第2話 キャラクター名・夜叉丸

 夜叉丸はPCオンラインゲームを長年やってきた。

この命が一つというハードルの高さに惹かれてplayを開始した。

通常であれば何かしらの情報が発売前には出るはずであるのに対して情報が全く出てない点も夜叉丸にとっては魅力的だった。


 このゲームの事はある程度調べたがネット上に情報が全く出てなかった。理由を夜叉丸は考えた。その他のプレイヤー達もあまりの情報の無さに有名なその手のサイトを立ち上げようとしたが、ゲーム外での情報共有は禁止されていたため、すでに事前登録を済ませている人達が立ち上げた序盤のゲーム予想をするサイトを立ち上げた。運営に一応問題ないか確かめた所、ゲーム開始時にサイトがあればそのサイトを使っている人は全員キャラクター削除に該当するので手違いが起こらないよう前日までに削除することを勧められた。


 運営サイトからゲーム内には情報屋がいて携帯などから登録しているIDでアクセス可能なのを教えてもらえた。場所は教えてもらえなかったが大きな収穫と言えた。


 運営からのゴーサインで一気にそのサイトに人が集まってきた。同じようなことをしている人達は運営に確認せず、立ち上げている人がいるなら大丈夫じゃない? 程度の考えであろうと考えて夜叉丸もいくつもサイトを見だすと訳が分からなくなるので運営から了承したサイトでのみ情報収集を議論した。


 情報屋というNPCが存在していて情報を売ることも買うこともできることは公式に書いてあった。楽しめるのはあくまでもプレイヤーであり、何かしらのNGに引っかかると賞金は出ない上、同じギルドメンバーにならない限り誰にでも攻撃可能なため今までに無い緊張感がとても気持ちよく夜叉丸は感じていた。


 仮にNPCの兵士などを攻撃したら長い獄中生活が待っている。夜叉丸は設定から攻撃不可NPCを設定すると、とりあえずは日本人のフレンドを探すため会話を日本語のみに設定した。


 通常のオンラインゲームなら情報交換やギルドメンバー募集中の会話が多いのだが、さすが高額懸賞金付きとなるとリーダーとしてもメンバー募集だけでも腰が引けていた。情報交換も当然、皆情報屋に売ったほうがいいため控えめな会話しか流れていなかった。


ギルドメンバーが違法行為を行うと違法条件にギルドメンバーも引っかかるような条件の場合、メンバー全員に何かしらの不可がかかる。当然、違法行為を起こしたキャラクターは抹消される。内容次第では獄中生活か指名手配犯にされる。そのくらいなら時間が立てば問題はないのでいいのだが、画面左下にカオスメーターがある。これは善意ある行動をすればキャラクターから薄い青い炎のようなものが上がって色々な面で必ずではないがNPCから助けてもらえることもある。


 逆に悪意行為や賞金首になった場合などは最初は薄い赤い炎をキャラクターから煙のように立ち上る。兵士に見つかると当然襲ってくるし、賞金首なのでそのまま捕まるか抵抗するか三秒以内に選択ができる。

捕まるほうを選択した場合は所持品は全て没収される犯罪者専用の闇銀行に預けているお金やアイテムなど以外は全て無くなり、獄中生活が始まる。


抵抗して勝った場合はメーターがさらに赤くなり凶悪な犯罪者として懸賞金がかけられる。


 村人や他のプレイヤーを殺しても問題ない条件は誰にも見つからない事が条件であり、雑魚兵士でも正規兵士でもプレイヤーでも赤カオスが上がってしまうのはバレた時だけではあるが、なかなか難しい。一番いいのは賞金首を狙うのが良い。難易度の高いクエストとは別に毎日更新されるクエストは十個ある。その中でも難易度が高いほうに位置づけされており、賞金首狩りレベルも上がるし、通貨の他にもアイテムも貰える。賞金首狩りレベルが上がると毎日クエスト以外に直接依頼を受けることもできるようになる。



 イベントを発生させるには二つしかない。自らNPCたちから情報を集めてイベントを発生させるか、情報屋を通して情報を得るとイベントが発生するというものだ。情報屋を通した場合そのクエストに必要な物も売ってもらえる。そのアイテムも情報と同じ数だけ売ってある。ある程度の情報を仕入れて夜叉丸は単身で出た。せっせと木の実を売ったお金で水袋を買って水さえあれば生き残れる。


低レベルのイベントでも自力で見つけるのは夜叉丸が今までしてきたゲームと比べて遥かに難易度が高い設定になっていた。


 しかし初期の場所から緊張感が半端じゃなかった。運よく武器の剣を拾ったが彼は魔法使いタイプがメインジョブだったためレベル1の敵ですらハーフに近い勝率だったため村に戻った。

自分と似たような人を探そうとしたが、初期は服も男性キャラは布の長い腰巻で、女性キャラは布の胸当て

と長いスカートだけであり、区別不可能だった。

 

 今日はもう厳しいかな~とゲーム内で二十四時間はリアルで一時間なのでシャワーでも浴びてあとでログインしようと思っていたら夜叉丸に個人チャットがきた。


「こんにちは。メインジョブは魔法使いですか?」夜叉丸はすぐに返事を返した。「こんにちは。違います。メインジョブは戦士です」

「私はメインジョブは魔法使いなのですが交換してもらえるなら助かるのですが……」

「こちらも助かります。是非交換お願いします」と夜叉丸は返信した。

「ありがとうございます。それでは南門外にある民家の裏でお待ちしています」とヤシの実は答えた。

「わかりました! すぐに向かいます」夜叉丸はこれで何とか戦えると安堵した。


 場所も野生動物もまだいない場所で近いのでそのまま夜叉丸は指定場所に向かった。草陰に剣を持った女性キャラクターのヤシの実がいた。


「お待たせしました」お互いお辞儀をして交換画面を開いた。建物の影かと思っていたら影が動いていた。

(まさか!!)そのまさかである。


 背後からヤシの実の仲間が二人もいた。

夕方から夜にかけてNPCもほとんど寝ている。

弱いが門兵も門にいるだけで、寝てるんじゃないのかと思わせるほど動かない。


フルボッコのサービスを受けて夜叉丸は武器やアイテムを奪われて終わった。


ワンポイントアドバイス

アイテム交換はなるべく人が大勢いる時にしよう!

門兵はあまり強くはないが手を出された方に助けに入ってくれる。

次は頑張ってね!!



夜叉丸日記第一話


戦死理由・罠にはまりフルボッコ GAME OVER

 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る