第545話 救世主への道5
俺はリアムとエマと練習を重ねてきた。随分と慣れて違和感なく戦うことができるようになってきたところだ。
しかし、リアムとエマをみても、違和感しかない。
そう、それはネコだからだ。
ネコが変化して剣とマントになること自体、変な感じがする。
俺はネコの親玉になった気分がしてくるのは、気のせいだろうか。
俺は、城にまだ住んでいるけど、幾つもある部屋をネコの2人に与えた、そしてキャサリンをジャネットが王都の城に送って行った。
メンバーとネコ2人になった城の夜は、ほとんどの人は眠りについている時間だった。
俺は自分の部屋から、あの隠された部屋に転移してきて魔法で明かりを灯した。
もう、何もないということはわかっているが、なんとなく興味があって、やってきた。
俺は初めに訪れた部屋に来てみて、本を読み漁っている。
本棚には消えていく本が起れているが、本が消えるのが遅くなっている。
別に何を探すのではなく、ただ本をパラパラとめくっている。
床に落ちている本を片付けたり、本棚の本をとって読んだり、背表紙を見て確認したり、どんな本が置いてあるのか確認しながら見ている。
ほとんどが歴史書であり、中には、そうでもないのもある。
誰かが書いた漫画もあるみたいだ。
また、日記も多い。
俺は、ふと気になり下の方に置いてある本をとって机に座る。
机に置いた本の表紙を見ると何も書いてない。ということは日記の可能性があるが、まずは本を開こうとした。
しかし日記にしては、表紙が分厚い。
普通、日記はノートみたいなものに書いていくはずだけど、日記と言っても鍵がかかる日記もあれば、別にノート以外に書いても不思議じゃない。
今、俺がいる時代は、薄いものはなく、分厚い本ばかりだ。
この本も分厚く鍵がかかっている。
俺はどこかに鍵がないか、探したが、見つかることがないため鍵を壊した。
鍵を壊して開いた本を読み始める。
1ページへには、これは物語ではなく事実である、と書いてある。
「えっ、事実?」
俺は一気に興味を持ち、読み始める。
”今から、数年後には勇者が現れる。その勇者になり得る者は、前世の記憶を蘇られせ、世界を救う宿命を背負った者は神から運命の子と呼ばれる”と書いてあるが、次のページを読んでも、違うことしか書いてないが、ここの文章だけ字体が違う、誰かが書き足した?
俺の字とも違うし、コリンの字でもない‥‥‥神から呼ばれる運命の子、か。
なんの運命なのか知らないが‥‥‥
と考えていたら俺は背筋がゾクっとする感じを覚えた。
「なんだ?」俺は検索魔法で確認してみた。
しかし、検索魔法では何も引っかかってもこない。
どうしてだ?
もう一度、検索魔法を発動させるが、何も起きていない。
‥‥‥
おかしい。
俺が間違えるはずはない。
検索魔法の範囲を広げてみるが、何も反応はない。
おかしい、俺は検索魔法に反応がないので、ワームホールに飛んでみた。
次元のトンネルのワームホールなら過去なら、探知できるはずだ。
しかし、どこだ?
俺が今いる場所は、ワームホールの中だけど、今まで数千年の歴史があるから、一度に見つけるのは難しい。
なので、俺は瞬間に検索することをしてみた。
まずは今日から過去に遡る。
今は、フレア歴7051年6月だ。
俺は、その7051年から遡っていく、7051年5月‥‥‥4月‥‥‥3月、以上なし。と時間がかかるが、この方法しか思いつかない。
今は検索魔法で7050年、しかし、7050年を1年間調べたが何もなかった。
それで俺はふと、思いがよぎった。
ちょっと先に、ある年代を調べてみよう。
その年代は俺が子供ときに魔物に襲われて覚醒した年だ。
俺とアリシアが遊んでいた時に、魔物が襲ってきたことがあった。
それが13歳の時だ。
13歳の時に村で魔物に襲われて瀕死の重傷を負ってしまう。
たった1匹の魔物にアリシアは棍棒で殴られ意識を失い出血多量になる。
俺もなんとか戦おうとしたが、棍棒に殴られてしまう。
俺は考えた‥‥‥
敵が狙うとしたら、俺が生まれた時や、生後、または魔物に襲われた時だと。
覚醒前なら、いつでも狙うことが簡単だと。
俺は、まず覚醒する切っ掛けになった時代を優先した。
俺が13歳の時の9月7日、時間は午後だった。
確か、お昼ご飯を食べてアリシアと遊んでいた時間だから1時から2時の間だ。
でも、ここで何も起きないと、アリシアとの関係は今のような関係はないかもしれない。
アリシアは、ここで魔物が襲ってきて両親を殺されて、俺の家に同居するようになった。
それが変わってしまう?
