俺と彼女を別れさせたい幼馴染みvsそもそも彼女がいない俺

膝からレンコン

俺と彼女を別れさせたい幼馴染みvsそもそも彼女がいない俺

「ねぇ恭太、私彼氏ができたの。」


放課後に、そんな事を俺__中村恭太に報告したのは、幼馴染みの山口唯菜。


「マジ?」


「マジ。」


どうやら本当だったみたいだ。


「へ、へぇ〜…よ、良かったじゃん」


と、若干顔を引き攣らせながら祝福の言葉を口にする。


だが、心の中は


(あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!今日告白するつもりだったのに〜!!こんなことなら、告白先延ばしにしなければ…!

ちくしょー!!)


といった感じである。


そう。俺は、恥ずかしいという理由で告白を先延ばしにし、その結果他の男に大切な幼馴染みを取られた哀れな男になったのだ。


辞めてくれ!俺!もう俺のライフはゼロよ!


と自分で自分を馬鹿にし、どこかで聞いたことがあるような台詞でそれにツッコミを入れるという訳のわからない事をしてしまう位、混乱している。


「ねぇ。恭太は私に彼氏ができてどう思う?」


「い、いいんじゃないか?うん。」


俺がそう答えると、唯菜はジト目になり、


「ふ〜ん…良いんだ…。ふ〜ん…」


と、明らかに私不満です。というセリフと顔をした。


「な、何?」


「べっつに?私今日は彼氏と帰るから!」


その言葉は結構効くな…。


「そ、そっか。じゃあ俺は先に帰るから。」


そう言って、下校した。


帰宅したあとは直ぐにベッドで泣いた。


それはもう泣いた。親が心配する程に。


◆◆◆◆


目が覚めた。


どうやら、泣き疲れて寝てしまったみたいだ。


気分が重い。


そりゃそうだ。


大好きな幼馴染みを、知らない男に取られたんだから。


これがBSSってやつか…。


でも俺も悪い。


恥ずかしいから…とか、断られたら…とかそんなヘタれた結果なんだから。


俺はスマホを起動する。


少しでも気を紛ららすために、SNSを漁ろう。


そう考え、誰もが画像、動画を投稿出来るアプリを開いた。


「あれ?これって…」


そこには、yuina yamaguti と言う名前のアカウントを見つけた。


その人のつぶやきを見てみると、予想通り唯菜だということが分かった。


「あれ?これ、どういう…」


唯菜の最新のつぶやきを見て戸惑った。


なぜなら、そのつぶやきが衝撃的だったからだ。


それは、


『大好きな幼馴染みの恭太が全然告白してくれない…。だから、彼氏が出来たと嘘をついて反応を見て、私のことが好きなのかハッキリさせる!』


というものだ。


その時、俺の心は喜びと悔しい思いで溢れた。


唯菜が俺のことを好きだということに対しての喜びと、彼氏がいると騙されたことへの悔しさ。


まぁ、当然喜びのほうが大きいけどな。


そうだ!こういうのはどうだろう。


俺は、唯菜にやり返すいい方法を思いつき、満足したので、眠りについた。


◆◆◆◆


翌日、登校して唯菜に合うと自分から話しかけた。


「おはよう。唯菜」


「あ、おはよう。恭太」


「どう?彼氏さん。」


「え?うん。優しいよ?」


「そっか。」


「どうしたの?急に。」


「実は俺、彼女ができたんだ。」


「へ?」


「かわいいし超いい子でさ。」


「そうなんだ。へぇ〜…お、おめでとう。じゃあ私行くね!」


「え!ちょ!」


若干どころではない顔の引き攣らせ具合をしながら、唯菜はいってしまった。


◆◆◆


Side山口唯菜


どうしよどうしよどうしよ!!!


恭太に彼女が出来ちゃった…。


私が彼氏が出来たって嘘をついた罰なのかな…。


ただ、恭太が全然告白してくれなくて不安になっちゃったから確かめようと思っただけなのに。


「うぅ~!どうすれば〜!」


「ど、どうしたん?ゆいっち。」


「お母さ〜ん!」


「うわ!?いきなり抱きつかないでよ。ちょっ!鼻水が制服に付いちゃう!」


そう言って私の鼻水をティッシュで拭き取ってくれた女の子は、親友の田所桜花ちゃん。


クラスメイトからは面倒見が良く、包容力があるのでお母さんと呼ばれている。


そんなお母さんに、今日あった事を話してみた。


「そんなの奪っちゃえばいいじゃない!」


「えええ!?」


「ずっと好きだったんでしょ!」


「でも奪うっていってもどうすればいいか分からないし…。」


「色仕掛よ。」


「…っ!お母さんのえっち!へんたい!」


「失礼な!これぐらいしないと男なんて奪えないわよ!」


「もっと他の方法は?」


「そうねぇ…。」


そう言ってお母さんは考え始めた。


「別れさせる。」


お母さんが、ポツリともらした。


「それだあぁぁぁぁぁあ!」 


「ちょっと、いきなり叫ばないでよ。」


「ご、ごめん。」


でも私、決めた!


恭太とその彼女を別れさせる!


この日から、私と恭太の戦い?が始まった。


◆◆◆◆


ある日。


今日は休日だよね?


