学級裁判
「でね、みんなといろいろ話したんだけど」
そう前置きすると沙希は、真剣なまなざしを僕に向けてきた。それからゆっくりと一度うなずいてみせる。これはもう間違いないのかもしれない……というか、すでに心を決めている目のような気がする。僕はゴクリと唾を飲み込んで、沙希の次の言葉に耳を傾けた。
「あなたを、この学校から追い出します!!」
……はい?!今なんて言いましたかね?聞き間違えかな?そうだよきっと。沙希がそんなこと言うはずないもの……っていやいや、聞き返したわけじゃなくてさ!!何だよその『追い出す』っていう不穏な言葉は!?どういうことだ?何か悪いことでもしちゃったのか?思い当たる節が全く無いんですけど……(大嘘)。
「問答無用! 戦車隊、進めー!」
沙希は戦車隊を率いて僕を攻撃してきた!くっ!訳も分からないままやられるものか……ていうかいつの間に用意したんだよこの軍隊……。あぁ!このままだとあの世に行ってしまうじゃないか!こんなところで死んでたまるか!
僕は奥の手を使うことにした。そういえばまだ試していなかったような……よし!!これで何とか回避しよう!
魔法発動≪気配遮断≫!ついでにステータスアップ(特)&速度上昇(大)!
ふっふっふっ……。これならいくら戦車が相手でも逃げ切れるぜ!後は気付かれずに隠れるだけ!
僕は気配遮断を使いながら机の下に隠れた。しばらくしてから様子を伺うと……いない?あっぶねぇぇ!間一髪だったぞ、おい!!!
だが安心するには早かったようだ。僕の居場所を突き止めたらしい沙希達が迫ってきていたのだ。しかし今のステータスでは逃げることは不可能なので覚悟を決めることにして再び戦闘態勢を取ることにする。
まずは鑑定を発動させよう……と思ったのだがすでに目の前まで来ていたので発動させることができなかった。そしてそのまま僕は捕まって学校から追放されてしまいましたとさ。めでたくなし、めでたくなし。
ちゃんちゃん♪ **
***
<おまけ> その後、学校に戻ってきた先生方により追放されたはずの僕は発見されて無事救出された。そして事の一部始終を聞いてみたところ……どうやら俺は悪の大魔王として認定されてしまっていたみたいだ。何でも魔族と呼ばれる人型のモンスターを従えていて世界征服を目論む恐ろしい存在になっているという噂が広がっているという。
「まったく酷い濡れ衣を着せられたものだ……」
しかし実際のところ本当に悪の組織を結成して世界を征服しようと企んでいたのだから仕方のないことである。ちなみにその組織は仲間達がスカウトしたり拉致ってきた人達で構成されており総勢2億人ほどで構成されているという……まぎれもない悪である。そのうち5000万人は幹部クラスであり他の1億5000万人は平メンバーなのだがかなり強いらしく並大抵のことでは負けないということになっている。
そして更に驚くべきことはこの噂を広めた張本人は他でもない、僕だった。つまり、自作自演だったって訳。僕が世界に恐怖を与えるために考えた作戦なんだよね、うん。自分で言うのもなんだけどなかなかの名案だと思うんだ。だって自分の手でみんなを絶望へ導くことが出来るし、世界を滅亡寸前に追い込むことも出来るなんて素敵だと思いませんか?僕は今とても満足しているよ。この幸せを壊してくれる奴がいるとするならば誰であっても許さない。例えそれが自分自身であろうと……。
そして僕の自作自演もバレ、先生方の信頼も失った僕は学校を追い出されることになり沙希の戦車隊にも追いかけられ、やがて容赦のない絨毯爆撃によって僕は亡き者になった……。
<あとがき>初めましての方もお久しぶりです!いつも作品を読んで下さっている方はありがとうございます!!この度私の名前は『真野 亮成』となり、新たに冒険を始めることになりました。これからよろしくお願いします!
今回の話は主人公・リョウの性格が今までとは少し違っていますね。それというのも主人公の意識改革をすることが目的となっていました。
この先のストーリーは主人公の性格が変わったことに伴って大きく変化していく予定となっております。またヒロインも増えますのでより楽しんでいただけるよう頑張っていきます。今後も宜しくお願い致します。
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