第16話 暗殺者
〈王女side〉
『”影縫い”』
どこからかそんな声が聞こえたとたん、体が全く動かなくなった。
かろうじて口だけ動かせるが足や手は全く動かない。
次の瞬間、後ろから首筋に短剣が迫りくる。
「パーンッ」
鋭い音とともに短剣がはじかれ、体の拘束が解かれた。
よかった…いつも結界を張っておいて。
「ッチ!」
前に飛びながら後ろを振り向き、相手をとらえる。
「(性別は男、大体30後半というところかしら顔は仮面をかぶっていて特定できないわね。そして黒いあの短剣、まさかあれは…」
次の瞬間、短剣を構えつっこんでくる。
「(速いっ!)」
後ろに跳び、紙一重で回避する。
「(どうやら考える時間はくれなさそうね。)」
「…なぜ私の命を狙う。」
「……………」
「(よびかけには応じないか。)」
とりあえずユリスを呼ぼう。そう動いた時だった。
「…お前はこの国の王、お前の父親のしたことを知っているか。」
「…?」
「今から18年前、お前の父親はこの国を救い、王となった。」
それは私も知っている。
18年前、この国にリヴァイアサンが現れ、港は
そこでお父様が自ら
その時にお父様の固有魔法が発現したそうだ。
「あの男は神獣リヴァイアサンを追い返し、国民の英雄となった。」
「しかしあいつは俺の、いや俺たちの大切なものを奪った!」
どんどん声を荒げていく。
「だからお前を殺し、その罪に報いてもらう。」
…話を
そしてここまで声を出してもユリスが来ないということは、なんかの結界がこの部屋に張ってあるのだろう。
とりあえずそれを破壊しないと。
『命令よ、そこでひざまずきなさい。』
男が一通り言い終わったところで私の魔法を発動する。
私の持つ『”
相手を見ないと効果を発揮しないが、とても便利な能力だ。
路地裏で男に絡まれたときに重宝している。
もしあれが本物ならば、これは効かないはず…!
「………?」
「…やっぱりか。」
効かない、そしてあの黒い短剣、間違いない奴は「七つの大罪」ね…
じゃあもう奥の手を使うしかない。
「『”叡知の
目の前に一冊の本が現れる。
これは前世の私の固有魔法だ。
私が見たことのある魔法はすべてこの魔法書に記録され、いつでもいつでも使うことができるようになる。
正直、便利な代わりに消費魔力量が多いためあまり使いたくないのだが、相手が相手だ。
警戒したのか相手が投げナイフを投げてくる。
『”ファイアウォール”』
魔法ではじくがまだ男は黙ったままだ。
すると突然、背中に短剣がかすった。
間一髪でよけたが。ドレスだったため、体制を崩し倒れてしまう。
「(しまった!やられたわ!)」
「お前の体から魔力をすべて奪った。」
「(多分今ので足痛めたわ…)」
そして首を掻き切ろうと短剣を王女の首へ振り落とした。
『キッーン!』
「すみません、遅くなりました。」
肝心な時にいない護衛がようやく来たのだった。
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読んでいただきありがとうございます!
だいぶまた投稿が遅れました。
もう毎週水曜に投稿にしていこうかなぁ…
面白ければ、☆をお願いしますっ!
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