな綺麗な人たちと、ご一緒できるなんて最高です。」
前のめりになりながら、我先にとアピールし始める工藤と鈴木。
いいぞ!お前らには俺がついてるからな、もっとアピールだ!ってか慣れてるなー俺居ないほうが人数的に確率が上がっていいんじゃない?
って考えてたら次はお前だぞと全員の視線がこっち向いている。とりあえず無難に無難に無難に。
「あー江藤淳夏(えとうじゅんか)です。高塚大学3年です。」
「なに、お前緊張してんのか?まぁ、その気持ちわかるけどなー」
「そう、かな」
確かに緊張してるね、いろんな意味で。
うまく乗り切ることができるかという点と、俺の自由がかかった戦なわけだしね。
さぁ、続いて女性陣の自己紹介が始まるぞ。
頼むから、暴走しないで穏便にすましてくれよ。
「江藤美春(えとうみはる)です。淳君のお姉ちゃんをしてます」
「「え?」」
合コンに数合わせで呼ばれた結果、相手が「姉、妹、幼馴染」でした ゆるん @yuryryn
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