132.ブラウンの邂逅
「あ、あれは破壊したはずの敵要塞艦⁉」
倒したはずの敵が現れ、副司令官を始め大艦隊内ではかなりの騒動が起きていた。
だが各艦隊の司令官は直ぐに冷静さを取り戻す。
「落ち着け、恐らくは同型艦だろう。それに一度勝った相手だ、まずは同じ方法で戦うとしよう」
第一艦隊司令官は直ぐに指示を飛ばし、味方艦にエネルギー供給を始める。
これにより各艦のバリアフィールドはエネルギー切れを起こす事が無くなり、ほとんどの攻撃を無効化できるようになった。
「対艦用主砲の発射準備を急げ」
目標を
目の前に現れた
その
「よかった、何とか間に合ったね」
「ほんとほんと。ギリギリだったね!」
ブルース達はほんの数時間前に目標を達成し、ほとんど休む間もなくワープ移動してきたのだ。
十日間は本当に苦しかったようで、ワープ中しか休めていないため疲れが顔に出ている。
十日間もそうだが、
ではなぜここにあるのかというと、ランクアップによりブルースのファランクス情報が一新され、破壊された物が再び呼び出せるようになったのだ。
この時のブルースの喜びようは凄かった。
「ブラウンを呼び出せるような気がする」
「ブルー? ブラウンは目の前で破壊されてしまったのよ?」
「お兄様、悲しいのはわかりますが、それを乗り越えていかなくてはいけませんわ?」
「いやそうじゃなくって……やってみればいいか」
戦艦同士をくっつけてワープの準備をしていると、目の前に
『初めまして艦長。私はブラウン、この
「本当に呼び出せましたね。流石はマスターです」
ブルースは自分の戦艦に乗り込み、そのままブラウンの中へと入っていく。
それをみんなで追いかけるのだが、ブラウンの中ではブルースが目を赤くして、涙を流しながら話しをしていた。
『艦長? 初めてお会いしたはずですが、どこかでお会いしたことが……おや? この情報は?』
『こんにちわ私。詳しい事は後で良いのですが、私の情報を読み込んでください』
六隻の船がブラウンの中に入ると同時に、ブラウン同士が会話を始めたのだ。
『船に分割して情報が保存されているのですね。わかりました、理由はわかりませんが、あなたは私なのですね』
『はい。後の事はお任せします』
ブラウン同士の通信が終わり、何やら六隻の戦艦のあちこちから強い光が発せられる。
それと同時に格納庫内もあちこちから強い光が。
六人は思わず手で顔を覆ったが、それも数秒で終わる。
『艦長、お待たせしました。再びお会いできて光栄です』
「ブラウン? ブラウンなの?」
『はい。データの統合が終わりました。あまりゆっくりしている時間は無さそうなので、移動しながらお話ししましょう』
第四惑星へワープで向かい、食堂で食事をしながら方針を決めていく。
方針自体は直ぐに決まったのだが、ブラウンはブルースの新しい力に驚いている。
『その様な事が可能なのですね。では一つ提案があります、第四惑星、艦長達が住んでいる星ですが、そこに過去存在していた超科学文明のデータに、それに類する記述があります。さらなる強化が可能と思われますが、強化なさいますか?』
「そんな事が可能なの? それならお願いするよ」
『かしこまりました。それに付随して皆さんの船や搭載している他の船の強化も可能なので、そちらも一緒にやっておきます』
そして今に至る。
ブルースの新しい力は気になるが、敵さんはいきなり目の前に倒したはずの敵がワープアウトしてきたので、すでに戦闘態勢が整っていた。
「司令官、艦隊戦向けの短距離攻撃に切り替え完了、いつでも攻撃が可能です!」
「よし、では一斉掃射せよ!」
七万を超える艦隊から一斉にレーザーやミサイルが発射された。
要塞母艦、空母、戦艦、巡洋艦、駆逐艦。
キレイに同時発射された攻撃は、まるで巨大な一つのレーザーのようにも見える。
こんな同時攻撃は今まで見たことがないブルース達だが、何故か避けるそぶりすら見せていない。
「だ、大丈夫なんですわよね?」
「落ち着いてくださいエメラルダ。ブラウンが大丈夫だというのだから大丈夫です」
『お任せください』
レーザーは
バリアフィールドのエネルギーが消費され今にも消えそうになり点滅を繰り返す。
そして遂にバリアフィールドがかき消されてしまった。
レーザーとミサイルにより
きっと今頃大艦隊は再び喜んでいる所だろう。
「ブラウン、場所を教えて」
『はい艦長。要塞母艦の情報を送ります』
ブルースは自分の戦艦に乗り込み、何やらワイヤーフレームで表示された要塞空母がモニターに映し出されている。
そして要塞母艦の中央よりやや後方に赤い点が光っている。
「発射!」
大艦隊では爆炎に包まれた
「ははは! やりましたよ司令官! やはり同系艦など敵ではありませんね!」
「そうだな。では主砲を長距離に切り替えて――」
要塞母艦の船体がかすかに揺れた。
大量のレーザーを発射したので、磁気嵐でも起きたのかと計器を確認する。
「司令! ジェネレータートランスミッターが破壊されました!!」
「な、なんだとぉ!? 何があった! 操作ミスか? それとも反乱か⁉」
副司令は必死に目の前に浮かぶ映像を操作して原因を調査している。
「ええっと……いえ、爆発が起きたようですが、外部からの干渉があったモノと思われます」
「それこそあり得ん! この要塞母艦のバリアを破って入る事など不可能だ!!」
「し、しかし……」
「一体何が……⁉」
艦内は混乱しているが、更に混乱させる物が確認された。
爆炎の中から
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