第522話 魔族、魔物襲来2

オーリス王国のシャーロットとパトリシアの元へ転移してきて、すぐに索敵魔法を行うと、ここでは魔族の方が多い。


「あっ、クリス様」


「ご主人さま、お早いですね」


「うん、こっちは、魔族が多いね」


「はい、、大変です」


魔族は魔物とは違い生きている。


魔物は人工的に作られたものが多いけど、時々、本物の魔物が入っている。


多分、後方から作られた魔物が来れば逃げ道がないから、前線へと出てくるんだろう。


攻撃をしているシャーロットの横に近寄って、大丈夫か確認してみると本人は至って元気そうだった。


たぶん、シャーロットにとっては、はじめての大規模な戦闘であり魔族と戦うことだと思う。


俺は数の原理で責められても困るのでブラックボックスの破壊から入る。


ブラックボックスの周りには多くの生まれたばかりの魔物が沸いている。


だからブラックボックスだけ狙うのではなく、ブラックボックスを中心として消滅させることに切り替えた。


先ほどと同じように検索魔法で位置を確認してみると、こっちは24ヶ所のブラックボックスが置いてある。


だから転移を繰り返しブラックボックス中心に聖属性魔法を発動させて数を減らすことにした。


「シャーロット、パトリシア、ここは頼むね」


24カ所のブラックボックスを破壊し終えた俺は次の現場に転移する



今まで俺はメンバーに対して基礎魔法を教えてきたけど全員がしっかりと練習をしていたみたいで魔族に対しても魔物に対しても負けていない。


次に現場でも、同じことをして魔物と魔族を減らすことをしたけど、ちょっと考えたアイディアがあるんだけど、それを実行してみようと思う。


俺には分身体を作っているので、分身体を通して把握することができるか、実験してみる。


分身体といっても、それぞれがやってることが違うけど、最低限の意識はある。


あまりに強い意識を持たせると、消す時に困ってしまう。


だから作るときにターゲットを絞るように設定をしている。


分身体が攻撃を絞るターゲットは魔族と魔物だけだ。


全ての分身体を俺の意識と同調させてみる。


今、している攻撃を緩めることなく分身体を通して話をする。


「クリスだ、今から大規模の攻撃をするから、全員を下がらせてくれ」と指示を出すことができた。


俺の分身体の口で話をした。


皆んな、はじめは驚いていたけど、すぐに理解をして人をさがらせてくれた。


俺はすべての人が下がったことを確認して、先ほどと同じ攻撃をする。


豪炎魔法を分身体を通して発動するが、分身体の能力じゃない。


俺の能力を分身体に移しても体がもたないから、分身体は発動するだけにした。


俺から魔力が全ての分身体に注がれパイプがつながる。


「ファイヤ」と俺が思うと、全ての分身体から豪炎魔法が発動され焼き尽くしていく。


発動されたあとの現場は、全て焼け野原となっている。


地面には紅く爛れた部分が残るだけ。


さらに後方から、一気に攻め込もうとする魔族と魔物を俺は再度、発動する豪炎魔法で焼き尽くしていく。


豪炎魔法で焼き尽くしたあとは、ブラックボックスを見つけるために現地に行く必要がある。


これも同じように検索魔法で位置を確認して転移して聖属性魔法で消滅させていく。


このブラックボックスは、もしかしたらウルフが1000年前、ジュリアス伯爵の屋敷で作っていたものなのか?


なんとなくだけど、そんな気がした。



俺は魔物と魔族の戦いを終えたのは、10時間以上立ってのことだった。


それだけ数が多かったということだ。


しかしメンバーは、そつなくこなしてくれたので怪我人も出ないで疲れただけで済んだ。


今、メンバーは王城から、接待させて美味しい食事をご馳走になっている。


俺は一応、ライオネル公国に戻ってきたが、ライオネル公国からもらった海辺の屋敷に1人でいる。


屋敷のベランダに出て椅子に座って、空腹を満たしているが、1人になった理由は考えることがあるからだ。


ウルフの奴が、戦いを挑んできたのは、俺たちがいる国だけなのか、索敵するために1人になっている。


そのことを他の人には話していない。


みんなが疲れている時でもあるからだけど、俺が盟主として動くべきじゃないこともわかっているが、人の命には変えることができない。


しかし攻めてくるわけだから魔族の国というか住んでいるところがあるはずなんだけど、この星全体を確認してみても、そういう場所はないみたいだ。


どこから魔族は来るんだ?


