南の「時のタマゴ」-王城の悪魔。

第31話 王との戦闘。

辺りが暗くなったころ、ようやく城に着く。

門番が居たので「一の村から来た」と告げると1人の兵士が奥へ入っていき、フードの男が現れた。


フードの男は僕を見て「遅かったな」と言う。

遅かった?期限からすればまだまだで僕は「10日のうちまだ半分ですが?」と聞くとフードの男は「いや、遅かった」と自嘲まじりに言う。


「どういう事ですか?」

「私の読みが外れていただけだ。もう少しもつものと思っていただけだ」


そう言うとフードの男はポケットから赤いモノを出してきた。

それは見間違えるはずがない「万能の柄」だった。

僕は「それは「万能の柄」!どうしてお前が!!」と言いながらフードの男に殺気を向ける。


「王が、アーティファクトを欲していて、それが今朝足りなくなった。それで貰ってきたんだ」


よく見ると「万能の柄」には赤いシミが付いている。

これはリーンの血ではないのか?


一瞬で怒りに支配された僕は「よくもリーンを!!」と言って剣を抜く。

今にも斬りかかろうとしたが、カムカとマリオンに止められる。


「待てって、話を聞こうぜ」

「駄目だったらその時跳べばいいんだから!」

この言葉に剣を下ろすとフードの男は「仲間が居て良かったな」と言って城の中に入っていく。


「着いてこい。王がお待ちだ」

僕達はフードの男の後を着いていく。

普通なら謁見の間とかそう言う所に通されると思ったのだが、城の中にある庭のように天井の無い広場のような場所に出た。


広場には無数の死体があった。

装備から兵士だと言う事がすぐにわかる。


僕達の視線にフードの男が「アーティファクトが足りなくてな。王に捧げた」と驚くこともないといった顔でそう言うと、広場の真ん中で空を眺める男に声をかける。


「王よ、ようやくS級のアーティファクトが来ました」

王と呼ばれた男は「S級…力か?」と聞き返し、フードの男は「はい」と答える。


「あの女の言っていた力だな。これで我は国を守れるのだな?」

「はい、王がいらっしゃれば国は安泰でございます」


「ならば寄越せ!その力を我に寄越せ!!」

僕達を見た王の目は赤く光り、声も震えていて人間のモノとはとても思えない。

身構えた僕達を無視してフードの男が「王、客を招くのに周りが少々散らかっております」と言うと、王は「お前が居ないと我もまだまだだな」と言いながら笑い「【アーティファクト】」と続けた。

王の右腕が巨大な口になり兵士の死体を飲み込んでしまった。


僕達が王の右腕を見ているとフードの男が「S級アーティファクト「龍の顎」。その能力は飲み込んだモノを全て取り込む」と解説をした。


この説明にムラサキさんが「やはり、あの王は人間ではなくなっている」と言う。

ムラサキさんの見立て通り、国王は人間を辞めてしまっているらしい。


「恐らくはあのアーティファクトを授かった事で複数のアーティファクトを取り込んでしまい人間を辞めたのでしょう。しかし妙です。あのアーティファクトは外法、そう容易く人の世に顕現するものではありません」


王は説明をするムラサキさんを見て「あれも力だ!」と喜び、横でフードの男が「はい、あれもS級にございます!!」と言うと、王が歓喜している。


ひとしきり喜んだ王が「寄越せぇぇぇ!!」と叫びながら僕とフィルさんに向かって走ってきた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「寄越せぇぇぇ!!」と叫びながら僕とフィルさんに向かって走ってきた王。

