12【意識していること】フィン感を長く続けていくための工夫

 有澤いつきさんから質問をいただきました! ありがとうございます!


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個人的な悩みで恐縮ですが、私は続けることが苦手です。フィンディル様が感想を書き続けていくために意識していることや原動力等があれば教えてください。

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(以上引用)


 これは私も永遠の課題として持ち続けています。感想書きでなくても、何か創作作業をする人達にとっては永遠の課題だと思います。私も今はたまたま書き続けられているだけで、いつモチベーションが潰えてしまうのかわかりませんから。



 まず大事にしている活動スタンスが、「全力は出さずにちょっと余力を残す」です。


 「フィンディルの感想」を長く応援してくださっている方の多くは「フィン感は2020年から始まった」という認識を持たれていると思うのですが、実際は2019年から始まっています。2019年の始めから、活動は始動したのです。感想の掲載場所は別ですけどね。

 始動当時、フィンディルは最高のモチベーションを持っていました。もう感想を書くのが楽しくて楽しくて仕方なかった。感想書きとしての経歴は十五年ほどあるのですが、感想活動を立ちあげたのは2019年が最初だったので、もう漲るモチベでした。

 最初の感想は一息で書いてしまったのです。休憩すら挟まず一日で一本。

 それからも漲るモチベーションで感想を何本か、超高速で書いていきました。しかし徐々にスピードが落ちてきました。休まずくべていたモチベの薪がなくなってきたのです。

 そうしているうちに、五日に一本のペースになりました。それでもきついなと思い始めていたのですが、私は五日に一本からさらにペースを落とすことを拒みます。「一年に換算すると七十本ほどだ。これ以上ペースを落とすと感想本数が少なくなる」と年間ペースを気にしたからです。

 すると、累計感想が十本を超えたくらいで、筆が動かなくなってしまいました。というのもその作品が、めちゃくちゃモチベの薪をくべないと感想が書けない作品だったからです。ほとんど薪が尽きていた私には、脳内に聳える高峻かつ深淵な感想内容を文章に起こす気力が湧かなかったのです。

 そうして私は感想を書く手を止めたまま、半年以上ものあいだ放置してしまいました。年間ペースを気にしてモチベ管理を怠った結果、年間十本ほどしか書けなかったのです。


 およそ半年後、ある程度復活したモチベでその感想を書き終えた私は、「これではいかん」と考えました。モチベの薪を全てくべてしまわないような活動をしなくてはならない。

 八日に一本のペースに変えました。さらにその後「細かいところ」ありの感想では九日に一本のペースに変えました。

 私の場合、このペースに変えることでちょっとだけ余力が生まれました。全力で書かなくても、感想が書きあがるペースだった。モチベの薪を全てくべてしまわない程度の余力が生まれ、それから二年間休まずに感動活動を続けられています。

 (誰の言葉かは忘れましたが)好きな言葉に「ゆっくり歩いて止まらない」というものがあります。結局それが一番速いんだなと思ったのです。八日、九日に一本のペースでは年間で実質四十本も書けないのですが、「ゆっくり歩いて止まらない」ペースが一番感想本数を出せるんだろうと思います。


 ゴールや目標のある活動ならガッと力を入れて取り組んでもいいのですが、フィン感は安定したペースで安定したクオリティでずっと書き続けることが大事な活動です。

 なので、全力を出さずにちょっとだけ余力を残すペースにする。これが私が、今のところ感想活動を休まず続けられている理由ですね。



 また試行錯誤を続けるなかで、生き残っているいくつかの作戦がありますので、三つ書いておきます。


 ひとつめ。必ずしも守らなくてもいい締切を公言しておく。

 フィン感の規約には、フィン感は作業とりかかりから掲載までを二週間以内に済ませることを努力目標にする、としています。二週間以内に掲載すれば規約的にOKだよ、と。しかも努力目標に過ぎないと。

