オレの誕生日の前に亡くなったおじいちゃん(詩)

野口マッハ剛(ごう)

詩です

かれこれ三年ぐらいは帰れなかったし

ちょうど おばあちゃんの三回忌だったかな

誕生日の前に亡くなったおじいちゃん

たぶん 帰る理由を作ってくれたのかもしれない

そろそろ帰って来いよ

そんな おじいちゃんの声が聞こえるかのようだ

新幹線の車内で読書をしているオレ

そんなことよりも久しぶりの新幹線にそわそわ

トイレにしょっちゅう行った

久しぶりの新幹線で頭はくらくら

九州のお父さんの実家に到着した

お父さんの姉と弟 おばちゃんとおじちゃん

三年ぐらい会っていなかった

お父さんたち兄弟は九州弁

おじいちゃんの遺影の前で線香を

なんだか悲しくなった

今日はオレの誕生日だけど そうじゃない

お通夜や葬式に出れなかったから? そうじゃない

もう一人 もう一人と

こんな感じで居なくなっていくのが急に怖くなった

帰りの新幹線

九州に居たのは三時間ぐらい

読書はしないで暮れていく夕日を見つめている

人の死は日のように繰り返さない

そこに一瞬の光を見出だそうとする

そうじゃない 死は日のように繰り返さないが光でもあるのだと思う

笑顔で迎えてくれたおじちゃんとおばちゃん

そこに死は日のように輝いてある

いつか居なくなっていくのが死の性質だとしても

そこに光はあるのです


オレの誕生日の前に亡くなったおじいちゃん

帰って来いよ!

そう言ってもらえた気がする

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オレの誕生日の前に亡くなったおじいちゃん(詩) 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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