07 なに格好つけてんだ
子どもは幼い頃、乳製品と卵にアレルギーがあった。
どれくらいの程度かというと、口元に生クリームや牛乳がついただけで周辺が赤く腫れ上がる。
私は運良く母乳が出たので母乳で育てていたけど、離乳食のときに、試供品でもらった粉ミルクを使ったパンがゆを作ったところ、子どもの口元が腫れ上がり、大泣きした。つまり粉ミルクもダメなのだ(残りの試供品は私が美味しくいただきました)。
これ、うっかり飲ませていたらどうなっていたのかと怖くなって、かなり気をつけるようになった。
だから離乳食は、病院が開いてる昼間に一種類ずつ、少量ずつなんだな、と身にしみた。
どれがアレルギー源かを判別するためだ。
大量だと、もしアレルギーがあれば、最悪の場合、死ぬからだ。
さらさらしたスープにアレルギー源が入っていると知らず、法事先でうっかり食べさせたときには、子どもの小さい身体の半分以上に赤いじんましんが出て、その夜はずっと泣いて寝なかった。
腫れた場所が痛がゆいらしく、しゃべることができない子どもは泣くことしかできず、本当に申し訳ないと思った。
あるとき実家に子どもをあずけていた間に、ばぁばが善意からその子に、肌にいいという卵白パックをほどこしたところ、全身赤くじんましんが出た。
もちろん事前に、今までじんましんが出たことを話していたし、すでに何回も「アレルギーがあるから乳製品と卵製品はやめてほしい」と伝えていた後の話だ。
ばぁばとしては、どうやら「食べなければ大丈夫」だと思っていたらしい。
ちなみに、じぃじは「なに格好つけてんだ」(?)という印象だったようだ。今まで身近にアレルギー持ちがいなかったので、「病気っぽく言うなんて生意気な」(?)みたいな感じらしい。
意味がわからない。
いや。ただの現象だから。
かっこつけたいわけでも、なんでもないから。
アレルギーは今でこそ市民権を得てきた感じだけど、身近にない人たちには本当に理解されない。
説明したところで、「好き嫌いを大げさに言ってるだけだ」と思われて、話半分にしか聞いてもらえない。
それが本当に不思議だ。
子どもには申し訳なかったけれど、目の前で派手にじんましんが出たことで、前よりも気をつけてもらえるようになったから良かった。
これ、ちょっとでも死ぬ(アレルギー反応でのどが腫れて息ができなくなるとか、アレルギー成分でショック状態になるとかだと本当に死ぬ)とかだったら、どうしたんだろうね?
子どもが死んだあとに「そんな風になるなんて知らなかった」って言うのかな?
私は何回も説明したけどね。
そしてもし死んだら、周囲からはきっとこう言われるんだろうなぁ。
「ちゃんと話をきいてもらえない所に子どもを預けるなんてなに考えてるんだ」
どこにも預けず、子育て全部一人きりでできるんなら、言われなくてもそうしてる。
でも、残念ながら私は、聖女でもなく、スーパーカリスマ主婦でもない。ただの一般ぴーぽー(古い!)だから、全部一人でするのはムリなんですよ。
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