第5夜 無意識で祓ってた話。

 実はさっき仕事や家事の諸々が終わったので、ちょっと油断して酒など開けた。


 …というわけで、今日は酒にまつわる話をしようと思う。


 酒といえば、何を思い浮かべるだろうか?ほろよいとかの軽めのお酒から、ワインや焼酎なんかもある。


 僕といえば意外と酒が強いので、ストロングの350mlとかなら30分くらいで一本あけられる。飲んだとしても10分もすれば完全に酔いが醒める。

ある意味つまらないと言えばつまらない。


 …から、僕は余程のことが無ければ飲まない。っていうのが、前提の話として読んでもらえると嬉しい。

好きな酒はチューハイ・カクテルとかの甘い酒を好む。

ビールとかワインと日本酒は正直に申し上げると苦手な類。


 …そんな僕が、とある数年前に日本酒を買った。理由は“なんとなく”だ。

 600円くらいの小さな瓶の日本酒で誰でも知っているようなメーカーのお酒。

もちろん僕は日本酒は一切飲まないので、理由なく買った日本酒は部屋の棚に安置されてそのままインテリアのようになってしまった。


 それから数日。

 僕はまた日本酒を買った。理由はない。というか、いつ買ったか記憶が曖昧だった。夕飯の買い出しに行って帰宅して、買い物袋を整理してると出てくるのだ。もちろんレシートにはしっかり買った記憶がある。


 …いつ買った?


 こういうことが1ヶ月の間に何回も起こった。

飲まないままの日本酒が増えて、棚の上におびただしい数の未開封の日本酒が並んだ。


 とある日、謎の日本酒買い込み期間を迎えていた僕の家に仲のいい友達が遊びに来ることになった。

ちなみに友達もなかなかに“カンが鋭い”。当時の僕はといえば“見ざる言わざる聞かざる”を指針に生きていた。その方が平和だから。


 「鍋しよ!」と材料を買い込んできた友達は棚の上の日本酒を見るなり「なにこれやばw」と大笑いした。


 僕も「あっこれ?これやばいよね?飲まないのに」と勢いで友達にここ数ヶ月の日本酒買い込みの件を打ち明けた。


 「いややばいw無意識でめっちゃ祓おうとしてるやばww」


 「……」


 何を?とは聞かなかった。

 その代わり一つ友達に質問した。


「じゃあこれ飲んだらやばいね?」

「ヤバいでしょw」


 暫くしてからお酒は全部、知り合いの寺に持っていって処分してもらった。一口飲めばよかったかなと今となっては思う。

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