第512話 1000年前の世界30

俺たちは城にしばらく泊まることになった。


メンバーの女性たちと隣り合わせの部屋だったしベランダが続いている。


俺がベランダに出てみると女性たちもベランダに出ていて鉢合わせした。


「ここからみる景色もいいね、風も穏やかだ」と感想を口に出してしまう。


俺たちが城に泊まっているのは王がヒルダに会いたいためだと思う。


兄弟姉妹たちもヒルダとは話がしたいだろうけど、それを口実にして俺の方に興味があるみたいだな。


今も実は、兄弟姉妹たちが部屋を訪れている。


ヒルダがいる部屋じゃなくて、俺の部屋に王族の4人が椅子に座っている。


ベランダ続きだったため、アリシアが紅茶を入れてくれる。


侍女さんは聞かれたら、まずい話も出てくる可能性があるので退出してもらった


紅茶を入れる終わらないうちに王までやってきた。


王族と俺たちとヒルダと全員が集まることになった。


「それでクリス様は、1000年後から来られたって言っていましたよね」


「うん、そうだよ」


「1000年後って、どんな感じですか?」とエイプリル


「どうしてかわからないけど、全然進化も進歩もないみたい」


「えっ、何も変わっていないんですか?」


「そうだね、この世界に来てから全然違和感がないから」


「そうですか」なんだか興味を失った見たい。


「クリス様のことを話してくださいよ」とハロルド


「そうだね、えっと俺たちメンバーは、女性ばかりで構成されているんだけど」


「えっ、女性の方たちばかりですか?」とダイアナ


「うん、そう」


「それはクリス様がわざと集めたと言うことですか?」


「えっ、違うよ、たまたまだよ」


「そうですかぁ?」と疑問視しているニヤケ顔のエイプリル


「俺が15歳の時に住んでいる村から冒険者になるためにギルドがある街にいったんだ」


「えっ、それで‥‥‥」と王まで目をキラキラさせ始めた。


「村から出て馬車に揺られてお金もなくて、馬車にも半分の道のりしか乗れなくてね、歩いて街にきたけど、ギルドがどこにあるのかわからなくて探しまったよ。


やっと街にたどり着いて冒険者になることができたんだけどFランクから初心者が始まるから、Fランクの依頼の紙が貼ってあるところを見に行ったんだけど、ロクな依頼がないんだよね。

でも、その当時、俺はFランクの魔法使いじゃなく、もっと上の能力をつけていたんだ。

能力があっても初心者はFランクにしかなれない。

俺がギルドに行って冒険者登録をしてなったときにはギルドの中には3人しかいなかったんだ。

女性3人だからハードルが高くて、頼み込んでパーティーメンバーに入れてもらったんだけど、初めの依頼は、確かゴブリン退治だったかな?

