第3話 ファルマの王女達 Ep.第二王女

カンッッ!!!カンッッ!!!

木刀を打ち合う音が響く。


―AM8:00

ファルマウテラ騎士団の訓練場(室内)で

騎士団の日課である剣術訓練が行われていた


「打ち型やめ!!!次、素振り千回!!!」

「はい!!!!!!」


猛々しい騎士達の雄叫びより

ひときわ凛凛しく声を張り上げて訓練指示を飛ばすのは第二王女・シルフィ。

シルバーグレーの髪を煌めかせて大勢の騎士達に次々と指導を行っている最中であった。


「新人」

「ハイッ!!なんでしょうかシルフィ王女!」

「体幹軸ぶれ、剣筋すじフラフラ、やり直し」

「ハイッ!!!」


新人騎士の声が裏返るのも無理はない。

上位騎士とやりあう腕をもち、それに加えて

訓練服が悲鳴をあげる豊満ナイス身体ボディをしている。


(訓練においてあらゆる意味で、いい人選)

(厳しい訓練むちと頑張ったあとの笑顔あめのセットで騎士達おれたち頑張れてます)


と無駄口を叩けない騎士達は内心で語る。


「シルフィ王女殿下!」

「!!訓練止め!ノエル!!お疲れ様!」


輝かしい甲冑を着た柔和な笑顔の男が訓練場に姿をあらわすとシルフィは訓練を止め、

甲冑の男に向かいかけてゆく。


男に駆け寄るシルフィは華のように微笑み、

対象的に騎士団員達は石像のようになる。

それもそのはず、

ノエルと呼ばれた男はシルフィの婚約者フィアンセであり騎士団の副団長である。


こうしてリア充をみせられることによって

ファルマウテラの騎士団は孤独と寂しさを乗り越え憤りと怯えでより強くなるのだった。


(孤独と寂しさ・憤りと怯えは冗談で、

副団長ノエル王女シルフィの厳しい訓練の賜物である。)

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