第4夜 ハサミを床に落としたらそのまま消えて一年後に出てきた話。
今日は、不思議な話をしようと思う。“ハサミ床に落としたらそのまま消えて一年後に出てきた”話。
皆、家の中で、特に何かの作業中に使ってた文房具とか道具をうっかり床に落としたらどうするだろう?
たぶん、すぐ拾うよって人がほとんどなんじゃないか?僕もそう。
うっかりペンとかマスキングテープとか落としたらすぐに拾ってまた使い始める。
じゃあ今日の話。
僕、その日はリビングで縫い物してたんだよね。針仕事だけどそんな机はとっ散らかってなくて、最低限必要な針と、ほんとにちっちゃい裁縫用のハサミと糸と布だけ出して作業してた。
したらその作業中、針仕事してハサミ使ってって繰り返してたらうっかりハサミを握り損ねてしまって。
もちろん手元で起こった事だから指先で掴み損ねて取り落とした感覚もあったし、思わず「あっ」て言っちゃったよね。で、それと同時位に、本来だったらハサミが“カチャン”って音を立てて床に落ちるはずだった…
…んだけど、音がしなかった。
「?」って、あれ?ハサミ落としたよね?って机の下とか床を見るけど落としたはずのハサミがない。そこからすぐ捜索をはじめた。
ハサミはやっぱりなくて、スッキリ片付いたフローリングの床の半径3mくらい、どこにも何も落ちてない。
じゃあ机?と思って、机に乗ってる全部の物をどけて服も上下一回脱いで(w)全部はたいて、本当にハサミがないと再確認した。
急に家探しを始めた僕に近くにいた母が「何か探してる?」と聞いてきたから、ハサミを落としたのに落とした音がしなくてどこにもないんだよねという話をした。
2人で30分くらい机の周りをさらえて探し回ったけれど、家具は机だけ、置いてる物も少なくてさっぱりしてたから、目で見てなかったら、それはもう“ない”なって事になって。
その日、落としたハサミは音もなく消えた。
それ以降はなんか気になるしたまに床を這いつくばってはハサミを探すようになったけど、フローリングの床だし家具も隙間もないから“なければない”以上の情報もなく。
それから1年後、最近。
朝起きてから机で書き物作業をしていた時、ふと気付いたら手元にハサミがあった。
どれだけ考えてもこの出来事が何だったのかわからない。
ただ、手元に戻ってきたので何事もなかったかのようにこのハサミを今もしれっと愛用している。
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