第二十一話 トクさん……妄想でも会えるアイドル
清流ガールズと会える方法は
・月に2回土曜日の夜ライブ(グッズ等購入者のみ握手できる)
→思えばよくコンスタンスにライブができるよな……。
・不定期に行われる地域のイベント(全員と握手できる)
・毎週木曜日夕方のレギュラーラジオ番組のスタジオ観覧(現在は大野ちゃんメインで他メンバーが週替わりで登場。第二週が美玲ちゃん)
である。
他にロケとか撮影で見かけたとか、地域チャンネルの番組アシスタントとして日替わりで登場するからその出待ちするとか……。
流石に俺は出待ちはしない。化粧前とかあるだろうし、仕事の後は疲れているだろうから迷惑かけたくないのだ。
ラジオは二週目の木曜日だけ何とか仕事を切り上げて見に行くのだが、(在宅でも流石に無理な時もある)やはり美玲ちゃんの曜日は人気があって夕方でもそれなりに人がいる。
あともう一つ、会える方法があるのだ。それは……。
ファンクラブ主催のファンミーティング旅行!! バスで岐阜県内の観光をして館内の旅館で一泊二日のお泊まり旅が2年目にして発表されたのだ!!!
『いいよなぁ、トクさん。楽しんできてね』
トオルからがっかりしたような絵文字とともにメールが届いた。
トオルは子育てあるから無理か。せっかくサインも貰ったグッズも渡したのだが、トオルの奥さんが産後うつになったらしくて、外に出られずライブには行けないそうだ。
トオルも気に病むのではなかろうか。たまに子供の写真も送ってくれるが、電話もしてない。
グッズ渡しに行った時も少し元気なさそうだった。……子供いると大変なんだな。一時期俺はすごく欲しかったのにな。
ふと自分自身の不妊治療中のことを思い出す。
タイミング法っつーやつ? めっちゃやりたいっ! てなっても、この日はダメで疲れた日に限って今日しないと! とか。でもちゃんとそれはしっかり守った。ダメな日はとにかく仕事に打ち込むか……一人で済ませたこともあった。
その他には、精子の状態を見たいからと言われて個室に入って容器に入れてくれとか……エロ本置いてあってさ……すごく惨めだった。
元妻も注射とか薬とかしんどそうだったのは知っているが……結果はお互いに何もなかったのにな。結局授からなかったし、セックスレスにもなったと思ったら不倫されていたし。
あーーーーっ! 過去のことは忘れろ!!! 美玲ちゃんの写真を取り出す。旅行のパンフレットでは提携してる宿泊先の浴衣を着た清流ガールズたち。
ああ、美玲ちゃんのこの浴衣姿を……浴衣っ、姿っ……。
『トクさん、温泉一緒にはいろっ』
ああああああああっ、なぜ、なぜ目の前にいる! 美玲ちゃんっ、これは夢か? 幻か?!
程よいふっくらおっぱいの形が浴衣の上からわかるよ……。あ、足元も……だめだよ、開けたら……。
ああっ、さっき地域チャンネルで君を見たからっ……あっ、ダメだっ、近づかないで……!!!
『トクさんっ』
みーれーいーちゃーーんんんんんんっ!!
♪ピロン
「ああああっ! タイミング悪いし、こんな時にメールぅうううう?!」
ムードぶち壊しだぞっ! 気付いたら美玲ちゃんが消えていた。そうか、妄想……だったか……!!!
ああ情けねえ。あ、そうだ……メール……何だよこんな時間に……。俺はスマホを見た。
『ツアーグループ振り分けのお知らせ』
あっ!! そうだ。ファンミーティングのツアーは五つのグループに分かれるのだ。
もちろん美玲ちゃんのグループに決まってる。当たり前だ、どれだけ俺は彼女に貢いでいると思うんだ?
親指は軽やかにスイスイーっ……ん?
『お客様のグループは
四グループの
ハナちゃんのグループとなりました。』
は?
……ハナ……。
もおおおおおおーっ!!! 嘘だろぉぉおおおお。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます