第546話 救世主への道6

俺が念話でレイチェルと話した。


神レイチェルでも、時間を移動することは、簡単ではないみたい。数年がやっとのことだという。


俺は、一度、ワームホールから出て現世に戻ってきた。


そこでレイチェルと落ち合い、ワームホールに戻ってきた。


レイチェルが珍しそうに「ヘ〜、これが時間のトンネル、ワームホールなんですね」


「あれっ、レイチェル、数年だったらいけると言っていたよね」


「はい、いけますよ」


「その時はワームホールは通らない?」


「はい、通りません」


「どうやっていくの?」


「私がいく時には、その場所を思えば行けますから」


「そうなの?」


「はい、あなたも行けるんじゃないですか?」


「えっ、俺もいける?」


「はい、わざわざワームホールを使うことなく大丈夫だと思いますよ。あなたは既成概念に囚われすぎですよ。

ワームホールを使うことで過去にいけると思っているでしょう?」


「うん、その通り‥‥‥」


「その思い込みが既成概念だというんですよ」


「でもワームホールを使うと、数年どころか、もっと先までいけるけど‥‥‥」


「たぶん、それも思い込みですね。

あなたくらいの能力がれば、使うことなくいけるはずですよ。未来にも過去にも」


「えっ、ちょっと待って未来にもいける?」


「はい、大丈夫だと思いますが」


「どうやっていくの?」


「思えばいいんですよ、いつも、あなたがやっているでしょう、イメージすることだって」


「それは、言っているけど‥‥‥」


「いいですか、私も未来には数年先までしか行けませんよ。

ちょっと行ってみましょうか?」


「うん‥‥‥」


レイチェルが俺に向けて手を出すので、俺は、その手を取るとレイチェルは瞬間転移の要領で転移した。


俺が目の前の光景を見ると、なんら変わらない光景が広がっている。


レイチェル「ここが3年先の世界です」


「へ〜、3年先‥‥‥何も変わっていないね」


「いえ、ここは安全なところに転移しましたから、そう見えますが。

検索魔法を使って確認してみてください」


俺はレイチェルがいう通りに検索魔法を使ってみる。


そうすると、この星の半分が消滅してない‥‥‥


「ねっ、わかったでしょう、もう、ここも危険ですから戻りましょう」


「ちょっと待って、半分がない原因は?」


「もう、わかっているでしょう?」


「ウルフだね」


「そうです」


俺が感じた予感は、俺を狙うことじゃなく、こっちだったのか?


いや、違うな。


たぶん、ウルフの分身体が、あの時間にいる‥‥‥


「ウルフが、この星を滅亡させようとしている‥‥‥」


「そうなりますね、だから私も、今、忙しいんですよ」


「どうして、こうなったの?」


「それを聞きますか?」


「いや、俺が負けたんだね」


「そうなりますね。さぁ、ここは、もう危険ですよ、帰りましょう」


俺が負けたから、星の一つが消滅をしようとしている‥‥‥


俺が負けた‥‥


俺はショックを隠せない。


俺が負けた


俺たちは現世に戻ってきた。


俺が負けた事実を突きつけられた、


「クリス、そう落ち込まないで」


「‥‥‥」


「あなただけのせいじゃないんだから、こういう運命もあったんですよ」


「いや、レイチェル、俺のせいだ」


「何を言うんですか?、クリス」


「俺がもっと早めに対処していれば、問題は起きなかったはずだ」


「‥‥‥」


「じゃ、私は忙しいから行きますよ」と言ってレイチェルは俺を残して転移した。


俺のせいでみんなが死んでしまう‥‥‥アリシアも死んでいない世界‥‥‥


いや、アリシアが死ぬか?


おかしい‥‥‥


しかし、未来に滅亡しかないなんてダメじゃないか?


3年後には星ごと消滅していくということだ‥‥‥その前に止めないと。


何をする? 


どう動けばいい?


