130.外宇宙探索戦艦、轟沈
三方向から一斉攻撃が開始され、すでに逃げ場はどこにもない。
最後の抵抗だろうか、
だがどの攻撃も駆逐艦を倒すのが精いっぱいで、さらに悪あがきなのか搭載していた戦艦も全て射出し、そちらでも攻撃を開始した。
戦艦の攻撃は敵駆逐艦すら倒す事が出来ず、盾にすらならないため一方的に破壊されている。
戦艦や巡洋艦のレーザーが船体を貫き、あちこちで爆発が起こる。
もう攻撃すら出来なくなった
要塞母艦が主砲を発射した。
船体の右側、前に出っ張った部分が完全に削り取られ、大きな爆発と共に残った部分が大きく歪む。
歪みで折れてしまいそうだが、折れる前に残りの要塞母艦から攻撃が行われ、
「やりましたよ司令官! 正体不明の技術を持つ一味を粉砕しました!」
第一艦隊では副司令官が、巨大モニターを見ながらガッツポーズをとっていた。
椅子から身を乗り出す様にモニターを見ていた司令官は、同じくガッツポーズを取ってしまいそうになるが、ふと副司令官が目に入り慌てて椅子に座り直す。
「ああ、たった一隻の船にこれほど手こずるとは思わなかったがな。だが、アレは間違いなく敵の主力だろうから、後は星を破壊して終わりだ」
星の破壊が主目的だと思い出し、副司令は慌てて姿勢を正す。
「アリアルファ星系から随分と離れてしまいました。ワープで戻りますか?」
「いや、今回の戦闘で随分とエネルギーを消費してしまった。少し時間はかかるが通常航行で行こう」
「了解です」
副司令は一度咳払いし高所からブリッジを見回すと、目の前にある宙に浮いた映像に向けて命令する。
「これよりアリアルファ星系へ向けて移動を開始する。エネルギー節約のため通常航行で行くが、その間に修理できる物は全て修理しておけ」
浮足立った雰囲気が静まり、それぞれが笑顔で仕事に取り掛かる。
「そうだ副司令、敵の船で損傷の少ないものがあれば数隻回収しろ。研究材料になるかもしれないからな」
「了解です。といいたい所ですが、残念ながらこの惨状です」
そう言って宙に浮かぶ映像をスワイプで司令官の前へ持っていくと、そこには鉄くずと化した船だった物が映されていた。
何度か映像が切り替わるが、全て鉄くずだ。
「手加減できる相手ではなかったからな。まあいい」
そうしてゆっくりとだが、アリアルファ星系へ向けて再進行を開始した。
だが数隻だけ、無傷の船があった。
その船は動力を切り、無音航行で宇宙を漂っていたのだ。
「……行った?」
「行ったんじゃないかな」
「もうあんなに小さいんだよ、ダヨ?」
「本当に見つからなかったわね」
「いつまでこうやっていれば良いんですの?」
「もうしばらくお待ちください。最低でも三千キロメートルは離れましょう」
重装戦艦二隻、高速戦艦四隻、計六隻が破壊されずに残っている。
ブルース達は三方向から一斉攻撃を食らった直後、
大量のミサイルや他の船に混ざって射出され、動力を切ったまま逃げたのだ。
船の残骸に紛れて発見されず、こうやって逃げ切る事に成功した。
「これだけ離れればこちらの通信は届きません。逃げ切りました」
シルバーにそう言われ、一斉に息を吐きだす五人。
人型機動兵器を介しての会話だが、通信距離は数十キロメートルと短い。
「ブラウン、僕は君を守れなかった……ごめん」
「仕方がないよ! 攻撃が全く効かない相手なんてどうしようもないもん! ブルー君が気にする必要はないよ!」
「そうなんだな、あれは反則なんだよ、ダヨ?」
「そうよブルー、ブラウンは私達を護る事が役目だって言っていたわ。なら守ってくれてありがとうって思わなきゃ」
「そうですわお兄様! お兄様が無事ならばきっと何とかなりますもの!」
「マスター、そろそろ行動を開始しましょう」
「行動って言われても、一体何をするの? 僕達はもう何もできないんだ」
今の状態では敵を倒すことは出来ない。
それどころか後を追う事すら命取りだ。
ならばこのまま別の星へと逃げるのか?
「オレンジーナ、マスターを調べてください」
「え? ブルーを調べるって……そう言う事ね!」
シルバーに言われてブルースを調べるオレンジーナ。
オレンジーナは何かに気が付いたようだが……
「ブルー、今のアナタは六つのファランクスがあるわ。そして今は六つ目のレベルが98、次のレベルには699の経験が必要よ」
そう、ブルースのランクアップに必要な経験値が分かれば、上がるまで訓練をしたらいいのだ。
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