第3夜 シャワー掴んだらオバケ掴んだかもしれない話。
さて、今日は数年前にあった“シャワー掴んだ時の話”をする。聞いて欲しい。ただの怖い話だけれど。
この話のまず最初、皆にシャワーヘッドを思い浮かべて欲しい。うちのは持ち手にボタンがあって、ボタンを押すとお湯が止められるようになってる。
同じようなシャワーヘッド使ってるって思った人もいると思う。
頭洗う時に、髪をお湯で流してボタン押してお湯を手元で止めて、シャワーを置いてから髪をシャンプーで洗ってまたお湯出して流す、みたいなことができる。
で、本題。
実のとこ僕はこのシャワーのボタンは普段使わない。便利とか言ったくせに、シャワーフックにシャワーを引っ掛けてレバー操作できっちりお湯を止める。
でもこの日はたまたま、髪を流して手元でシャワーヘッドのボタンでお湯を止めて、シャワー本体を床に置いて髪を洗っていた。
で、泡まみれの髪と顔をお湯で流そうと思ったんだけど、目を閉じたままふといつもの癖で、床に置いたシャワー本体を忘れてシャワーフックの方に手を伸ばした。
…その結果、泡まみれの僕の手がフックに引っかかっていた何かを掴んだ。
今日はシャワー本体を床に置いていたはずなのでフックには何もかかっていない。空を切るはずの手が、何で。
…今掴んだ“これ”何?
全身に一瞬にして鳥肌が立って身体が硬直した。一瞬の出来事。
僕の手、何も掴むはずがないのに何かを掴んでいる。泡まみれで目は開けられないし身体は硬直しっぱなし。緊張で身動きひとつ取れない。
硬直して“何か”を握り込んだ手指からじわじわ何となく情報が読み取れた。ホースより少し太く何となく“生きたような”柔らかさ。
自分が下手に動くことで手の中の何かも動くのではと思うと下手に動けない。状況的には詰みだった。
“どーする?”というパニック思考。どくんどくん心臓が高まって張り詰めてピークを迎えた時、急に脱衣所がガラッ!と開いた。
今しかないと思った。
僕は何かを掴んでた手を離して思い切り立ち上がった。目を開けるとフックには何もないし、シャワー本体はもちろん床にあった。
脱衣所のドアは洗濯機回しにきた母が開けたらしく、急に大きな音を立てたものだから「どうしたの?」と声をかけられた。
平然と「何もないよ」と返事して数年になる。
それ以降シャワー本体は必ずフックにかけるようにしてる。
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