第575話 救世主への道32(レジーナ王国編)

クロード公爵を味方につけることに成功した。


この領地は弟のゼノに任せる手筈を整えていくが、今、すぐじゃない。


クロード伯爵は出立の用意をしている。


馬や馬車を用意しているから、俺は急ぐからと伝えて、俺の魔法で行くと伝えた。


「空を飛ぶだけじゃないのか?」


「違います、それだけじゃありませんよ、俺の魔法は」と言いかけて以前やった方法を思い出した。


「伯爵、兵は、どれくらい用意できますか?」


「そうだな、1000人くらいなら、すぐに用意できるぞ」


「でしたら、その1000人の用意をさせてください

そうですね、武器と防具だけで良いでしょう」


「お前さん、食料はどうするんだ?」


俺はニヤっと笑って「持っていますよ」


「‥‥‥そうだったな、倉庫を襲ったんだった」


「そうです」


「では、急いで人数を用意しよう。なんだかわからんが、お前さんに従うよ」


「お願いします」


クロード伯爵は言葉通りに常駐している人数を用意してきた。


「これで良いかい?」


「ええ、充分です」


「それで、この人数をどうするんだ?」


「それはですね、ここに入ってもらいます」といって空間の入り口を開けた。


中を覗いてみた伯爵は驚いている。


「お前さん、こんなものまで作れるのか?」


「俺の能力の一端ですよ」


「これ以上に、まだあるのか?」


「もちろん」と言うと伯爵は呆れかえっていた。


俺は伯爵が呆れ返っているのを無視して伯爵から空間に入ってもらう。


「伯爵、中へどうぞ」


「おいおい、こんなところに閉じ込めるんじゃないだろうな」


「そうですね、閉じこもっている時間は1000人の兵士の方が中に入りを得て5分ぐらいですかね」


「そうか、ならいいが」


「さぁ、兵士の皆さん、心配なさらずに中に入ってください。クロード伯爵も中に入ってください」


クロード伯爵が弟のゼノに「あとは頼むぞ」といっている


ゼノは「ああ、兄者、達者でな」と言葉を返した。


クロード伯爵が空間をキョロキョロしながら入っていく、その後に1000人の兵士が続いていく。


1000人だと結構な時間がかかるけど、前は確か3000人だったけど。


俺は、いつも仲間と使っている空間を出そうと思ったが、それは、やめて新しい空間を作った。


全員が中に入ったので、俺は空間の入り口を閉めた。


「じゃ、みんな皇女殿下の元へ行こうか?」


「はい」

「そうだね」

「うん」

「は〜い」などの言葉が返ってきて、俺がターゲットを決めているので、全員を皇女の部屋に転移させた。


当然、現れた俺たちに皇女は悲鳴を上げたが、すぐに口を抑えた。


「皇女、俺たちですよ」


「あっ、ごめんなさい、つい」


「良いですか、時間がありませんので、今から決行です」


「ええ、今から?」


「はい、今から」


「それで、他の方々は外ですか? でも、早すぎるわね」


「皇女、今からやることは驚かないでください。アリシア、ソフィア、皇女についてくれる?」


「うん、了解」

「はい、ご主人さま」


王女が、どうなっているかも、わからずに話は進んでいく


俺は早速、空間の出口を開けた。


空間の中から精鋭部隊が出てきた、しかし皇女の大きい部屋でも1000人は入りきれない。


クロード伯爵は城の中は熟知していると思うので、俺は部屋の扉を開けた、瞬間に全員が部屋からも、空間からも出て、それぞれの配置についてことを成す。


クロード伯爵は、数人の兵士を連れて王と第一王子の元へ行く。


俺は、この部屋で全体の様子を観察する。


1000人がいた部屋が急に静かになる。


アリシアとソフィアと共に座っている皇女はポカンとしている。


「クリス公爵様、何が起きているんですか?」


「あなたの親書を持ってクロード伯爵の元にいき、話し合いの結果、協力してもらえることになったんです」


「ええ、それから?」


「それでクロード伯爵と共に城に乗り込んできたと言うわけですよ」


「そ、それではわかりませんわ」と言われたから。俺がアリシアにチラッと目を向けたら、ハァ〜とため息をついて、皇女に説明してくれている。


アリシア、ありがとう。


今は城の中を監視する必要があるから手を抜けない。


