120.山火事
「みんなレベルが上がってるけど、出かけてる間は何と戦ってたの?」
オレンジーナがそんな事を言ったものだから、ブルース達は頭にハテナが浮かびまくっている。
それもそのはず、スキルにレベルがある事は知られていないのだ。
レベルは神のみが知る所。
それが
「簡単に言うと、何か成果を出したり、強い敵と戦ったりするとレベルが上がるのよ。そのレベルが100でMAXになりスキルランクが上がるの。なんていうのかしらね、ボーダーレスのランクが上がる感じ?」
「く、詳しく教えて欲しいんだな! 私の表示が少し変って言ってたけど、どんな風に変なのかな、カナ!」
「えっとね、シアンの場合は
「そんな事いわれても知らないんだよ、ダヨ?」
まだ
オレンジーナですらわからないのに、レベルがある事を今知った面々に聞いてもわからなくて当たり前だ。
「それもそうよね。この話はおしまい! 何か新しいことが分かったら教えるわ」
それからは旅の話に移るのだが、オレンジーナは明日一日待ってくれれば都合がつき、エメラルダは王都ではお手伝い枠にいるので、休みたければ休めばいいようだ。
なので
荷物をまとめてみんなで旅に出たのだが……
「あ~、久しぶりにブルーに乗ったけど、んっ、やっぱり気持ちがいいわね」
「そう? 姉さんが喜んでくれてぼ、僕も頑張りがいがあるよ!」
「ああん、そんなに突き上げないで」
「ごめんね、どうにも抑えられなくって」
「ちょっと待ったー! なんでブルー君とジーナさんの会話っていかがわしくなるのよ!
「ローザこそ何を言ってますの? そんなの当たり前じゃありませんこと?」
「ローザ、時々変になるんだな、ダナ」
「私が変なの⁉」
朝から
まぁそんなトラブルも旅の醍醐味と思えればいいが、いまだにブルースとローザの仲は進展していないため、二人の会話に悶々としていたのだろう。
街をいくつか通過して、日が暮れる前には国をまたいで最初の街に到着できた。
そして当たり前のように国からは監視が付いている。
隠れても無駄とわかっているのか、馬に乗って必死に追いかけていた。
「この街、夕食
国境近くの街なので、防御力を重視した高い防壁がある街なのだが、その割に兵士の数が少ない。
兵士どころか住民の数もまばらだ。
「あれ? ねぇブルー君、あの山の上の方が随分と明るいけど、お祭りでもしてるのかな?」
ローザが指さした先にはあまり高くない山があるのだが、夕日に照らされている訳でもないのに赤く燃えている。
「どれどれ? 本当だ、焚き火? にしては随分と大きく見えるけど」
『艦長、あれは山火事です。しかも沢山の人間が木に縛られて逃げられないようになっています』
「なんだって! 急いで助けないと!」
ブラウンの連絡に声を荒げるブルース。
その通信はシルバーも聞いていたので、シルバーには山火事の状況が送られてきた。
「マスター、百名近い人間が木に縛られています。女子供関係なしに縛られているようです」
「ブラウン! 僕たちの機体と救護ポッドを送って!」
『すでに向かっています。到着まで四秒』
空から甲高い音が聞こえてくる。
人型機動兵器のハンマー二機とヴェイロンVX二機、小型飛行機のスワロウ三式が目の前に着陸した。
「山に急ごう!」
ブルースとローザはハンマーに、シアンとシルバーはヴェイロンVXに搭乗する。
オレンジーナとエメラルダは小型機のスワロウ三式へ。
「あれって人が乗れるのね」
オレンジーナとエメラルダは窓から人型機動兵器を眺めている。
数キロ離れていたが、空を飛べばあっという間に到着し、スワロウ三式はエンジンを真下に向けてホバリングしている。
「離れてたから小さく見えたけど、とんでもない山火事じゃないか!」
「近くには湖も何もないよ!? どうやって火を消すの⁉」
「マスターとローザは燃えていない木を切り倒し、延焼を防いでください。オレンジーナは広範囲の回復魔法を。シアン、周囲の温度を下げる道具などはありませんか?」
「えっと、湿度を爆発的に上げる薬ならあるんだな、ダナ」
「上々です。エメラルダは逃げ遅れた縛られていない人の救助をお願いします」
シルバーから指示が飛び、それぞれが行動に移る。
シルバー自身はドローンを使い、木に縛られている人たちのロープを切り始めた。
数十機の
半数以上を安全な場所に連れて行き、そこではオレンジーナが治療をしていた。
だがそこに複数の男性が現れたのだ。
「何をしている! 聖なる儀式を台無しにするつもりか!」
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