1章 4話 蜂と羊と馬4
カタリナが運んできてくれた、囚人用にしては美味しすぎる食事を済ませた後も、サナはずっと打開策を考えていたが、途方に暮れるばかりで
気付けばいつの間にか、日まで暮れていた。
月明かりが窓から漏れて、こんな場所でさえなければ見蕩れてしまう程美しい月夜だった。
左隣の牢獄の住人に話し掛ける。
「ねぇ科学者さん」
「なんでしょう」
と棒読みの素っ気ない返事が返って来た。
「貴方はクリームとか作れる?」
「クリームって油っぽい機械とかに塗るヤツだろ?まぁあんなものは簡単だ」
この世界では皮膚に塗る概念が存在しないので、クリームは機械や工具などのメンテナンスにしか使われない。
「それに色を付けたり、植物の成分と混ぜる事は出来る?」
「勿論材質によるが、差程難しいもではないだろう」
「なら私達の力を合わせればここから出られるからもしれません!協力してください!」
当然の提案に渋る様な間の後、返って来たのは返事ではなくて質問だった
「結局聞きそびれたが、お前の特技って何なんだ?」
サナは小さく息を吸うと、力強く断言した
「___メイクです!」
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