1日ぐらい歩いて依頼があった村に到着して討伐することになったんだけど、依頼書ではゴブリンの数が正確じゃなくて、多数のゴブリンがいたんだ。


コリン「そうそう」


「その3人の1人が、ここにいるコリンだよ。」


王族が一斉にコリンの方を見る。見られたコリンは指でピースをしている。


「へー、面白そう」とダイアナ


コリンが珍しく「でも、あの時はFランクの初心者だと思って仲間にしたんだけど、襲ってくるゴブリンを魔法でバタバタ倒すんだもの。驚いた」


「そんな依頼が1年間くらい続いたかな? その頃に村から手紙でアリシアが病気だと言ってきたから村に戻ってみたんだよ。」


「うん、そうだね」とアリシア


「村に戻ってみるとアリシアがベッドで具合が悪そうに寝ているから、両親には俺が魔法使いだと説明していないので見えないところで魔法を使ったんだ。

それから病気も快方して冒険者になるって言い出して街に言って登録したわけだよ。

つまり女性3人から4人になったわけだね」


「その時かな依頼があったのは?」」


「そうだね、あれから変わり始めたね」とコリン


「うん、ギルドで依頼を見ていたら男の人が入ってきて依頼をしたいが冒険者はいるかって言われて、周りを見渡しても俺たちしかいなかったんだよね。

依頼は貴族からだったみたいで護衛もいるんだけど補助でついて欲しいと言う事だったので俺たちは了承して貴族の護衛に着いたんだ。

護衛についた夜に盗賊が襲ってきたよね」


「うん、盗賊は結構、強そうな奴だったね、たぶん、あいつらは強かったからクリスがいないと護衛も私たち全員もやられていた」とコリン


「そうかもね」


「ううん、絶対そう」とコリンが強く言う。


コリンが「私たちはいつもクリスに助けられてばかり、クリスほどの魔法力を秘めた人はいない、だから勇者の称号がついているけど、当然だと思う、クリスほど勇者の称号が合う人はいない。でも女性に対してはダメ」


「えっ、そうなんですか?」とダイアナ


「うん、クリスは周りに女性がいるのに手を出さない」


「うわっ、しっかりと聞きましたよ、クリス様」とエイプリル


「いや、手を出していないんだから‥‥‥」


「話を戻すよ。

俺たちが貴族の依頼を受けた人は馬車に隠れていたんだけど、自分の国のお姫様だったんだ。

お城で緊急事態が起きたみたいで急遽出先から、お姫様が戻らなければいけなくなって、その依頼を受けたわけだね」


「へー緊急事態で?」とエイプリル


「城に戻って俺たちが知った実情は深刻で、その事件を解決して国に認められたんだよ」


詳しく言ってしまうと、この国で起こっている事と重なってしまうから詳細は避けた。


どこの国でも、どこの時代でも同じようなことが起こっているんだ。


「まぁ、そういうことが起きることが何回かあって、違う国でも誘拐されていた人を助けたり、誘拐された子供の中に王族の1人がいたんだ。

それから王族たちを知り合うことになって、他の国も助けたりして協力関係ができたんだ」


コリンが「1人で戦争を止めた」


「えっ、1人で?」


「あっ、そんなこともあったね。

別の誘拐事件があって王族の子供が誘拐されていたんだ。

自分の子供を奪い返すために犯人である隣の国に攻め込もうとしていたんだよね。

帰ってもらう条件に子供を助けだすことに協力したんだ」


「ううん、それじゃなく、別の話も」


「別? あっ、自分の国に攻め込もうとした国があるんだけど、1ヶ月間、見張りをしたり、はぐれ兵士を見つけて俺が引き返させたんだ」


「クリス様は、本当に憲兵隊みたいですね」とエイプリル


「別に、そんなことしていないよ」


「いいえ、小さなことではなく、大きな事件に関与して解決することができるなんて、なんて素晴らしい」とダイアナ


「まぁ、その先も色々あったけど、今度また、話してあげる機会があればね」と言って話を打ち切る。


「もう、今日は疲れたからね、寝るよ」と言って王族を追い出す。


「えっ、もうですか?」とエイプリル


「うん、疲れたよ」


「もう仕方ないですね、ではおやすみなさい」と言って出ていってもらった。


「ご主人さま‥‥‥」とジャネット


「うん、わかっている」


俺は、それ以上、話さないで、あとはジャネットに任せて瞬間転移した。



俺が現れた草原には、ウルフの奴が待っていた。


「よう、来たな」とウルフ


「お前こそ、よく、ここで待つ気になったな」


「いやぁ、ここで待っていれば、お前が来る気がしてな」


「そうだな、邪魔が入らないところでよかったよ、お前を存分に倒せる」


「ヒャハハ、そんなこと言っていいのか? 倒されるのはお前だぞ」


「ウルフ、この世界にきて、お前は何がしたいんだ?」


「そんなこと言えるかよ」


「ジュリアス伯爵と組んで麻薬で人を操ること、それを成功させるには、ジュリアス伯爵の知識が必要だったこと」


俺が麻薬のことを言うと、ウルフの奴は表情を変えた。

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