これは会話でなんとかなるレベルではない。


僕が剣を抜いて「みんな!」と呼びかけると皆も「おう!!」と言って臨戦態勢に入る。


まずカムカが前に出て王の突進を止めるべく殴りかかると、カムカの拳は見事に顔面にクリーンヒットをして王がきりもみしながら吹き飛ぶ。

しかし、王は転がってもすぐに起き上がってこちらに突進をしてくる。


今までと変わらず「寄越せぇぇぇぇ!!」と言って迫ってくる王に向かって僕が兵士の剣を構えると兵士の剣の一撃で王の足を切り落とす。


だが、次の瞬間には足が生えていて、僕に跳びかかってくる。

想定外の状況に僕は「何!?」と言って緊急回避をして、カムカは「嘘だろ…」と言って唖然としている。


執拗に僕を狙い王に向かってマリオンが「こいつから離れなさいよ!!」と言って高速で迫って勢いを乗せたパンチを王に当てると王は石の壁まで吹き飛ぶ。

そこに向かってマリオンがすかさず「【アーティファクト】」と言ってアーティファクト砲を撃つと物凄い轟音がして、石の壁が少し崩れた。


一瞬の間、息を整えて「やったか?」と言った次の瞬間には、頭から黒い血を流しながら起き上がる王が「今のも力か!!」と叫んでいた。


王の質問に答えるようにフードの男が「人の手で作ったアーティファクトに御座います」と言うと王は「そうか!!力か!!」と言って今度はマリオンに向けて走り出す。


その狂った顔から伝わるあまりの恐怖でマリオンが「ひっ!」と言ってすくんで動けなくなってしまうとフィルさんが「危ない!」と言いながら前に出て「【アーティファクト】」と唱えてムラサキさんで光の壁を作る。


王はムラサキさんが出した壁に頭をつけながら爪で必死に引っ掻いてくる。

「力だ!力!!!」


王の手はボロボロになり、爪は割れ、剥がれてムラサキさんの光の壁に黒い血をつけながら「寄越せ、寄越せ」とうわ言のように言い続けている。


フィルさんの防御でも王を止めきれずに徐々に後ろに下がっていく。

辛そうなフィルさんが「キョロくん!カムカ!!!」と僕達にフォローに入るように指示を出す。


僕が「カムカ!!」と言うとカムカも「おう!!」と言ってタイミングを合わせてくれる。

二人同時にアーティファクトの力を使い、僕の剣が王の両足を、カムカの拳は頭を上から狙う。


僕の剣は両足を切断したがすぐに再生する。

その隙にカムカが床に思い切り頭を押し付ける。


「もう一回!!【アーティファクト】」

火の擬似アーティファクトの力も上乗せしたカムカの一撃。


王の頭が石の床にめり込む。

それでも王はアーティファクトを目指そうと手足を前に出し続ける。

あまりの状況にマリオンは「何コイツ、怖い!」と言って怖がっている。


僕が「畳みかけよう!!」と言うとカムカは王がはい出てこないように怒涛の連撃を浴びせ続ける。


僕はその間を使って剣に火を纏わせる。

マリオンはフィルさんに促されて再度アーティファクト砲の発射体制に入る。


今この状況で一番周りが見えているのはフィルさんなので僕は「フィルさん、タイミングと指示をお願い」と言うとフィルさんが「わかったわ」と言う。


そして「カムカ!離れて!!」と指示を出し、カムカが「よしきた!」と言って離れた瞬間にフィルさんが僕を呼ぶ。


「キョロくん!」

「了解!【アーティファクト】!」

僕の剣は王の腰を狙う。


「次、マリオンちゃん!!アーティファクト砲を撃って!!」

「うん!【アーティファクト】」

マリオンのアーティファクト砲に合わせて僕がその場を離れて光弾が直撃すると「そのままマリオンちゃんが連続攻撃!!」と再度フィルさんはマリオンに指示を出す。


マリオンが「わかった!!【アーティファクト】」と言って右手から赤い光の剣を出して王をめった刺しにする。


フィルさんは横に居て息を整えているカムカを見て「カムカ!!」と確認するとカムカは「準備万端だ!行くぜ筋肉!!」と言って力を込めた。


「マリオンちゃん、身体を蹴り上げて!」

マリオンが王の身体を蹴り上げると王は床に頭から突き刺さったような形になる。


「今よカムカ!」

「おう!【アーティファクト】!」


強烈な踏み込みの一撃が王の腹部を襲う。

吹き飛ぶ王の頭を足で抑えるカムカ。


王の身体と頭を繋げている首を光の剣で切断したマリオン。

王の身体が宙を舞って壁に叩きつけられた。


怒涛の連続攻撃。

その後には静寂。

マリオンが「勝った?」と確認するように呟くとカムカが「勝てた!!」と言う。



そうして喜ぶ僕たちの耳に信じられないものが聞こえてきた。


「力…寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ…よこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせ」

