第531話 指輪と魔物と魔族

俺たちは貴族のバカ息子が、いきがって戦場に出てきたと思われたみたいだ。


こんな空気になるかも新鮮で良いものだと思うけどな。


「確かに貴族だけど、ボンボンじゃないですよ」


「そ、そうか、でも危険だよ、ここは命のやりとりをしているんだから」


「まぁ、見ててくださいよ」と行って俺が攻撃の先手をとる。


いつも通りに広範囲に爆炎の魔法を放った。


一一面は、赤く焼け焦げ何もなくなる。


そして、後ろを振り向いたら、口が空いたままの人が数十人たっているだけ。


そこで、「貴族だけど、ボンボンじゃなく、俺は公爵だよ」


「えっ、君が公爵?」


「そうだよ」


「待てよ、君、どこかで見たことがあるよ、どこだったかな?」


「私も見たことがあるのよね」と女性の騎士さん


「あっ、俺も‥‥‥さっきから、どこかで見たことがあるようなって思っていたんだよね」


「どこだったかな?」


「う〜ん、もう少しで思い出せそう」


「ここまで出ているけど‥‥‥」と喉を触っている。


「あれっ、君と、女性たち1、2、3、4、‥‥‥‥‥‥13人」


「‥‥‥もしかして勇者と13人の悪魔?」


「いや、そんなことがあるわけないよな」


「そうだぞ、あれは物語の中の話だ」


「でも、あの破壊力‥‥‥」


「そうだ、君、勇者クリスにそっくりだが‥‥‥」


「も、もしかして‥‥‥」


「ほんもの‥‥‥」


「ええええええええええぇっ〜〜〜〜」と言う声が起きた。


「キャ〜、本物に会えるなんて」


「皆さん、浮かれていないで戦いの場ですよ」


「あっ、そうだった」


今回は、協力して戦うことにしたけど、俺以外にも転移したり、威力の強いファイヤーボールを放ったり、ウィンドカッターや、アイススピアや怪我人には治癒魔法を使ったりしているから、余計に驚かれた。


全員が活躍してくれている。


「あの、ここには国のお偉いさんはいないんですか?」


「今は、いない」


「今は?」


「奴は怖くなって、逃げ帰った」


「そうですか」


いろいろな国の事情があるみたいだから、それ以上は聞かなかった。


「ご主人さま、強い魔族がいるので、応援を要請します」とジャネットから、念話が入った。


「うん、わかった、すぐ行く」と言いながら転移した。


「すげな〜、目の前で人がいなくなるってよ」


「まぁ、勇者だからな」



俺たちが、ここにきて30分以上が経過しようとしているけど、初めてジャネットが手こずるような魔族がいた。


俺はジャネットの横に転移してきて、魔族と対する。


魔族は上空に羽を使って浮いている。


ジャネットが俺の魔法を使っているのに手こずると言うことは要注意だ。


ジャネットは、戦い慣れているわけではないが、長年の経験があるから、俺を読んだみたいだ。


魔族が「お前、なんだ?」


「俺は、この女性の仲間だ」


「そうか、なら死にな」と言って、奴は羽を大きく羽ばたかせながら風の勢いを利用して炎魔法を放ってきた。


確かに今までの奴とは違う。


風にあおられた炎が勢いを増していく。


俺の周りに炎がまとわりついて炎の中に閉じ込められる。


俺は結界魔法ではなく基礎魔法を展開して炎からも、熱さからも逃れていた。


俺は威圧を発動させ「ハッ」と炎を跳ね返した。


俺にまとわりついていた炎は霧散した。


「キサマ‥‥‥」


「‥‥‥」俺は答えなかった


さらに魔族の奴は、次の攻撃を準備する。


そう剣を取り出した。


剣を取り出して剣に手を添えて「何か呪文を言っている」


一瞬だけ見えた炎、魔法を付与したみたいに見えた。


こいつの得意は炎系なのか?


