第532話 指輪と魔族と魔物2

俺たちは、またもや名前も知らない国に来ている。


戦いの場でも指揮官が不在で、戦闘が終わりを告げようとしているところに、王と名乗る奴があとから偉そうにきた。


この戦場は指揮官もなく、将軍が率いていることもない。


誰に命令したのか、知れないけど‥‥‥。


なんだか変な国に来たな。


俺は今は王と側近の2人に対している。


「今、あなたたちが俺に対して、どう思おうか関係ない、人の命がかかってきているのに‥‥‥」


王の後ろから、魔族と魔物が近づいている。


「後ろを見た方がいいなじゃないか?」と言うと、やっと2人は後ろを振り替えった。


「うわっ」

「魔物だ」


俺は一度は、魔族の攻撃を守ってやる。2人の前に結界魔法を展開して魔族のファイヤーボールによる攻撃を防ぐ。


「一度だけは守ってやったぞ、もうあとは勝手にしろ」と言って立ち去ろうとする。


「待ってくれ」

「助けてくれ」


「なんだ、その口調は?」と怒りをにじませる。


「助けてください」

「お願いします」


「じゃ、報酬は、国家予算で手を打とうじゃないか」


俺は魔物、魔族に動けなくする魔法を発動している。


「国家予算?」

「そ、そんな」


「命と国家予算、どっちを選ぶ?」


こんな奴らに俺たちの命を安売りすることはしない。いくら強いからと言って、危険なこともあるからだ。


「国家予算と言うと、どれくらいで‥‥‥?」と聞いてきたので


「そうだな、白金貨幣1000枚というところかな?」


「ヒェッ、白金貨幣‥‥‥1000枚?」


「そんな国家予算よりも大きいですぞ」


「じゃ、負けて800枚」


「陛下、800枚でも多いですよ」


「わしの命は、そこまで軽くと?」


「あっ、いいえ」


「じゃ、証文を書いてください。最後に押印をお忘れなく」


「おい、紙をよこせ、ペンもだ」と


王はすぐに地面に伏せて文章を書いた。


「これでいいかな?」と地面に手をつきながら俺に紙を見せる。


「いいでしょう、もし契約を破れば、どうなるか、わかっていますか?」


「ど、どうなると?」


「それは、こうなるんですよ」と言って足止めしていた魔族と魔物をファイヤーボールで焼けごげにして見せた。


「ヒッ」

「‥‥‥」もう1人は声も出ない。


「いいですね、わかりましたね、今から1ヶ月後に城にもらいに行きます、その時に何らかの妨害や払わないと言うことになれば、どうなるか、わかっているでしょうね」


「は、はい、わかりました」「わかりました」


俺は、カードを受け取り、この場から転移した。


目の前で消えた俺がいた場所をボーセンとして、しばらく見ていた。


「陛下、あのような人ではない者がいるのですか?」

「わしが知るか。しかし事実だぞ」と指差した。


指差した先には、魔物と魔族の焼け焦げた後が残っているから。



これで国家予算なみの資金を確保したけど、目的がそれじゃない。


その資金は、この国の貧民層や孤児たちに使われることになる。


こんな国だから、孤児たちの資金はないと思える。


あの王が孤児たちに金をやるわけない。


たぶん、大量の浮浪者、孤児たちがいることだと思える。


俺はメンバーの様子を見に行くが、もうほとんどの戦闘は終わっている。


「じゃ、みんな、あとは任せて、次の戦場に行くよ。あっ、その前に王が来たから挨拶だけはしておこうか?」


と言って、さっきの嫌な王の元に全員で戻ってきた。


俺たちが瞬間転移で王の元に現れると王は「ヒッ」と言って驚いた。


「じゃ、先ほどの約束をお忘れなく」


「は、はい、わかっております」


「じゃ、行こうか?」


俺たちは全員が空を上空に舞い上がり飛んでいく。


「クリス、さっき言っていた約束って?」とアリシアが聞いてきた。


「あっ、そのこと? 嫌な方だったから、お金をふっかけたんだ」


「それで、どれくらい?」