胴体を失い、石の床にめり込んだ王の頭部が今もずっとアーティファクトを寄越せと言い続けていた。


「ひぃっ!?」

「嘘だろ!?」

「そんな…」


マリオンもカムカもフィルさんもめり込んだ頭を見て青くなっている中、僕は胴体の方を見て驚愕した。


「みんなアレ!」と言って指さすと、壁にたたきつけられた胴体、右腕のアーティファクトが大きく姿を変えて僕達に襲い掛かってきた。


「よけなさい」と叫んだムラサキさんの号令で僕たちは回避をする。

王のアーティファクトはそのまま床に沈んだ王の頭部を飲み込んだ。


カムカが「おい…頭、食べられちゃったぜ?」と言った瞬間、王の胴体が光って右腕のアーティファクトから裏返った。

文字通り、ぐにゃりと裏返る王の身体。


中から真っ青な毛で覆われた何かが現れた。

その何かは、青い体毛、鋭い牙と角、そして長い尻尾をしていて昔絵本で見た悪魔にそっくりだった。


悪魔?王は僕達を見て「我はこの国の王、お前たちは何だ?」と聞いてきた。

僕たちが答えに困っているとフードの男が前に出て「王よ、この者たちが王の求めていた力のあるアーティファクトの持ち主たちでございます」と言う。


「おお、お前はシモーリ、シモーリか?」

王はフードの男をシモーリと呼んだ。


「はい。シモーリでございます。王よ、お目覚めですか?」

「お目覚めと言う事は、我は眠っていたのか?」


「はい、20年ほど眠っておられました」

「そうか、そんなにも長く…、そうだあの女はどうした?」

先ほどから「あの女」と言う言葉が出てきているが、どういう事なのだろう?情報が少なすぎてわからない。


「あの女でしたら、王にアーティファクト「龍の顎」を授け、王が眠りについた後旅立たれました」

「そうか、礼がしたかったのだがな」


悪魔は悪魔なのに妙に礼儀正しい、品のある話し方をする。

そんな悪魔に合わせるようにフードの男も「はい、残念でございます」と相槌を打つ。


「ところでこの者たちはなんだ?」

「この者たちは王が求めた、あの女が言っていた力のあるアーティファクトの持ち主でございます」


この言葉に悪魔は僕達を見て「そうか、大義であった。献上するがよい」と言って手を差し出すとフードの男も「王にアーティファクトを捧げよ」と続けると、このやり取りにカムカが「何言ってんだ!俺の住んでいた二の村を滅ぼしておいて何が王だ!自分の姿を見てみろって言うんだ!!」と言って拒絶をする。


「我が国民を?何よりも大切な国民を襲うわけが…、姿…。手…青い…毛?こんなにも…それに大きいからだ…からだ…なんだこれ?おかしいぞ…。我は…国民の為に力を…国民もそれに応えて…」

何か、王の様子がおかしい…。


僕がそう思っている横でフィルさんが「ムラサキさん、これって…、キョロくんがおかしくなった時みたい」と言い、ムラサキさんが「ええ、アーティファクトが人格に影響を及ぼしているとしか思えません」と返す。


その間に王が「ぐぅわぁぁぁぁぁっ!!」と吠えると「頭が痛い、ダメだ何もわからない。とにかく力だ、国民を守るための力…よこせ」と言って僕達の方に向かってきた。


カムカが「結局は寄越せかよ!やるぞ!!」と言い、全員で身構えた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