ウルフが原因だということはわかった。


しかしウルフが何をしたら消滅するんだ。


!、っ 俺が以前、思いついたことがあるのを思い出した


星が消滅しようとするのは、空間に吸い込まれることから起きる現象に似ている。


レイチェルと未来に転移した時、すごい勢いで風が一方に流れていた、これは吸い込まれようとしていることだ。


やはり空間の中を宇宙外とつなげて吸い込ませているんだろうと思われる。


俺が、随分前に考えた方法が実行段階に入っているということ。


ウルフの動きが巧妙になっていく、その上、俺を負かせるほど強くなっているということ。


どうする?


何をすればいいんだ?



俺は、もう一度、空間のことを考えるために、初めて空間を見つけた屋敷に転移してきた。


屋敷がある敷地の隅っこに小屋があり扉を開けると階段がある。


階段を降りていくと、地下一階には、広い部屋が広がる。


階段を降りたところに転移陣が書いてあり、空間に飛ばされる。


転移陣が描かれている場所を迂回しながら‥‥‥


もう随分、ここには来ていなかったが‥‥‥以前のままになっている。


誰が作ったか知らないが、空間を初めに作った人物が、この部屋を作ったとしたら、すごい。


最近は忙しくて、この屋敷にもきていない。


俺は参考にした本が収納されている床の下を確認してみた。


そこは以前、確認したが、あまり参考になるようなものはなかった。


俺は転移陣に乗って、空間に転移してみる。


今は使っていない空間‥‥‥白くて、どこまで広がる空間‥‥‥


俺が、ここにきたのは、何かヒントになるものが見つかるかもしれないと思ったからだ。


初めてきた時は、驚きの光景だったが、今で自分で作った空間は利用している。


俺はウロウロ歩いて壁を触ってみたりしたが、これの外側は、どこに通じているのか、考えたことがあった。


たぶん、宇宙だと思う。いや、そうじゃない。


俺が勝手に、そう思っていただけだ。


レイチェルも言っていたじゃないか、既成概念に囚われるなと‥‥‥


「‥‥‥」


俺はできるだけ壁の近くに柱を作り、その柱に俺の体を異空間から出したロープで固定した。


俺はさらに自分の体を結界魔法で覆って息ができるようにして。


そして壁に手を当てて、穴が開くイメージをしてみる。


「ひらけ‥‥‥」と思ってたら、なんと空間の壁が小さく穴が開いて、空気がすごい勢いで流れ出して、俺の体を引っ張ろうとする。


俺は急いで、穴を閉じて壁のイメージでやってみた。


なんとか穴は閉じられた。


危ないことだった。


一応、用心のため、柱で体を固定したが、もしなかったら危なかった。


たぶん、空間の壁に穴を作って、、もう一つの穴を現世に開ければ、吸い込まれていくだろう。


また空間を使わなくても、ウルフのドス黒い魔力を利用すれば、いいかもしれない。


ウルフのドス黒い魔力も威力が増しているだろうから。


ウルフだったら、あのドス黒い魔力を使えばブラックホールくらい、作れそうな気がしたから。


どちらか、わからないが、それを阻止しなければ、未来はない。


メンバーとの、アリシアとの未来を守るために、俺は行動することにした。


まずは復活していると思われるウルフを見つけ出すことだ。


どこにいようと見つけ出してやる。


世界を守るために‥‥‥あれっ、これって救世主なのか?


あっ、だから救世主って称号がついているのか。


初めて変わった。


世界を救うのは、勇者じゃない。


勇者は魔物や魔族、そして悪と戦うのが勇者だ。


今から俺は勇者の立場でウルフと戦い、救世主の立場で世界を救う。


そのための行動として、俺は空間から出て小屋の階段を登ってきたて扉を開けたら、明るくなっていた。


もう夜明けだ。


なんだか、思い切ったことで朝が清々しい感じがする。


俺は息をいっぱい吐いて、新鮮な空気を胸いっぱい吸った。


俺の肺が新鮮な空気で満たされていく。


「よし、頑張ろう」と声を出して、俺は仲間の元に戻っていった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~


いつも読んでいただきありがとうございます。


この物語は、ファンタジーの世界の冒険者小説ですので、空想の世界の物語です。


それを理解したうえでお楽しみください


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