今、ここで決めないと‥‥‥


城の中は、凄いことになっているが、扉を守る兵士くらいしか抵抗ができていないから、そいつらを倒すことができれば‥‥‥


静かに近づいて角で待機して一気に出てきて剣を抜く隙を与えない。


しかし通路が長すぎて、一気に出ることができなくて、見つかってしまう戦いになる場合も出てきている。


早く王を確保することなので、俺はクロード伯爵の言った先を追うことにした。


王さえ、確保してしまえば、お城全体を掌握したといえなくもない。


しかし、王のところに言ったクロード伯爵が苦戦を強いられている。


その理由は、どうしてか、わからないけど、王と第一皇子とルーカス第二王子の3人が一緒にいること。


そして、そこにルーカス派の兵士が10人くらいいることだ。


もしかして気がついたのか? いや、そんなはずはない。ということは、この日の、この時間に王と第一皇子を、どうにかしようとしていたのか?


俺は様子を見ながら、出向くか、どうか迷っている。このままクロード伯爵に任せた方がいいと思うし。


俺は皇女殿下とクロード伯爵に積極的に動いてことを成してほしいと思っている。


この国を新たに作るのは、皇女殿下であり、クロード伯爵なのだから。


今はどちらとも動くことなく睨み合っている状況だ。


扉を境にして、中には3人の王族、外にはクロード伯爵と5人の兵士。


そこにクロード伯爵が剣を構えて中に入って行こうとしている。


「クロード、貴様、謀反を起こすのか? 国を汚す蛮族が」


「それは、そのまま、お返ししたい、ルーカス様、あなたが王と皇太子にしてきたことを考えると、あなたの方が国家反逆罪ですよ」


「なぜ、そのことを知っている?」


「やはり、あなたでしたか?」


ルーカスは、ほんとうのことを言われて気が動転して、話してしまった。


「チッ」


「おい、ルーカス王子は、もう王族ではない、そんな奴について、お前たちも死刑になりたいか?」と兵士に対して告げる。


兵士は急にオドオドして周りを気にする。


「おい、お前ら、奴の口車に乗るんじゃない、俺が王になるなるんだから」


「あなたに王の資格はない」とクロード伯爵


「何を言うか」


「あなたは王になることはできないと言っているんです」


「何を根拠に?」


「それはあなたが王と兄であるダニエル王子に薬を飲ませて操っているからです。」


「貴様、どうして、そこまで知っている?」


とぼければ良いのに‥‥‥話すなんて‥‥‥バカだ。


あっ、こいつも薬をやっている‥‥‥王とダニエル王子ほどではないが‥‥


話を聞いていた兵士の1人が、徐々に離れていって逃げた。


それを切っ掛けとして、さらに数人が逃げていった。


あとの残りは、兵士が5人と王族の3人。


そこにルーカスが王とダニエル皇子を人質に取り王に剣を突きつける。


俺は動くことにした。


ルーカスの後ろに俺が転移して、ルーカスが持っていた剣を叩き落とした。


「ガチャ」と柔らかい音を立てて剣がカーペットの上に落ちる。


それを前で見ていたクロード伯爵が動かないわけはなかった。


連れてきた兵士たちは、王子側の兵士と戦い、やはり辺境伯のところにいる兵士は強かった。


剣を俺に落とされたルーカスは、さらに懐に短剣を持っていたが、その剣で自分の首に刺そうとしたがクロード伯爵に止められてできなかった。


ルーカスは打ちひしがれて床に手をつく。


「俺じゃないんだ、俺は言われた通りにやったんだ」


ああ、それはわかっているよ、ルーカス‥‥‥お前は、ウルフの指示に従っただけだろう。


俺と会った時のルーカスの面影はなく、下を向いて頭を垂れて連れていかれるルーカス‥‥‥


ルーカス、君は、どこで道を間違えたんだ。


いくら誘われたからって、親や兄弟まで‥‥‥


俺は王と皇子を治すことはできたが、使わない‥‥‥


もう時代は動いているから‥‥‥過去の産物はいらない。


多分、2人は、どんどん薬に侵されていくだろう。


悲しいけど自分でやった事は責任を持たなくちゃ。


それが国を支配する王族の務めだ。


そこに知らせが入った「クロード伯爵、城を制圧しました」という言葉で。


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