魔物が襲ってきても、なかったことにするとアリシアの両親は今も、生きていることになってしまう。
そうすると俺たちの関係も必然的に影響が出てくるだろう。
そんな変なこと、考えるんじゃない。
アリシアの両親が生きていたって、いいじゃないか、アリシアが悲しむこともなくなり別々の家で生活することになんの疑念があるんだ、
そんなことで迷うなよ。
‥‥‥俺は、迷いを覚えるが、振り切ろうとしても振り切れない。
このまま何もしなければ、同じことが起きるだろう。
アリシアの涙を見ることになっても、いいのか?
アリシアの両親が生きていると、アリシアは冒険者になろうと思わないかもしれない。
アリシアは、死ぬまで一生、村で生活していることだろう。
俺は‥‥‥、村を出ているかもしれない。
いや、俺にも変化があるのか?
わからない‥‥‥
もしかして俺が村を出たあと、違う男性がアリシアの横にいるかもしれないんだぞ‥‥‥、そんなことが許せるのか?
アリシアのことが、こんなに好きなのに、大切に思っているのに、そんなことが‥‥‥
くそ、くそっ‥‥‥
俺は頭を振った。
いいわけないじゃないか。
そうだろ‥‥‥アリシアの涙も見たくない‥‥‥俺は決意した。
魔物を倒して、アリシアとアリシアの両親を助けることに。
予感だけど、敵は、この時代にいる。
いや、待てよ、同じ手をウルフに対して使ってみよう。
俺が分身体を作って、ここを任せた。
分身体は俺の意志を継いで、ワームホールに開いた穴から入っていった。
俺は急いで、ウルフが作られた時代にいくことにしたが、ジャネットに念話で聞いてみる。
『ジャネット、聞こえる? 寝ているところ悪いんだけど、ウルフが誕生したのって、いつ?』
『えっと、フレア歴の人間たちが悪いことばかりし出した時ですから3051年ですね』
『3051年のいつ?』
『えっ、そこまでいるんですか?』
『うん、教えて』
『3051年7月6日です。あのご主人さま、私も手伝いましょうか?』
『いや、ジャネットは現世を守っていて』
『そうですか?』
『うん、ジャネットは、みんなに伝えてくれる?』
『はい、わかりました、お気をつけて、ご主人さま』
『うん、ありがとう、ジャネット、じゃいってくる』
『はい、それでは‥‥‥』
俺は急いで3051年7月6日を探す
*
しかし念話で、もっと詳しい人に聞いてみよう『レイチェル、聞こえますか?』
『‥‥‥ザ、ザッ‥‥‥はい聞こえます、クリス、久しぶりですね』
『レイチェル、ウルフを作ったのは、いつ頃?』
『ウルフはですね、3051年の7月6日の午前3時です。それが何か?』
『ウルフを生み出した時に、行くから、もっと詳しい話をしたくて‥‥‥」
『えっ、でも、ウルフを作ったのは、私がいる天界というか、違う世界ですよ』
『えっ、そうなの?』
『はい、そちらの世界じゃなく、私の世界でウルフと神獣たちは作りました』
『もう、それを早く言ってよ』
『神だったら時を渡ることはできるんでしょ』
「いえ、私でも数年が限度ですよ」
『じゃ、今から、俺がいる場所に来てよ』
『えっ、クリスは、どこにいるんですか? いる場所が掴めません』
もう、なんだか厄介な‥‥‥
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