第三十四話 ハナ……アイドルだって女の子

「聞いたよー、時代村行ったって」

「う、うん……」

 ハプニングあって隣の県の施設に入ってしまった……でもみんな楽しんでたし、岐阜のみんなも時代村行くしねー。

 ……って言い訳にならないか。大野ちゃんに何言われるか。スポンサーさん的には大丈夫だったらしいけど……。

 私たちの控え室では浴衣に着替えてメイク直しやヘアセットをしている。


「疲れたー。足湯は癒されると思ったけど意外と疲れちゃうー」 

 由美香さんはヘトヘトだ。あとはずっとセクシー由美香を演じてなくてはいけないからつかれたのよね、お疲れ様。


 美玲ちゃんも腰が痛いというからマッサージした。陶芸は同じ姿勢だったから辛かったとか。

「なんかさぁ握手会の時はまだしもずっと一緒にいるっていうのは疲れるよね。気が抜けないし」

 由美香さんぐったり。

「たしかにぃ……どこか見られてるかもって思うと……欠伸もできなかったわ」

 子役から活躍している悠里ちゃんでさえも……。


 私はなんというか、はしゃいでた。ヤギの件はどうなるやらと思ったけど……もうノープランでどうにでもなれっ! て思って。

 久しぶりに楽しかった、ファンの人たち、というよりも友達と遊んでいるような感じがした。


 たしかに歩き回って疲れたけど、それ以外の疲れはなかった。


「大野ちゃんには疲れたーとか弱音吐いたら怒られそう……」

 と由美香さんが心配していると、大野ちゃんがやってきた。


 私たち四人はシャキッと立ち上がる。が、大野ちゃんがあまり表情がうかない。どうしたんだろ。顔色悪い……。


「おつかれ。あとは今日はライブだけだから。頑張って」

 と言って去っていった。私たち四人は見合って……首を傾げた。


「おーい、もう始まるぞ!」

 スタッフが声をかけてくれた。……ここからはハナ、アイドルの。


 四人でエンジンを組んで……て、みんなちょっと疲れてる。

「気合いれるよーっ!」 

 普段声上げない私が声をかけてみた。みんなびっくりしてる。


「清流ー!」

「ガールズっ!!!!」

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