まぁ、今は魔族と魔物が襲ってきている国があるから、それを減らすことにした。


俺が前へ歩き出そうとしたら誰かが転移してきた。


転移してきたのは、メンバー全員だった。


「あれっ、今頃、食事している時間だよね」と言うと


「‥‥‥」全員が何も言わない‥‥‥


「ご主人さま、水臭いです」とジャネット


「本当よ、クリス、1人で行くつもりでしょ?」とアリシア


「ご主人さま、私たちも付き合いますよ」とパトリシア


「ご主人さま‥‥‥」とアレク


俺は涙が出てきそうになった。


「クリス、私たちはあなたの仲間よね?」とイザベラ


「そうですよ。クリス、私たちは勇者のメンバーです」とソフィア


「本当よ、私たち置いていくなんて、どうかしているわよ」とシャーロット


「本当ですよ、もうお腹いっぱいですからね、付き合います」とセラフィーナ


アリシアが「みんなに連絡してもらったら、どこにもクリスがいないんだもの、びっくりしたわ」


「今から行くのは、盟主には関係ない国なんだ」


「じゃ、今まで行ったことがない国に行けるのね?」とアリシア


「やった〜」とエレノアとアイリス


「うん、ありがとう、みんな‥‥‥」


「もう、クリス、早く行くわよ」とイザベラ


「うん、わかった」と言って全員で空を飛んでいく。


「みんな、久しぶりに俺が飛行をコントロールするよ」と言うと全員に結界魔法を施して超高速で飛んでいく。


俺が先頭で飛んでいく。


「うわっ、なに、この速さ」とアリシア


「すごい速さですね、私でも、こんな高速飛行は無理です」とジャネット


「うん、すごいね」とパトリシア


「速すぎて下をみると目が回りそう」とシャーロット。


「うん、そうだね、私もちょっと気持ち悪いよ」とセラフィーナ


と話していると「着いたよ」


「えっ、もう?」とアリシア


「ここから討伐していくよ、下を見てごらん」


「あっ、本当だ、戦いが起きている」とソフィア


「本当ね、私たちの国だけじゃなかったんだ」


「ここを片付けて、次もあるから、早めに倒すよ」


「はい」

「うん」

「わかった」

「了解」という声を聞きながら、空から俺だけ地上に降りていく。


ここでは兵士、騎士、冒険者だろうと思われる人が戦っている。


俺は後方にテントを見つけて、そこに降りてきた。


テントを守っている兵士が「何やつ」と剣と槍を向けてくる。


俺は基礎魔法を展開したまま、兵士や騎士に攻撃されるが全て弾き返す。


そして堂々と歩いていき、騒ぎを聞きつけた人が中から出てきた。


「貴様、何者だ?」と言うので


俺は久しぶりにギルドカードを出した。


「俺は、東方諸国をまとめる者だ、指揮官に会いたい」


さらに後ろから男性が出てきた。叩き上げの筋肉をした背が高い男性だった。


腰には立派な剣がさしてある。


「今は、戦いの最中だ、要件はなんだ?」


話を聞く気はあるみたいだ。


「俺たちが戦いに参戦する」


俺と上空待機しているメンバーをチラッと見る。


「魔法使いか?」


「そうだ、援護が入らないようであれば、次の場所に行く」


「要求はなんだ? 金か、名誉か?」


「そんなものは入らない、俺は7カ国の盟主であり、王に命令ができる立場だ、そして7カ国の貴族で公爵でもある」


「なんだって?」


横から士官が、耳打ちしている。


「えっ、本当か?」


その士官が頷いている。


「これは失礼した、ぜひ、話を聞かせてほしい」


俺は上空に待機するメンバーに念話で指示を出して、降りてきてもらったが、また、緊張は解いていない。


全員が基礎魔法を展開したままだ。

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