第523話 魔族と魔物襲来3

名前も知らない国に来たけど、そこでも魔族と魔物が襲ってきている。


本当は指揮官に何も話さずに戦いに参加してもいいと思ったんだけど。


一応の話を通すことにした。


俺がテントに入って行こうとすると後ろから「あの、クリス様、このままでは魔物と魔族側が勝っちゃいますよ」とジャネット


「うん、俺も、そう思う」と言う言葉を聞いていた指揮官は、むっとした。


「我が国の兵士は優秀だ、あんな魔物や魔族にやられるわけはない」


「じゃ、俺たち、用無しですから」と言ってテントから出ようとする。


「メンツの問題ですか? 兵士や騎士が死んでいるのに、こんなところでメンツが立たないとか小さいこと言ってどうしますか?」と俺は声を荒げた。


「‥‥‥」


「実際に、押されてきているじゃないですか?」


「‥‥‥」


そこに伝令がきて「申し上げます、ただいま東も西も中央も押されてきています、至急、援軍をとのことです」


指揮官が、それを聞いて、さらに顔を赤くする。


「ぐぬぬっ」と指揮官


俺がチラッと戦場をみると、遠くは真っ黒だ。それだけ多くの魔族と魔物が攻めてきている。


俺が立ち去ろうとした時、やっと司令官から声がかかる。


「金はいくら払えばいいんだ?」


金が欲しくてやっているんじゃないんだけど‥‥‥


「500万ゴールド」と言ってみた


「そんな国家予算の半分なんか、払えるか」


と言われたので「じゃ、100万ゴールド」と値下げした。


「それならなんとかなる‥‥‥」と苦渋の選択だったみたい。


「じゃ、成立だね、ここにいるみんなも聞いた通り、約束したからね、あとで払わないとか言うと焼け野原にするからね、今から俺たちがやることを見ているんだよ、本当なら100万ゴールドでも安いんだから」


と言ってみんなの元に戻って行こうとしたら‥‥‥


指揮官が「あんな奴に頼るなんて、王族の名折れだ」と言う言葉を聞いたので、王族だったみたい。


「みんな行こうか?」


「クリス、お金取らなくても‥‥‥」とアリシア


「ああ、もらったお金は、ここの孤児の施設に寄付するよ」


「なあんだ、そうなんだ」


「うん、どうせ、この国でも孤児院は資金不足だろう? だったら持っている奴からふんだくらないと」


「うん、そうだね」


「よし、頑張ろう」とソフィア


「うん、頑張ろう」とコリン


俺たちは魔物や魔族がいる場所の最前線に飛んできた。


今、下をみると兵士や騎士や冒険者などが戦っている。


あれっ、魔法使いがいない‥‥‥


後方を見ても、魔法使いが1人もいない。


魔法使いが1人もいない国なんてあるのか?


それとも、どこかに隠しているのか?


俺は範囲を広げて索敵魔法を展開してみると、いた、いた。


かなり後方に魔法使いたちが詠唱をしている。


魔法使いたちは200人規模で集まって詠唱しているけど、ここを偉われたら最後じゃない?


魔族は飛べるのに‥‥‥そこを察知した魔族が数人、飛んできている。


でも、俺は自分の身は自分で守ることが基準だから、大丈夫だと考えるしかない。


全員が詠唱しているわけではないみたいだから。


なんだか、すごく長い詠唱をしているので楽しみなんだけど、どんな魔法を繰り出してくるのか?


初めて詠唱する魔法を見ることになるけど、しかも200人規模の魔法となると、楽しみだ。


念話で『みんな、北東に魔法使いがいるから、攻撃があるかもしれないから気をつけてね』


念話で『了解』と返ってきた。


まずは俺が上空から火炎魔法を放って半数を倒す。


そして地上に降り立ち、倒していく。


その時、魔法使いの攻撃があった。


赤く燃え上がるような魔法が飛んできて魔物や魔族を焼き尽くしていく。


あれっ、これって、俺の火炎魔法の威力がないバージョンじゃない?