俺も異空間から剣を取り出そうと思ったけど、出さなかった。


俺は何も持っていない。


基礎魔法だけ展開している。


そして初めて使う強化魔法発動した。


強化魔法は体全身に使う場合と部分的に使う場合ができるんだけど。


今回、使うのは全身ではなく部分的な魔法に限定した。


そう腕に限定して強化魔法をかけた。


魔族の奴が剣を前へ出して突進してくる。


俺は左手だけ前へ出して、手の平だけに強化魔法を集中させる。


魔族の奴の剣の先を強化魔法を施した手のヒラで受け止める。


奴が突進してきても、俺は、1ミリも後方に下がることなく受け止めた。


「キサマ、どうして立っていられる?」


「‥‥‥」俺は答える必要がないと思っているので黙っていた。


そろそろ、こちらから攻撃に移ろうかと思う。


俺は魔法を準備して、奴の体の直前に転移して、奴の腹に基礎魔法を打ち込んだ。


魔族の奴は自分の体に防御魔法をかけていなかったので、強力な基礎魔法を打ち込んだ体はひび割れるようにして弾け飛んだ。


俺の場合は基礎魔法といっても、どれぐらいか確認した事は無いけど聖属性の魔法が入っている。


俺は魔族を打ち倒してジャネットの横に降り立った。


「ご主人さま、ありがとうございます」


「ううん、大丈夫だよ、それよりも怪我とかない?」


「はい、大丈夫です」


「よかった」と言うと戦場なのに、俺の腕に抱きついてきた。


胸が、胸が当たっていますよ、ジャネット‥‥‥


「やっぱりご主人さまですね〜」


それを遠くから見ていたメンバーの全員が、目の色を変えて魔法の威力をあげた。


なんだか、視線が痛い。


ジャネットが、こんなに近くによってくるなんて、初めてのことだ。


いつもは、しっかり役のお姉さんっていう感じなのに‥‥‥


ここの戦闘は徐々に魔族と魔物の数を減らしてきた。


あと、少しで戦いが終わる。


戦いが終わりそうになって、俺の元に誰かが近づいてきた。


「お〜、やっとるな」


「???」誰だろう、このばか。


「わしは、この国の王じゃ、君たちをねぎらうために来た」


「‥‥‥」俺は1度は振り向いたけど無視した。


「貴様、王に向かって無礼だぞ」側近の人


「‥‥‥」俺は何も言わない。


「貴様‥‥‥」と言って側近は剣を抜いた。


こんなバカに話すことはない。


バカな王の側近もバカだ。いくら俺が冒険者の格好をしているからと言って普通だったら他国の貴族に向かって剣を抜くということは大変なことになるのに。


「俺は、オーリス王国の所属する貴族だ」と言ってみた。


「なに? 貴様みたいなのが貴族?」と側近


俺みたいなのが貴族で悪かったな。


「そうだ、俺は貴族だ、その貴族に対して確認もせずぬ剣を向くとは‥‥‥」と言いかけてところに王が話し始めた。


「お前が貴族?」と王も睨んでいるよ。


「そうだ俺は先ほども言ったがオーリス王国の所属する貴族だが」


「ならば証拠を見せろ」


「証拠?」


「ここには援軍できた。俺たちが魔物と魔族を討伐したと言っても過言ではない俺たちに、先に証明をしろと?」


俺は、腹が立ってきた。


あとからのこのこ出てきて、何を言っているんだ、こいつは。


「王なら、戦いの場で指揮くらいしろよ、戦いの終盤になって、この場に来るなんて、言語道断!」


「貴様、さっきから聞いていれば貴族だっていう証拠もないのに」


俺は手渡すことの嫌になり、カードを地面に投げた。


地面に落ちたカードを副官は、拾い上げ自分で確認して目を見開いた。


「おい、どうした?」と王


「そ、それが、本当に貴族です。しかも、それだけじゃなく‥‥‥」


王が側近のカードを奪い取りカードをみる。


俺のカードが、国の上層部なら意味がわかるだろう。


俺のカードには7カ国の国王の刻印がある。


そして同時に公爵の刻印もされている。


「こ、これは、本物か?」


「偽物を見せて、どうする? なんの徳がある?」


「こ、こんなカード見たことないぞ」


「そうだろうな、俺が初めてだから。たぶん、世界初じゃないか?」


「それを、どうして貴様みたいな者が持っている? 」


「まだ信用しないのか?」


あくまでも俺のことを偽物と言うらしい。


もう、帰ろうかな? こんなバカな王がいる国を助けるんじゃなかった。


「あなたに信用してもらうのが目的じゃない、ここにきたのは、ここで戦っている人たちを助けるのが目的だ」


そこに魔物2体と魔族1体がきた。


念話で『ご主人さま、取り逃してしまいました』


『うん、いいよ、あとは、この2人に倒してもらうから』


たぶん、わざとジャネットは取り逃したと思う。


あのジャネットが取り逃すとは思えない。

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