 そのうえで作業とりかかり時にツイッターで「〇月〇日に掲載予定です」と公言しています。この掲載予定日は八日後、九日後を設定しています。

 このズレを作っておくことで、私のなかで「掲載予定は出したけど、絶対に守らなくてもいいよな」という気持ちが生まれます。締切は締切だけど絶対じゃないから、仮に間に合わなかったとしても「あぁ締切を守れなかったぁ、もう駄目だぁ」と気持ちが萎えてしまうことはない。二週間以内に掲載すればOKって言ってるんだから。

 しかし「〇月〇日に掲載予定です」と公言しているので、締切としてのプレッシャーはかかる。他の人にとっては、公言した締切が締切ですからね。仮に間に合わなかったら「一日延ばします。ごめんなさい」と謝罪しないといけない。そのため、ある程度のストレスはかかる。二日延びれば二回謝らないといけないから、心理的ハードルはさらに高くなる。

 この「オーバーしても自分の気持ちは萎えないけど、謝らないといけないからストレスはかかるよ」という締切を設定しておくことで、締切が良い緊張感を与えてくれているような気がしています。


 二つめ。作業日数は絶対に巻かない。

 感想執筆の作業量は、作品に大きく左右されます。八日で何とか書ききれる作品もあれば、実は六日もあれば余裕で書ける作品もあります。

 ただここで「六日で書けるんだから」と作業日数を巻いてしまわないようにしています。六日で書ける感想を、無理やり八日で書いています。

 巻いてしまうと、「余裕で書きあがる期間」がなくなってしまうんですよね。ずっとギリギリパンパンのスケジュールで書いていかないといけなくなる。

 そうすると“全力”にバランスが傾いてしまうので、私の場合はモチベが潰えてしまうだろうなと思っています。

 余裕で書けそうなときには、巻かずに、余裕をもって書くようにしています。余裕をもちすぎてギリギリになるのが度々というのは内緒。


 三つめ。作業スケジュールのなかに「何もしない日」を入れる。

 これは以前も別のところでお話ししたことですが、フィン感は「一日目:作品を読む」「二日目:何もしない」「三~六日目:感想を書く」「七日目:作品を通しで読み直す」「八日目:感想を読み直し、掲載する」というスケジュールをとっています。「細かいところ」ありは「作品を通しで読み直す」を二日間に分割しています。

 ここで大事なのが「二日目:何もしない」です。何もしない日を、必要工程に組みこんでいます。これは感想を書く前に作品内容への理解を深めたり感想内容を構想したりする日でもあるのですが、手や口や目を動かさない日を作るという意図もあります。

 「フリーランスは休日を自分で作りましょう」みたいなもので、「何もしない日」を設定し、それを守ることはモチベーション維持には重要だなと思います。

 感想内容が脳内で暴れまわって「早く書きたい!」という気持ちになっても、三日目になるまでは絶対に一文字も書きません。これを意識づけてます。その結果三日目も一文字も書かないのが度々というのは内緒。



 この二年間の活動のなかで色々な試行錯誤をして、上記の工夫が生き残っています。

 環境音BGMを作業スイッチにするとか、文字数ノルマを作るとか、作業時間ノルマを作るとか、この時間帯は必ず作業時間にあてるとか、色々やりましたけど全部生き残りませんでしたね。むしろ細かいルールやノルマは、守れなかったときに一気に崩れちゃうのでリスクが高いなーとも思っています。


 こんなことを意識しながら私はフィン感を休まずに続けています。



 ちなみに原動力についてですけど、「楽しい」とか「感謝の言葉をもらえる」とか「褒められる」とか「口コミしてもらえる」とか「金銭支援してもらう」とか色々あります。それによってモチベーションが左右されることも大いにあります。

 でもどうして感想を書いているのかという原動力については、「もう自分は書くものだから」と思っている節があるかもしれませんね。お風呂に入る原動力を考えたことがないように。「お風呂には毎日入るものだから」というように「感想は日々書くものだから」と思っていると、作業にとりかかる原動力という意味では、続くのかなと思います。



 有澤いつきさん質問ありがとうございました!

 まだまだ質問募集しています!

 https://kakuyomu.jp/works/16816700428800304108/episodes/16816927859140869488

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