一日ゴロゴロしてようと思ったのに。


「なんで唯菜がいるんだよ!?」


「いいじゃん別に。あ、漫画借りるね。」


「良くねぇ!」


唯菜が来るなら隠さないといけないものだってあるんだぞ!


え?何かって?


そりゃあエロ本だよ!


「ねぇ」


唯菜に見つかったらやばいな。


俺が持ってるの幼馴染みモノだけだから。


「ねぇってば!」


「あぁ!もうなに?」


唯菜が煩いので振り向いた。


愕然としたよ。


「こ、これ何…。」


顔を赤くした幼馴染みが、幼馴染みモノのエロ本を持ってたんだから。


ふぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!


咄嗟にエロ本を唯菜から奪い取ろうとしたら、散乱している漫画に足を取られて、唯菜を押し倒してしまった。


「イチチ…ごめん…な…」


唯菜の顔を見て、顔を横に向けた。 


「ねぇ、恭太…。」


唯菜が、耳元で囁いてきた。



こんなこと、したいの…?



と、エロ本を胸にそう言う唯菜。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


耐エロ俺!


違う!


耐えろ俺!


「と、トイレ!」


◆◆◆◆


Side唯菜


今日は、恭太の家に遊びにきている。


どうやら今日はゴロゴロしていたかったみたいだ。


「漫画借りるね。」


そう言って、漫画を漁る。


あれ?


この薄い漫画なんだろう?


中を見たら、それは…その…え、えっちな本だった。


しかも、殆ど幼馴染みモノ。


ヒャーー!!


もしかして私の事を妄想したり…。


「ねぇ」


私は聞いてみようと思った。


「ねぇってば!」


「あぁ!もうなに?」


恭太が焦ったようにこちらを向いたと思ったら、顎が外れたみたいになっていた。


「こ、これ何…?」


私がそう聞くと、恭太が覆いかぶさってきた。


もしかして…。


ごめんと言いながら横に顔を向ける恭太に囁いた。


こんなこと、したいの…?


すると、恭太は奇声をあげながらトイレに行ってしまった。


待って。


冷静に考えれば、今のとても恥ずかしいことなんじゃ!?


お母さん(桜花ちゃん)のこといえないよぉ。


◆◆◆◆


またある日。


唯菜が泊まりに来た。


「お邪魔します。」


「あらあら、いらっしゃい。」


どうやら勝手に、唯菜と唯菜の両親、そして母さんで勝手に決めたらしい。


いや俺にも言えよ。


それはともかく、今日は唯菜が家事をやってくれるらしい。ありがたい。


唯菜は、本当に手際がよくて、助かった。


唯菜がつくった夕食も美味かったし。


風呂入るか。


風呂釜に入る前にかけ湯をする。


「はぁぁぁ〜…。気持ちいいぃ!」


やっぱ風呂は良いよな。


ゆったりできるし。


ガラガラ


「き、恭太…。背中流すよ?」


え?あ、え?ええぇぇぇぇ!!?


「ちょ、裸だぞ。」


「私は水着着てるから大丈夫!」


「いや、俺がだよ!」


「え?」


唯菜の視線が下に下がっていき、


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


と叫び、逃げて行った。


何なんだ?ホントに。



布団に入った時には、唯菜は俺の布団に入ってきた。


「ちょっと…唯菜。」


「ねぇ恭太。」


「何?」


「今日の私どうだった?」


「家事をしてくれて助かったよありがとう。」


「いいお嫁さんになるでしょ?」


「えぇ!?」


沈黙が流れる。


「…私ね、恭太に嘘をついたの。」


「嘘?」


「いつだったか、私に彼氏が出来たっていう話。」


「うん。」


「本当は嘘だったんだ。」


「知ってたよ。」


「え?」


「ほら」


そう言って、誰もが画像、動画を投稿出来るアプリを見せた。


「じゃあ、私が恭太のことが好きだって知ってたの!?」


「あーうん、まぁそういうことになるかな。」


「何で!?」


「え?」


「何で気付いている事言ってくれなかったの!?私の事を馬鹿にしてたの!?好きかどうかさえ素直に聞けない臆病な私を!」


「違う!」


「じゃあ何!?」


「やり返そうと思ったんだ。」


「…どう言う意味?」


「俺、唯菜が好きなんだ!」


「ふぇ?」


「だから彼氏が出来たって聞いた時は、本当に落ち込んだ。」


「……」


「その時に、あれを見つけたんだ。」


「そういう…ことだったの…。」


「じゃあ、彼女はいないの?」


「居ないよ。ずっと唯菜一筋だったから。」


「そ、そうなんだ。」


「なぁ、唯菜。」


「何?」


「俺と付き合って欲しい。」


「!」


「おれの側にいる女性は唯菜以外にかんがえられないんだ!」


「私も、私の側にいる男性は恭太以外考えられない。」


「じゃあ!」


「うん。よろしくおねがいします。」


そうして俺たちの戦い?は終わった。


カップルになったからといって、これまでの関係が大きく変わることはない。


これから色んな困難が待ち受けるだろう。


でも大丈夫。


だって、唯菜と二人ならきっと乗り越えられるから。


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俺と彼女を別れさせたい幼馴染みvsそもそも彼女がいない俺 膝からレンコン @Onigiriyuusya

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