向かってくる悪魔に対してカムカが「まずは殴ってみる!」と言って殴りかかり、マリオンもそれに合わせる。


王はあの鉄の扉すら殴り飛ばすカムカの拳に後ずさることなく平然としている。

マリオンの拳にしても通用して威風には見えず、とてもダメージを受けているようには感じない。


カムカが「それならアーティファクトだ!」と言ってアーティファクトを纏わせた拳で殴りつけ、マリオンがタイミングを合わせてアーティファクト砲を撃ちこむ。


この攻撃には王も「ぐぅっ…」と言って怯む。

アーティファクトの一撃なら多少は効果があるのが見て取れる。


攻撃が通用するのならと思った僕が「これならいける!?」と言いながら前に出て剣で切りつけようとした時、国王が立ち尽くした状態で口を開いた。


「【アーティファクト】」


その瞬間、部屋は眩しい光で何も見えなくなり僕たちは吹き飛ばされていた。



88回目の時間。

「死んだわ、俺絶対に死んでいたわ」

カムカの開幕死にました宣言で始まった。

場所は城に入る前、門番が見えるか見えないかの位置に居た。


多分、僕たちは死んだ。

死んでトキタマが安全だと思われた場所に跳ばされたのだろう。


状況を確認する為にフィルさんが「ムラサキさん」と名前を呼んでムラサキさんを呼び起こす。


ムラサキさんはすぐに「はい?」と起きるとフィルさんが「ムラサキさんは跳べた?」と聞くとムラサキさんは「そうですね、私も跳んでいますね」と言った。


何と、今まで跳べなかったムラサキさんも跳んでいた。

まだ90回に届いていないのになんでだろう?


僕が疑問に思っているとトキタマが「お父さんが沢山跳んで僕を成長させてくれたからですからね!エッヘン!」と言って胸を張っている。

案外、トキタマのカウントは適当なのかも知れない。


僕が「ムラサキさん、あの王ってなんなの?」と聞く。

ムラサキさんは「恐らく、アーティファクトを無理矢理複数持ちして人間を辞めてしまった存在でしょう。本人は人間のままで限界を超えたと思っているのだと思います。それを指摘されたりすると…」と言うと続けるようにフィルさんが「記憶を改ざんしてでも誤魔化すのね」と言った。


「どうすれば勝てるかな?」

僕の質問にムラサキさんが非常に困った顔をした。


「タイミングが非常に悪いです。恐らく、兵士を何人も殺して持っていたアーティファクトを取り込んだでしょう。あの一撃も何かのアーティファクトの力ではなく、純粋に取り込んだアーティファクトの力を放出しただけです」


何らかのアーティファクトの能力だと思っていた僕は今の説明に驚いて「何かS級の力ではなく?」と聞くと「そうです。C級やB級でも数を取り込んだアーティファクトの力です」とムラサキさんが教えてくれた。


カムカが困ったように「質より量かよ…」と言っている。


カムカの声にムラサキさんが「恐らく、もう少し早ければ…兵士のアーティファクトを取り込む前なら力はまだ弱かったと思います。後、勝算があるとすれば、あの右腕「龍の顎」を王から切り離すのです。そして完全に破壊をする。そうすればあのような姿になる事は無いと思います」と言った後で「まあ、あくまで過程の話です」と言った。


それならと僕たちは右腕を集中攻撃して、僕とマリオンが右手を切断する係、カムカが胴体の足止めをしようと言う話になった。


そして万一悪魔化した時にはあの一撃をフィルさんのアーティファクトで防げるか検証をしようと言う話にした。

無論、フィルさんは「検証」について反対したが「ここは跳び所だよ」と言うと諦めてくれた。



門番に言ってフードの男を呼び寄せる。

現れたフードの男が「遅かったな」と言うが僕は「それはもういい、いいから奥に通せ」と言うとフードの男も理解をして「そうか、もう一度王に負けて跳んだのか、諦めて「時のタマゴ」を渡したらどうだ?」と言ってきた。


