夏休みの始まり

 校長の長い話を終えて、ようやく俺たちは夏休みに突入した。明日からイベントの開始だ。お盆まで続く長い戦いの始まりを一週間後に控えて私たちは士気高揚を目的としたミーティングをしていた。


「だから、次のイベントはお盆までなので闇属性の敵が主力だと思うんですよ! 光パで固めておくべきじゃないですか?」


「夏だし水パが一番刺さりそうな気がするけどなー……」


「俺は属性全部盛りで来ると思うな、結構告知にも力を入れてるみたいだしさ」


 俺たちはパーティの構成について話し合っていた。


「そんなに深く考えなくても高レアのキャラのパーティを全属性分保存しておいて出たとこ勝負でいいんじゃない?」


「先輩みたいに運命力をみんなが持ってるわけじゃないんですよ! もうちょっと現実的なラインを考えてくださいよ」


「そんなに深く考えることですか? 属性なんて無視して石を割ってリトライし続ければ絶対負けないと思いますが」


 金満感覚の律子ちゃんの結論は身も蓋もなかった。戦略について話し合うなかでリアルマネーの大量投入を提案されても困るんだよ……


「それはダメよ、石はスタミナ回復に使うんだから」


 先輩の注意も何処かズレているような気がしてならない。結局石を割るのは確定なのか……


「じゃあ来週水曜の十二時開始だからチャットとアプリの更新の準備はしておいてね?」


「オッケー」


「任せてください」


「忙しくなるなあ……」


「私は休みの間は二十四時間張り付くつもりですよ」


 こうして解散となった。

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