「うん、国家予算」


「えっ、国家予算?」


「うん、国家予算」


「そ、それで具体的には?」


「白金貨幣800枚」


「800枚、しかも白金貨で‥‥‥」


「そう800枚」


「白金貨幣って金貨よりも上だよね」


「そうらしいね、滅多に流通しないし、お目にかかれる物じゃない」


「ふ〜ん」


「白金貨幣は、もちろん俺がもらうんじゃないよ」


「うん、わかっているわよ」


「でも、クリスが、そんな高額、要求するなんて、よっぽどだね」


「まぁね」


「何があったか、推測はしないけど、」


「うん、そうしてもらえる」


「じゃ、スピードを上げて行くよ」


俺が、そう言うと、全員が速度を高速に上げていく。


「でも、だいぶ、みんな慣れたね」とソフィア


「そうだね、高速でも、大丈夫だね」


「ねぇ、次の現場は‥‥‥


俺たちは、幾つもの戦いをして、いい経験が出来たと思っている。


誰も怪我を負うことなく、みんな戦いに参戦してくれた。


これは、ご褒美として、あとで焼肉食べ放題かな?



なんてことをしながら、全ての地区の魔物と魔族を討伐するのに1ヶ月くらいかかってしまった。


各地で、俺のことを言ってから参戦したから、世界中に、俺のことが知れ渡ってしまった。


どこでも、本物?とか、実在していたのか?とか、物語だけの主人公じゃなかったの?とか、言われたけど‥‥‥。


これで変なことは出来なくなったけど、俺は、もう自分の能力を隠す必要がない。


俺のことを勇者だと認識してくれる国が増えてきている。


そして俺だけじゃなくメンバーも認識され出した。


世界が俺を見ている。


今回は宗教の国には行かなかったけど、変な国がいくつかあった。


その国に魔物と魔族の反応があったけど、行く前に討伐されたみたい。


それだけの力を持った人がいると言うことだ。


でも、宗教集団から見れば、異端だと決めつけられる場合もある。


勇者なんか異端だ、と。


しかし、一度はいく必要がある。


もちろん素性を隠してだけど。


俺は、どこで読んだか、忘れたけど本で、以前、あった歴史書を読んだことがあるんだけど、その中には、ひどいことをする宗教があった。


「魔女だ」と


何も関係がない女性を宗教の人が決めてつけて火炙りにしたと書いてあった。


そんな国に関わりたくはない。


魔女だといえば、魔は魔法の魔だから、そして女性ということであれば、メンバーは全員が魔女だ。


魔女でも魔法を使う女と言う意味だけど。


それだったら、魔法を使う冒険者、兵士、騎士で女性は、全て魔女だな。


男が魔法をつけば魔男? 何だか変な単語だ。


そういえば女性の寝ている部屋に侵入するのが間男だったな。



俺たちは1ヶ月以上、戦いながら、やっと本拠地に帰ってきた。


本拠地に戻ってきたら、加盟国に報告しなければならない。


それはコリンに任せた。


俺は文書を書く才能はない。


俺は屋敷の自分の部屋で、ゆっくりしながらコーヒーを飲んでいる。


「ハァ〜、うまい苦さだ」


コーヒーを持って立ち上がり、窓から景色を見ている。


俺の部屋からは、遠くの山まで見える位置にある。


さぁ、これから、どうしようかな?


何度、索敵魔法を実行しても、もうレリックはない。


俺は、考えて過去に飛ぶことにした。


訪れた1000年前のガルシア帝国の時代だ。


この時代にはレリックの反応がある‥‥‥。


もし、俺のいる時代と本当につながっているとしたら、このレリックがなくなってしまうと、指輪も消えてしまうだろう。


しかし、遡れるのは、1000年前だけなのか?


もっと過去に行けば、どうなんだろう?


しかし、行けるとしても、どこまで遡ればいいのか?


「う〜〜〜〜ん」


遡れるだけ、遡ってレリックを確保する必要がある。


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