第2話 泣きたい時ー
ふと、読み始めてしまったんです。この作品を。しかも感情の昂りやすい夜に。
もうね、号泣でした。紛うことなき号泣。
近くにいたパートナーが、ビビるくらいの。
現代ファンタジー、に分類される作品で、パンデミック下の生活の中で起こった不思議な話を、柔らかなタッチで描いています。
主人公は、大学生の女の子。亡くなったはずの父親が、子どもの姿で現れるという、ユニークな設定なのですが、それを違和感なく受け入れさせる筆力が素晴らしい。
そして、コロナ禍の夏に絡めた表現が素晴らしいんです。
今の私達の「息苦しさ」をうまく表現しながら、小さいこどもの姿で現れた「お父さん」との時間を、丁寧に描かれています。
現代ファンタジーでありながら、リアルな描写は、まるで自分がその世界に入り込んだような感覚にさせてくれます。
風鈴の音や、花火の音、夏の鋭い日差しや蝉の声、そんな情景が目の前に迫ってくるようです。
亡くした家族が恋しい時。
ふと、爽やかで切ない物語を読みたくなった時。
是非このページを開いてみてください。
自信を持ってお勧めします。
この夏の、延長線上で
作者 矢向 亜紀さん
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