俺が放った火炎魔法よりも範囲も小さいし威力のない‥‥‥


えっ、あれだけ詠唱していたのに?


魔法使いの方を確認してみると、ぜぇゼェ言っている。


ダメじゃん、こんな魔法しか打てないなんて‥‥‥


前線が下がってきているから俺たちメンバーが全然で横並びになって押し返すことをしていく。


そして俺が地上から、久しぶりにウィンドカッターを放つ。


俺が放ったウィンドカッターは、以前よりも威力を増して、多くの魔物と魔族を切っていく。


「すごいね、クリス」とアリシア

「そうですね、もう半数もいませんよ」とジャネット

「うん、すごい」とコリン


まだ、放ってウィンドカッターは、勢いよく草原を動き回っている。


俺はあることを思いついて、そのウィンドカッターに魔力を乗せて維持することをしてみた。


そうするとウィンドカッターはさらに勢いを増して飛んでいき、俺は魔力を乗せたのでコントロールできるか、実験してみた。


右に、左に、動かしてみると、動く‥‥‥


魔物と魔族は固まっているので、すぐに間近に迫ったウィンドカッターに気づくのが遅れる。


俺はコントロールしながらウィンドカッターを操作していく。


周りの兵士や騎士から「すげぇ」とか「誰だ、あいつ」なんて声が聞こえてくる。


また、「きれいな女性が戦場で戦っている」とか

「うわっ、何、あの子、かわいい」とか

「あんな子たちが、ここにどうしているんだ?」などの声が聞こえる。

「あの子たちは何者だ?」

「っ、‥‥‥」

「おい、まさか、あの勇者物語の人たちなのか?」

「えっ、そんな奴、本当にいたのかよ」

「実在しているのか?」

「あれは架空の物語だろ? でも‥‥‥似ている」

「俺も本を読んだぞ、本のイラストにそっくりだぞ」

「あっ、そうだわ、あの方を見てよ、主人公のクリス様、そのままじゃない」

「全員で14人、まさか?」

「ホンモノ?」

「いや、そんなことあるわけないじゃないか?」

「でも、見てよ、あの魔法の威力、半端ないわ」

「あの人たちが来て、戦場が変わった、本物なのか?」

「あんなきれいな女性たちだったのか? 神秘的だぞ」

「うん、人じゃないみたい」

「全員が輝いているぞ」

「俺は以前はオーリス王国に住んでいて、その時、聞いたことがある、基礎魔法っていうらしいんだよ」

「基礎魔法?」

「ああ、そうだ、基礎魔法を上達すると、結界魔法にもなるし魔法が使えるようになるらしいんだよ」

「えっ、本当か?」

「ああ、間違いない」

「俺の知っている人が騎士で、あの人の指導を受けたことが一度だけあるらしいんだよ」

「そういえば本にも書いてあったよな、勇者以外は魔法が使えなかったって」

「えっ、でもあの女性たち、攻撃魔法がすごいぞ」

「それも練習の成果だって言っていたぞ‥‥‥」

「‥‥‥」 みんな黙ってしまって、俺たちの戦いを後方から見ているだけ。

最後に一言「俺たちいらないんじゃない?」と‥‥でも誰も何も言わなかった。


俺は上空からブラックボックスを見つけて破壊したり聖属性魔法で消滅させたりしていく。


もうこれ以上、魔物が出ないように‥‥‥



実地戦闘をしたせいでメンバー全員の魔法力が向上してきている。


全員が使う魔法はアイススピアを使っている人もいれば、ファイヤーボールが得意な人もいるし、基礎魔法を纏って切り込む人もいる、アリシアの魔法を見てみると、魔法を発動するときに金色の粒が出てきているので聖属性魔法を使えているみたいだ。


あとはジャネットも同じように金色の粒が出てきている。


俺たちでも1時間くらいだと思うけど、ほとんどの魔族と魔物を討伐し終えた。


「じゃ、みんな、また、あの気位が高い人のいるテントに戻ろうか?」


「うん、嫌だけど、しょうがないね、ぜひ、寄付してもらわないと」とアリシア


「うん、行こう」とコリン



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