僕は首を横に振って「いいから奥に通せ」と言い、また先程と同じ場所に通された。


王との邂逅。

最早こちらから何も語ることはない。

王とフードの男のやり取りが終わるのを待つ。

会話の終了にあわせて足場が片付いた瞬間に斬り込む。

僕の先制攻撃は王の右腕を見事に切断した。


この先は全員の連携にかかっている。

僕が「カムカ!」と呼ぶとカムカも「よっしゃあ!!」と言って勢いをつけて大きく振りかぶる。


殴りつける瞬間に「【アーティファクト】!」とカムカが言うと、次の瞬間には王の身体は炎に焼かれながら遠く壁際に吹き飛ばされた。


僕は胴体をカムカに任せて「マリオン!」と呼ぶとマリオンも「わかってる!」と言って前に出てくる。


僕は「兵士の剣」でとにかく右腕を切り刻む。

マリオンも光の剣で一緒になって右腕を刺し続ける。

しばらく攻撃を続けたが、右腕が千切れる様子も細切れになる様子もない。


言い換えると「龍の顎」だと思う部分は傷1つついていない。

そんな中、カムカが「おい!まだかよ!!」と苦しそうな声を出している。


僕はカムカが心配になったが右腕から目が離せないので「カムカ!?どうした?フィルさん!!」と言ってフィルさんに聞く。


フィルさんが「王の身体がダメージを受けている感じが無くて、一直線に右腕に向かって進もうとしているのをカムカが必死に止めているの!!」と見ているものを説明してくれる。


今王に来られると困る。そう想っているとマリオンが「アンタはあっち行って、私がやってみるから」と僕に王の方へ行けと言う。

マリオンの提案を受け入れた僕は走りながら王の足を狙う。

アーティファクトの一撃が王の右足を切断する。

王の身体は転がったが、次の瞬間にはまた右足が生えて右腕の所に向かおうとしていた。


「なんなんだよコイツは…」

カムカが情けない声を出しながら王の身体を殴り続ける。


「マリオンが頑張っていくれているから僕たちは足止めに徹しよう」


そう話していると後ろから爆発音が聞こえる。

マリオンがアーティファクト砲を放ったのだろう。

だがすぐにマリオンの「ダメ!破壊できない!!」という声が聞こえてくる。


「マリオンがこっちに!カムカが向こうに!!」

僕が指示を出すと「そういう事なら!」とカムカは王を壁際に蹴飛ばしてから右腕の所に向かい、変わってマリオンが「お待たせ」と言いながらこちらに来た。


先ほどからずっと攻撃を食らわせているが、王の身体も右腕もダメージを負っている風にはとても見えない。


今度はマリオンが「私が足止めするからアンタはあっち行って」と言いながら光の剣を王の口に突き立てて壁まで走り括り付けてくれた。


確かにこれなら時間は稼げるだろう。


「キヨロス!焼いてみよう!!」

カムカの呼び声で僕は火を纏わせた剣を、カムカはアーティファクトと擬似アーティファクトを両方解放した拳を用意した。


「行くぜ!【アーティファクト】!!」

「うん!【アーティファクト】!!」


物凄い熱気と熱量が王の右腕を襲い引火した。

これで倒せないと手詰まりだ…。

とりあえず燃えている間は手が出せないので見守る事にする。


燃えた腕を見ているとグニャリと変形し始めた。

溶けるのか?

そう思ったのもつかの間、腕は生き物のように飛び跳ねて一目散に胴体を目指す。


マリオンは身体を壁に括り付けていてこっちにはまだ反応できていない。

僕が慌てて「マリオン、剣を仕舞うんだ!」と言ったがマリオンの反応は一瞬遅れて「え?」と行った時には王の右腕に飲み込まれた。


「マリオン!!」

マリオンの返事はない。

多分、王に飲み込まれた。


そして王はまた姿を変え、あの悪魔の姿に変わってしまう。

前回は状況の理解から始まったが、いきなり僕達を睨みつけた王がアーティファクトの能力を解放した。


閃光と衝撃に僕はまたなす術なく吹き飛ばされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る