第7話

 しいが………史季がバスケ部のキャプテンっていうのにもびっくりした。



 でもさらに驚いたのが。






 しいが………史季がまさかの生徒会の会長だったってこと。






 ウソだろ?



 って。






 そんなことをやるタイプではなかった………はず。



 だってしいは………しいは、いつも。






『つんちゃん、つんちゃん』って。






 しかも。



 新学期が始まって、同じ教室、学校内で見るしいの………史季のおそろしいまでの人望の厚さに、俺は、幼馴染みのはずなのに、一番仲が良かったはずなのに、挨拶をすることさえろくにできないって事実に呆然とした。






 歩いていたら歩いていたで、教室に居たら教室に居たで、とにかくしいは、やたらめったら誰かに声をかけられまくっていた。



 クラスメイトだけじゃない、ヤロウだけじゃない、他クラスの男子女子、下級生の男子女子、何なら校長教頭含む先生、用務員のおっさんにも。



 さらに恐ろしいことに相手がしいを………史季を知っているだけじゃなく、声をかけてきた全員を、史季もちゃんと誰って把握してるみたいだった。






 しいじゃない。



 あんなの、こんなの、俺の知ってるしいじゃない。



 再会の一番最初、『つんちゃん‼︎』って抱きついてきた、あれがしいだよ。






 あれ、誰だよ。






 誰だよって思うのに、思うから、俺はやたらしいを………史季を視線で追った。



 っていうか、すげぇ目立つから、勝手に目がいった。






 クラスメイトの中で群を抜いて小さい。女子より小さい。



 そしてクラスメイトの中で、群を抜いてかわいい。



 プラスで、楽しそうで。いっつも笑ってた。






 クラスは信………信我も同じだった。



 他にも同じ小学校だったやつらもたくさん居るから、こんな時期の転入だけど特に浮いたりしなかった。






 表向きは。






 けど。






 ………けど。







 俺の心は。






 チャイムが鳴る。



 席につく。






 しいは………史季はもう教科書とノートを開いてた。さっきまでとは違う、真剣な顔で。






 そしてその後に、しいが………史季が学年でトップクラスの成績だと知って、俺は。






 ついて行かない。



 ついて行けない。






 ブランク5年のしい………史季に。






 俺の心は、変に浮いたまんまだった。

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