第1話
「∶∏∪∏∣∣∩ζ∃∑∌√∆∧∝!!」
「√∌∥∨∥∨√∨∫∫∧⊃∞∧∝∧∝∧∫∫∨√∌⊃∧!!!!」
何だ?何か聞こえる。誰か喋っているのか?俺は死んだんじゃ…ッてぇ!頭に痛みが…考えるのは辞めよう。今は状況把握だ。
「∏√√∨∆∇√∫」
何この人。て言うか誰だ?聞いてみるか。
「あ〜あぅああぅぅ?」
赤ちゃん?どこかに赤ちゃんが…いやもしかして、え!?俺の手が…ちいさい?
俺、もしかして、赤ちゃんになってる!!?
え?え?何で?
「∏∅∆√∑∌ροΕΞωηζ」
「Ξ∩⊂⊄√∨∧∏∞∑∝∇」
ヤバい…なんて言ってるのか全然分からない…。どうしよう…。
『スキル《言語理解》を取得しました。』
わぁ!!な、なんだ!?スキル?《言語理解》?なにそれ。
「ソフィア。産まれた! 俺たちの子が産まれたんだ!」
大きな手に、自分の体を軽々と持ち上げられている。
俺は、転生したのか…?
状況から判断するに、この男が俺の父親で、寝ているのが母親だろう。
「生まれたわ!これが私達の子供!パパに似て格好いいわ。」
「いやいや、君に似てとても可愛いさ。」
甘ぁ〜。ラブラブだな。あれ?というか何でこの人たちの言葉がわかるんだ?
もしかして、《言語理解》の効果!?だとしたら凄いな…スキルとやらは。
「ん〜!かわいいなぁ!ぶちゅー」
男の人がキスしてきた。
オイ!やめろ!
「あ!うぅあ!」
……赤ちゃんなので舌足らずだ。
「もう…貴方?名前つけてあげないと。」
「そうだった!ん〜…そうだルイってどうだ?」
「へぇ〜いいじゃない。ルイ…いい名前ね。」
いいじゃないか。
「あうあいあぅ」
「あらどうしたの?もしかしてお腹空いたのかしら?」
え?ちょ、何で胸を近づけ、あ〜!
「けぷ」
ミルク美味しかった。
あれ…?飲んだら眠くなってきた。ちょっと……ねよ。
◆◆◆
異世界らしいところに来て三日がたった。
とりあえず、母さんが水を井戸で汲むときにある井戸端会議で得た情報をまとめる。
この世界は、創造神ゼファという神によって創造された世界だ。
そして、今俺が住んでいるところは、エスティ王国という国の辺境にある、小さな村らしい。
住民たちは農業をしているが、あまり食物が育たず、他の村と比較すると少し貧しい。
俺の予想だか、土壌が悪いのではないかと思う。
次に、この世界には魔物と呼ばれている生物がいる。
魔物は、この世界を形成する魔力が、ある一定の場所に溜まり、具現化したものだと言われている。
ただ、魔物は一般人では倒すことはかなり厳しいということで、この国の初代国王が、800年程昔に設立した制度が冒険者というものだ。
冒険者は、魔物を倒すだけではなく、冒険者ギルドに依頼された物を冒険者が受注し、その報酬で生計を立てている。
情報をまとめながら、なんだか楽しそうな世界に来たと、そう思った。
◆◆◆◆
この世界に転生して3年がたった。どうやらこの世界にはステータスと言う物があるようだ。
それは3歳になった時に教会で受けられる【洗礼】を受けると、見られるようになるらしい。それを今から受けに行く。
「ルイ?準備終わったわね。じゃあ行くわよ。パパも早く!」
「はいはい、ちょっと待って。」
準備を終えた俺たちは、外に出た。
「あ、ルイ!おはよう!」
「おはよ!」
この美少女…いや美幼女はお隣のエマちゃんだ。
「今日【洗礼】受けに行くんでしょ?」
「うん」
「いいスキル貰えるといいね!」
「え!?【洗礼】ってスキルが貰えるの!?」
「そうだよ!ちなみに私は《細剣士》っていうスキルだったんだよ。すごいでしょ!ねぇ、凄いでしょ!」
「凄いね〜」
「ルイ〜!行くわよ!遅れちゃうわ!」
「は〜い!」
教会についた。今日は一年に一回の【洗礼】の日なので教会には村の子たちが沢山来ていた。
辺りを観察していると、神父さんが奥の部屋から出てきた。
「えぇ、では【洗礼の儀】を始めます。」
どうやら正式名称は【洗礼の儀】と言うらしい。
最初は近所に住んでいる子が受ける。
神父さんが何かを唱えると、辺りが光り、その光が収束してその子に入っていった。
「はい。終わりましたよ。貴方が頂いたスキルは《剣術》です。」
その子は喜んでいた。
他の子も終わり遂に俺の番が来た。
「では、神に祈りを…。」
俺は、よく分からないので、前の子の見様見真似で祈った。
すると辺りが光り、その光が収束して俺に入っていった。
何だこれ…。何かがはいってきている。
「終わりました。貴方が頂いたスキルは《博識》です。」
《博識》?
「これはどういったスキルなんでしょうか?」
神父さんに聞いてみた。
「さぁ?私は長くこの【洗礼の儀】をしてきましたが、こんなスキルは聞いたことがありません。恐らくそれはユニークスキルでしょう。」
ユニークスキル…。確か、父さんが通常のスキルより優秀なスキルって言っていたな。
「あの子凄いわね〜。ユニークスキルですって!」
「スゲー!」
何か気恥ずかしいな。尊敬の目を向けられて、背中がむず痒い。
【洗礼の儀】が終わり家に帰った。
「まずはステータスだな。」
ルイ 【碓氷遊馬】(3歳) 種族 人間 SP 0
体力 5
魔力 8
筋力 3
攻撃力 2
生命力 4
防御力 4
知力 10(+100)
抵抗力 2
器用 9
俊敏 2
運 10
《スキル》
言語理解
《ユニークスキル》
博識
《称号》
異世界人・・・知力に補正(+100)
ステータスは低いが、スキルと称号があるな。
貰った《博識》を調べてみる。
どうやら《博識》はこの世界のあらゆる情報を取得出来るスキルらしい。
これ凄くないか?あらゆる情報ってことは、スキルの取得条件も分かるってことだろ?例えば…
《魔力操作》
体内にある魔力を、一日中動かし続ける。
《魔法》
取得条件・・・《魔力操作》を使用し、魔力を練り上げ、放出する。
と、こんなふうになっている。これならば努力次第で強くなれる。
「ルイ〜?ご飯よ〜!」
おっと、もうご飯の時間になってしまったか。
「うん!今行く!」
そう言って部屋を出た。
「え…ナニコレ」
そこには、とても美味しそうなご馳走が並んでいた。
うちは貧乏だ。だから、こんな贅沢自分の誕生日ぐらいだぞ!?
「え、何で?」
「だっておめでたいじゃない?ルイがユニークスキルを獲得したこと。」
「そうだぞ!腹いっぱい食えよ!」
あぁ。なんというか…温かいな。向こうの世界じゃ愛情なんて受けたことなくて。
つい、涙が溢れてきちゃって…。
「どうしたの?ルイ。どこか痛いの?」
首を横に振る。
「ううん。違うんだよ母さん。祝ってくれるのが嬉しくて。つい…」
そう言うと、両親が破顔した。
「そうかそうか!なら今日はたくさん祝わないとな!」
「そうねぇ。」
「うん!」
そう言って、俺は何があっても家族は守ろうと決めたのだった。
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